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二十六話 敵は外からとは限らずに

「…帝国の皇女様の解呪って、もうそろそろ終わるんだっけ?」

【明日の昼頃には完全に終わって、目を覚ますはずだとおっしゃってましたね】

 

 解呪の見込みは一週間程度と思われていたが、思ったよりも皇女の力のほうが呪いよりも強かったのもあってなのか、聖女様の手で行われる解呪がスムーズに進んだようで、四日目にして既に解決の見込みが出ていた。


 早めに治るのは良いことなのだが、治した後にまた呪いをかけられて振出しに戻るのは良くないこと。

 それゆえに、再発防止のための策が用意されたようで…


【それで、何故か私の力を借りたいって聖女様に言われたんですよね。聖女になるつもりはないのですが、どうも力としては似たようなものがあるみたいで、守るための加護とかいうのを施すために追加で使いたいと言ってましたよ】

「どういうこと?」


 かくかくしかじかとハクロに聞けば、何でも呪いを防ぐ加護というものが聖女に使えるらしい。

 加護の言葉だけを見れば神様とかが扱いそうなものなのだが、聖女からも授けることが出来るものでもあるらしく、ちょっと特殊な方法で人に施すことで呪いや病などから身を守るバリアのような役目を持つものになるそうなのだ。


「へぇ、そんなものがあるんだ」

【原理としては、結界に似ているようですね。結界が魔獣相手に効果を発揮するならば、加護はより限定的にして、人に収めた形のものになるようです】


 大勢を広範囲で守ることが出来る防壁が結界ならば、加護は一人を狭い範囲で守ることが出来る鎧と言ったほうが良いのかもしれない。

 防ぐことが出来る対象は異なれども、それでも聖女の力なのには変わりがないようで、強い聖女ほど強力な加護を人に与えたりすることが出来るらしい。


 ハクロは聖女になる気はないそうだが、才能だけ見れば相当すごい聖女になれる可能性もあるようで、だからこそ彼女の力も重ね掛けして、皇女を守る加護を厚くする目的があるようだ。


【まぁ、断る意味はないですね。関わってしまったことですし…それに、これで加護の方法を覚えたら、旦那様に私から施せそうです!!私の力で旦那様の身を包み、ありとあらゆる悪意から身を守れる…手段として、出来るようになって損はないですからね!!】


 関係ないから協力しないという気もなく、むしろ利益が出るから積極的にやるようだ。

 やる気があるのは良いことなのだが、その目的がルドに対しての使用を考えての者だと考えると、試す目的でやろうとしているような気がしなくもない。


 皇女様を人体実験みたいにするのか…うん、まぁ、気にしないほうが良いか。

 聖女様が直々にやることでもあるし、おかしなことになりはしないだろう。



 むしろ、やり過ぎて加護が溢れて、皇女様の地位がヤバい方向へ高くなっていく可能性もあるが…そこはもう、平民の僕らではどうしようもないので、本人にどうにかしてもらうしかない。



【そのようなわけでして、明日の放課後に旦那様、一緒に教会へ行きませんか?加護を施す様子も見てもらった方が、旦那様にかけるときに不安もないと思いますからね】

「あれ?昼頃に解呪が終わって目を覚ます予定なんだよね?ハクロは別にここの生徒でもないし、勝手に向かっても良いとは思うんだけど…」

【それもできますが…ちょっと、面倒な可能性もあるので】

「というと?」


 ハクロが一人で向かってやっても良い話だとは思うのだが、そう簡単なことではないらしい。

 皇女様の解呪が行われ、そのうえ加護まで施されるとなると、今後皇女様を狙う輩は手が非常に出しにくくなる。


 だからこそ、その情報を聞きつけた輩が全力を挙げて、対立する者たちだとしても目的が皇女狙いならば垣根を越えて一致団結し、やらかす可能性が非常に高くなる。


【今のところ、騎士さんや私でどうにか抑え込めているのですが…なりふり構わずに突撃してくる人たちも出る可能性もあるのです。その可能性の中で、私の方を止めるためにという目的で旦那様を狙う輩がぼわっと増殖する恐れがあるのです】

「何か、虫っぽい感じに表現されたなぁ」

【実際、しつこい方は今もいますからね。旦那様が見たり聞いたりすることが無いように、瞬時に蒸発や熔解、サイコロ…様々な方法で事前に駆除していますけど、限界も流石にありますよ】


 どうやってとか、完全に人扱いしていない言いかただなとか色々とあるが、ツッコミをするにもキリがなさすぎる。

 何人が犠牲になって点に召されたかはさておき…身の安全を考えるならば、明日は終始一緒にいてもらった方が安全なようだ。


「まぁ、実際に一度攫われもしたからなぁ…ああ、嫌な経験だったよ、アレは」

【ううっ…旦那様を二度と、恐ろしい目に遭わせないためにも、しっかり守りますからね!!】


 過去に例はあるので、再発防止をやってくれるのはありがたいことだろう。

 ツッコミを入れる入れないにしても、守ってくれるのであれば問題はないし、この件が終わればまた平穏な日常が帰ってくるだけ。


 そう考えて、彼女の提案を了承し、明日の放課後に聖女様がいる教会へ向かうことに決めたのであった…


「でも、あくまでも解呪と加護だけしかないってのもなんだかなぁ」

【何かありますか?」

「元を絶たないと、別の方法を元凶の人たちがやってきて、結局はいたちごっこになりそうだと思うんだよね」

【ああ、そこは大丈夫ですよ。解呪って聞こえだけ聞くとただ呪いを解くだけに思えますけど、実際は呪いを倍増させて返却する呪い返しですからね。かけた人に限らずに、その依頼した人まで一族もろとも倍増させた呪いをぶちまけて返却するそうです】

「…それって、聖女の使う技としてどうなの?」

【そこそこマイナーな方法でもあるようで…仕える神によって聖女の返せる力や範囲は異なっているようです。聞いた話だと、ある神様に仕える聖女様の場合、なぜか平等に一夜にして毛根全てが爆発四散させる呪い返しになるようですしね】


…それ、本当に解呪とか呪い返しになっているの?まさか、呪いをより凶悪な別の何かで塗りつぶして送っているだけじゃないよね?



無事に解呪は終わりそう

それと同時に元凶も終わりそうだが…さて、どう出てくるか

あとは加護とやらもどうなるのか…

次回に続く!!


…かけた人限定~国レベル対象と、範囲は違ったりする。

もちろん、中身も色々とね

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