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作家志望愛詩輝の私小説  作者: みらいつりびと


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村上劉輝の反抗

 ボクはシナリオ「愛は理解不能」を渾身の力を込めて完成させた。

 SF研究会で脚本読みを行った。

「よくできてる……」尾瀬さんが誉めてくれた。

「いいんじゃないか。僕たちの力で撮影できる範囲内で、よくまとまっている」これは小牧さんの弁。

「たい焼きをあげる」和歌さんは恵比須顔だ。

「これで愛詩がプラグスーツを着れば完璧だよぉ」

 土岐さんはまだセクシーなスーツにこだわっている。だーめ。ゴスロリを着るんだから。

 村上会長は無言だが、すでにこのシナリオに目を通し、オーケーを出してくれている。

 ボクのシナリオは通った。

 と思ったのだが、村上くんがしぶった。

「中国人のおれが国会議事堂前でアジテーションとかあり得ない! 輝ちゃんはおれを国外追放にする気か?」

「そんなつもりはないよ。それにこのシーンは映像だけで、実際にアジったりはしない」

「国会議事堂前で拡声器を持っているおれの映像が残るだけで、大問題なんだよ! おれは家族から怒られる。日本政府から目をつけられたら、将来仕事がやりにくくなる。おれは一般人じゃないんだ。中国の大実業家の息子なんだぞ」

「わかった。このシーンは削るよ。かわりに東京タワーの前で撮影しよう」

「東京タワーでもスカイツリーでもだめだ。日本政府に反抗してるような映像はいっさいNG!」

「村上、それではこの映画は成立しなくなる」

「白紙に戻しましょうよ。そもそもこの映画、日米中戦争まで発展するんですよね。そんな映画には出演できない。おれには本国での政治的立場というものがあるんです。政治色のある映画に出れるわけがない。一切関係したくないです」

「いまさらそんなこと言わないでよ」

「最初はシンギュラリティAI美少女型アンドロイドが出てくるだけの映画のはずだった。それだけなら何の問題もなかった」

「シナリオ第1案を読んだときは、主役ができるって喜んでいたじゃない。あのときにも日米韓中朝戦争に触れていたよ」

「ちょっと出てきただけじゃないか。だからおれはこの映画の政治色に気づけなかった。今のシナリオを読んで、政治的な映画であることが明らかになった。中国と日本の対立を煽る反中的映画だ。おれは断じて出演しないし、こんな映画が撮影されることに反対する!」

「村上、おまえは友人役をやってくれ。主役は小牧に変更する」

「このシナリオに大反対だっつうの!」

 村上劉輝くんはキレていた。会長に対して反抗した。

「落ち着け村上」

「これが落ち着いていられるかよ。このサークルの政治的立場が明らかになった。反中で好戦的な団体だ」

「ちょっとやめてよ。反戦的思想からこの脚本を書いたのよ。こんなことが現実化してはいけないという警告を込めて」

「中国が日本を核攻撃すると書いてある」

「そこは明示していないわ。北朝鮮からの攻撃かもしれない」

「とにかくアメリカと日本と韓国が、中国と北朝鮮の同盟軍と戦争するってストーリーがあり得ない。先日はその危険さに気づかないで失礼した。今は気づいた。おれは出演しない。それだけじゃない。この危険なサークルにはいられない。退会させてもらう。あなたたち反中派とは一緒にいられない。失礼する!」ものすごい剣幕だ。

「待て村上。結論を急ぐな!」

 会長が引き止めたが、村上くんはさっさと退室してしまった。

「ボクのシナリオのせいで……」

「おまえのせいじゃない。俺の責任だ。会長で監督である俺の」

 藤原会長はうつむいて、両手で顔を覆った。

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