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キィィィ…パタン
ガサッ…ガサガサ……
「っふぅ~ さ、行かなくちゃ」
夜、誰にも見つからないように抜け出し、事前に手配していた馬車に乗る。
家族たちは20時までに寝る良い子だと思っている私が、実は家を抜け出し町へ出歩いているなんて夢にも思わないだろう。
馬車に揺られること約20分、とあるコーヒー店の前で降りる。
ドアを開けると落ち着いた雰囲気でコーヒーのとても良い匂いに包まれる。
『リーベン・ツァイト』
このお店の名前、私はここで2時間だけ働かせてもらっているのだ。
「マスターこんばんは!よろしくお願いします」
「リィナちゃん、こんばんは。よろしくね」
マスターが淹れるコーヒーが人気で常連さんも多くいる。
「あ!リィナちゃ~ん、コーヒーおかわり~。ジェイドもいるだろ?」
「あぁ」
「はーい!」
ラルフさんとジェイドさんもそのうちの二人である。
二人はここで出会って仲良くなったみたい。
そこまでたくさんの人の出入りはないけれど、いつかくる婚約破棄後の人生を考えて、社会勉強もしつつあわよくばパートナーも見つけれたらな~なんて思ったりしている。
読んでいただきありがとうございました!