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第十一話:厨二病でも中二じゃない!

 ミサキちゃんが話を始めようとしたところで、世界にまたも異変があった。

 ブチっと音が聞こえそうなほど突然に、世界が切り替わったのである。

 それは、言い換えれば、テレビのスイッチを入れたような。


 一瞬にして、動くもののなかった世界は動き出した。

 一瞬にして、色のなかった世界が色付き始めた。


 元の世界に戻ったのだということに気がつくのにしばらく時間がかかった。

 考えてみれば短くも長い異世界旅行であった。

 何せ、この体感にしてわずか十数分のうちに数回死にかけた。

 車に轢かれそうになり、瓦礫に潰されそうになり、炎で炙られそうになり、尾に弾かれそうになり、空中から落下しそうな思いも味わった。


 一般常識の範囲で行くと、途中から死にかけた理由が「ナニコレ!?」って感じだが、私にもいまだに意味がわからない。

 高コストモンスターしか入っていないデッキの形をした紙切れの存在くらい意味がわからない。ナニソレ?


 瓦礫となって飛び散った駅や周辺のビルも、蝋人形かペーパークラフトのようになってしまっていた人々や木々や動物たちも、みな無事だったのである。

 終末論者的オタクの私からすると微妙に残念な気もしないでもないか? そんなこともないか?


 ミサキちゃんに運ばれて結構飛んできていたらしい。

 私たちが今立っているのは、人もまばらな駅から離れた場所だった。


「びっくりしましたか?」

 呆然と周囲を見回す私の視界に、ミサキちゃんがひょこっと顔を出して言う。

「はい…。」

 驚いたかといえば、そうなのだが、もはやなにに驚いているのかもはや自分でも分からない。

 今わかることといえば、ミサキちゃんのひょこっとした動きがあざと可愛いということぐらいだ。

 厨二病キャラでその動きは反則やってゆうとるやろがい!

 言ってないけど。


「カナコさん、そのへんで…。」

 無駄なことを考えていたところ、ニコに止められた。

 おっと、これがジェラシーってやつですか?

 私がミサキちゃんにお熱なのが気に食わないんですのね!?

「ち、違いますよ!」


「おーふーたーりーとーもー!」

「「すみませんでした!」」

〜次回予告〜

カナコ:「話を進められないっと、お察しの通りですね!」

ニコ:「誰のせいですか〜!」

カナコ:「この眩しい太陽のせいさ!」

ニコ:「他人のせいにしないでくださいっ。」

カナコ:「でもニコちゃんもジェラってたからぁ。」

ニコ:「そんなことないですもん!」

カナコ:「まぁそれはさておき、世界の全容は若干わかってきましたね。次回はもうちょっとだけ、謎が解けるかな!?」

ニコ:「今日はなんかテンションがおかしいですね?」

カナコ:「次回は第十二話:『こんな非日常にいられるか私は家に帰らせてもらう!』をお送りします。」

ニコ:「死亡フラグまた立ててどうするんですかぁぁぁぁ!」

カナコ:「別に死にかけはしませんお楽しみに!」

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