第18迷宮 質問タイム
ダンジョンマスター……ダンジョンマスターね。
そう言われると、それしか選択肢が無いような気もしてくる。
しかし、その姿はどうしたんだろう?
明らかに人間じゃないようだけど……それも聞かなくちゃいけないな。
どうやって色々質問しようかな?って僕が思案していると、くぅ〜っと何処からか音が鳴った。
僕じゃないし、エメラルドでももちろん無い。
リディアの方を見てみると、目尻を下げて、白い頬を少し赤く染めているので恐らくそういうことなのだろう。
うん。僕もお腹すいたし、質問は後回しにして今から夕飯としよう。
今日の夕飯は、勿論果物の盛り合わせ。
そろそろ果物だけで栄養が足りてるのか気になり始めた頃。
だけど、前にフルーツだけで生きてる人が居るみたいなのをテレビで見た気がするから大丈夫だと信じてる。
塩分とかが少し怖かったのだけど、ダンジョン内に用意された立派なキッチンには、引っ越しの際に用意した調理器具一式と、なぜか調味料一式だけは置いてあった。
それを残しておくぐらいだったら、持ってきた米とかも残しておいて欲しかった。
実家から送って貰って米袋1つ分用意していたのに。
炊飯器だけあっても米が無くちゃ意味がないんだよ!
他にも、野菜とかお肉とか卵とか……。
ちょっと恨めし過ぎて、変な方向にずれてしまった。
お腹が空いたので、エメラルドに果物を色々出して貰うことにする。
その前に大急ぎで、少し遠くのキッチンから皿とナイフを取ってくる。
僕とエメラルドだけだったら丸齧りでいいんだけど、流石に客?にまでそれを強要するのはまずいので。
キッチンからナイフとお皿とフォークを取って自室に帰ると、早速果物を切り分けていく。
りんごを半分に切って、更に4等分。ヘタと種を切り抜いて、皮に切り込みを入れてっと。
ほらっ!うさぎリンゴ!
久しぶりだったけど、上手く出来た。
食塩水用意すればよかったかなぁ。
料理できるほどじゃないけれど、こういうのは手軽に料理できる人みたいな感じが出るから好きでよくやっていた。
タコさんウインナーとか、卵焼きとかね。
「どうぞ」
出来たうさぎリンゴをお皿に乗せて、リディアに手渡そうとする。
それに対してリディアは、眉を下げて不安そうな顔でこちらを見ている。
もちろんどうぞ、このダンジョンの取り柄といってもいいぐらいに自慢のリンゴなので、是非食べて欲しい。
という思いを込めて精一杯優しげに頷く。
「可愛い。頂きます」
皿を受け取ってリンゴを口へ持っていった。
シャクシャクとリンゴを食べる音が部屋にこだまする。
ちゃんと食べてくれたので、僕の分やお代わりするかも知れない分のうさぎも作る。
せっかく作ったうさぎリンゴだけど、リンゴのサイズが大き過ぎるせいで、なんだかモンスターみたいだ。
食事を終えてからしばらく経った。
リディアはお腹が空いていたのか、暫く何も食べていなかったのか、結構な量を食べたので皮剥きが面倒くさくなって、最後はバナナで誤魔化した。
さて、食事をしたことでなんだか空気も和んだので、早速質問タイムと参りますか。
色々と聞きたいことがあるのでテンポ良く聞いていくことにする。
①どうしてあそこにいたのか?倒されていたモンスターは君が倒したのか?
「元に戻す方法を探しに来た。モンスターは全部倒してた。だけど」
あのトロールにやられてしまったってことか。本当タイミングよく助けられてよかった。
後、気になるのは、元に戻す方法ってところか。
「元に戻す方法って何?」
そんな方法があるのならそれに越したことはないんだけど。
「分からない……けど、あそこにはあると思った」
全ての可能性を曲解したのか?
たしかに、なんでもあるようなイメージはあるけど、普通の生活に戻る方法を探そうとは思っていなかった。
②もしかしたらいやなことかも知れないけど、その姿は、どうなっているのか?
「チケットで出てきた変な男に名前をつけたらこうなってた」
チケットに謎の男?新しい単語が出てしまった。
聞きたいことが増えたな。
「チケットって何?」
「ダンジョンを開いたら貰った。強いモンスターを手に入れられるやつ」
えっ、ダンジョンを開いた?
これを地球と繋げたってことだよね。よくそんな勇気があるな。まだ1週間も経ってないのに。
僕なんてギリギリになるまでいいかな。なんて考えていたのに。
それは、後で悩めばいいか。
要するに、強力なモンスターを入手できるチケットを使ったら変な男が現れて、名前をつけて眷属にしたら自分の姿が変わってしまったって事だろう。
ちょっと待って、眷属にしたらダンジョンマスターの姿も変化するってこと?
多分だけど、リディアの召喚したモンスターっていうのはドラキュラだったんだろう。
見た目がそれっぽいとは思っていたから。
変な男っていうイメージも分からなくはない。
それだと……僕は。肌がスライムってない?
最近、朝顔洗う度に、肌がプニプニでハリがあるなぁ、みたいなおばあちゃん思考だったんだけど。
ダンジョンマスターになったからじゃなくて、肌がスライムに寄っていたから?
気づきたくは無いことに気づいてしまった。
いや、嫌なわけじゃないよ。エメラルド可愛いもん。
生活に支障は無いし。
③ダンジョン開いて何かあった?
ダンジョンを地球に開いたってことは、先輩ってことなので、聞けることは聞いてしまおう。
「外には出れなかった」
そうなんだ。ダンジョン解放すれば、外と繋がって食料関係豪華になると思ったのに。
肉が欲しいから、イノシシでも買って解体するしか無いのかな。
「チケットの他には何か貰えた?」
「ポイントも貰った、残り日数分」
残り日数分のDP。
なるほどね。先に開いたら不利になるのかと思ったんだけど、最初にDPを貰えるのならそれは大きい。
スポーンブロックなんかは早く作れば作るほど効率がいいだろうから。
でも、僕はある程度、初期投資は出来たからそこまで急がなくても大丈夫かな。
質問を考えていたら、疲れが来てしまったのか、すーっとベットから寝息が聞こえた。
魔石をどうするか話会う前に寝てしまったみたいだ。
仕方ないから今日はこんなところで終わりにしようか。
さて……僕は今日何処で寝よう。
ーーーーーーーーーー
所持 100
獲得 魔石B 100000
越日 200
消費 翻訳 3000
毛布 10
差引 97290
これからの執筆活動、少しでも応援して頂ければ幸いです。
平和な松ノ樹




