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ーーー10年後、ディフォルド王国 モンブラム公爵邸
私リィナ・モンブラムは今、ルーク王太子とお茶を飲んでいる。
なぜ公爵令嬢の私と王太子が2人でお茶を飲んでいるかというと……
私たちは親が決めた婚約者同士
でも、私たちが結婚をすることはない。
ーーーなぜなら、ルーク様は私の侍女カティーと結ばれるのだからーーー
私が物心ついた頃から決まっていること、2人は運命の人なのだ。
***
風邪や腹痛、当時10歳の子供ができる最大限の仮病を使ってどうにかルーク様と会う機会を先伸ばしにしていたけれど、美術館に行こうと父親に連れられ、たどり着いたのがまさかの王室。
観念して初めてルーク様に会ったあの日、優しい笑顔を向けてくれて (たぶん作った笑顔だったんだろうけど) あんなにも会いたくなかったのに、この方がカティーを幸せにする人なんだと思って嬉しくなった。
そして1ヶ月後には私は婚約者になっていたけれど…
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ルーク様はカティーに会いたいから私とお茶をしているのだ。
世間体を気にするのは分かるけれど、私から婚約破棄なんて出来ないし…
なんて思っているのに、ルーク様、私を見ながらニコニコしている…
少し離れたところにカティーがいるけれど、カティーと同じ空間にいるだけでそんなにも嬉しそうにするなんて、仮にも私は婚約者なのに隠そうともしないのね。ま、いいけど。
「ルーク様、そろそろお時間です」
読んでいただきありがとうございました。