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作家志望愛詩輝の私小説  作者: みらいつりびと


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SF研の定例会

 SF研は火曜日と金曜日に定例会を行っている。

 定例会といっても、きちんとした話し合いをする日は少ない。

 たいていは、メンバーそれぞれが思い思いに過ごしている。

 今日は、藤原会長は映画の絵コンテを描いている。

「マンション住まいのやつはいるか?」

「自分、マンションですよぉ」

「撮影させてくれ」

「ファギュアとか漫画とかラノベとかがいっぱいですけど」

「なるべくシンプルな部屋を映したい。片付けておいてくれ」

「親に許可を取ってからの返事でいいですか」

「もちろんだ」

 和歌さんはマドレーヌを食べながら、テッド・チャンのSF短編集「息吹」を読んでいる。傑作らしいので、ボクもいつか読みたい。

 尾瀬さんはいつものようにノートパソコンでSF小説を執筆している。

「尾瀬さんはSF作家になりたいんですか?」

「なりたい……」

「ボクも作家になりたいんですけど、参考までにSFの新人賞について教えてもらえませんか」

「創元SF短編賞とハヤカワSFコンテストがある。小説家デビューに直結しているのは、ハヤカワの方だと言われている……」

 小牧さんは漫画「進撃の巨人」を読んでいる。

「ガビ許せねぇ」とつぶやいていたから、×××が死ぬ巻だろう。

 土岐さんはラノベ「りゅうおうのおしごと!」を読んでいる。りゅうおうというのは、将棋のタイトルの一つ、竜王のことだとは知っている。

「これは本当に名作だから、愛詩も読んでみるべきだよぉ」

「じゃあ貸してください。将棋がわからなくても楽しめますか?」

「楽しめるよ。でも将棋がわかっていたら、より楽しめるよ」

「将棋の基本がわかってから読むことにします」

「じゃあ今から教えてあげるよ」

 土岐さんはラノベ文庫をテーブルに置き、本がぐちゃぐちゃに詰まっている棚から将棋盤と駒を取り出した。そんなものがあったのか。

「駒の並べ方と動きは知っているかい?」

「そのくらいは知ってます」

「じゃあ居飛車と振り飛車とかは知っているかな?」

「なんのことかわかりません」

「とにかく実戦をやってみよう!」

 ボクは傑作だけどやたらと長くて読むのがたいへんな劉慈欣のSF小説「三体」の第二巻上を置いて、土岐さんと向かい合った。

 土岐さんは将棋素人のボクを相手に大人げなく棒銀とかいう戦法を使って、三回連続でボクを惨敗させた。不愉快になっただけで、まったく面白くなかった。将棋盤を見るのも嫌になった。

 土岐さんのせいで「りゅうおうのおしごと!」の読者は一人減った。

 将棋なんて、二度とやるものか!

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