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作家志望愛詩輝の私小説  作者: みらいつりびと


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姉貴のバンド

 ボクの姉、愛詩手世は美声の持ち主だ。

 自覚があるようで、小学六年生のときの作文「将来の夢」に声優になる、と書いた。

 しかし中学生のときに音楽にはまり、方向転換したようだ。

 ニヤニヤ動画で聴いた超マイナーバンド若草物語の曲にドハマリし、お年玉でフォークギターを買って、弾き語りの練習を始めやがった。

 ボクは姉貴と六畳の部屋をシェアしている。

「お姉ちゃんうるさい!」と怒鳴っても、姉の歌は止まらない。 

 ジャンジャカジャカジャカと右手がビートを刻み、左手は懸命にコードを押さえ、歌い出す。

「C魔法少女全力疾走、Am魔法少女全力疾走、Dm7おおーおー、G7おおぅおおー♩」

「やかましいわ!」

 愛詩手世にはクレームは効かない。気分よさげに歌い続ける。

 このようにして、妹の犠牲のもとに、手世は弾き語りのテクニックを身に付けた。

 姉貴は高校に進学すると、「バンドやるぞ!」と言い出した。

 ボクが中学二年生、村上春樹様の小説を読み耽っていたころのことだ。

 姉は同級生に中学のとき吹奏楽部にいた顔を見つけて、スカウトした。

 トランペットの高坂麗美とコントラバスの川島ルビーだ。

「バンドやろうぜー」と手世にしつこく誘われて、二人は根負けしたようだ。

 そしてフォークギター、トランペット、ウッドベースという変則バンドが誕生した。若草物語のコピーバンドである。

 畏れ多くも「女神ーず」と名乗りやがった。

 姉はハンサム女子だし、高坂さんは美人だし、川島さんは可愛かった。確かに女神みたいな三人組だったけどさ。

 女神ーずは高校の屋上や河原で練習を重ねた。

 ボクは三人の女神が河原で「世界史の歌」「We love 両生類」「秋の流行」「わかんねー」なんかを練習しているのを見たことがある。ニヤニヤ動画で見たオリジナルの若草物語よりイケてるな、と思った。

 姉はSNSで若草物語の主要メンバー叫び部さんと交渉し、演奏と歌唱の許可を得たようだ。

「ゲリラライブやるぜ、駅前で!」

 駅前広場に制服姿の女子高生三人組が出没するようになった。

 面白そうだと思って、ボクは見に行った。

 面白いなんてもんじゃなかったね。すげーエンターテイメントなバンドだったよ。

「G今日はとっても、Em気分がいいのだ、G今日はとっても、Em気分がいいのだ♩」

 愛詩手世がギターをかき鳴らしながら、熱唱していた。歌がうまいうまい。声がいい。かっこいい系女子。絵になってた。

 高坂麗美さんはトランペットで歌の合間に飾りの裏メロディを吹いていた。黒髪の美人で、これも女神なんだよ。

 川島ルビーさんは渋くウッドベースでリズムを刻んでいた。ボンッボンボボてな感じさ。でっかいウッドベースより背が低くて、茶髪のくせっ毛で可愛くて、女神というより、この人は天使だね。

 叫び部さんが手拍子をしながら、「うおーっ、最高だぜ女神ーず!」と叫んでいた。

 お客さんは二十人ぐらいいて、みんなアイドルを見るような目で女神ーずを見ていた。

 不覚にも、ボクは彼女たちの駅前ライブを見て、感動すらした。

 女神ーずは大学に進学すると、作詞作曲を始め、ライブハウスでオリジナル曲を演奏するようになるのだが、その話はまた機会があればするね。

 愛詩手世の夢はプロのシンガーソングライター。姉貴ならなれるかもしれないね。

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