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第17迷宮 ダンジョンマスターの少女


 あの部屋からドロップアイテムを全て拾って自分のダンジョンへ戻ってきた。


 僕が来る前に倒されていたCランクのモンスターの魔石や、ドロップアイテムも全てちゃんと回収した。


「お疲れ様〜」


「キュー!」


 意識を失っている女の子も一緒に脱出できた。お姫様抱っこで。


 なんでお姫様抱っこなのかというと、抱えるのにこれが1番楽だったから。

 軽くて柔らかかった。いや、変態っぽいからやめておこう。


 もしかしたら僕たちしか脱出することが出来ないのかも知れないと心配していたので本当によかった。


 もう一度あそこへ戻るなんて事は出来ないだろうから。



 しかし、どうしようか。


 つい守ってそのまま連れてきちゃったんだけど、そもそもなんなのだろうこの子は?


 金髪の外国人の少女のようだけど、明らかに人間じゃない。


 背中には骨張った大きな黒い羽が生えているし、肌は血が通ってないかのように真っ白だ。


 もう少し人外っぽい姿だったらモンスターと見間違えていたかも知れない。

 モンスターと戦っていたみたいだから勝手にこちら側の存在だと思ったけれど、実は突然変異したモンスターなのかも……。


 そんな少女の扱い方なんて分からない。


 そもそも女の子にそんなに耐性がないし。


 ここ3年間女子()としか話してなかったから、こんなに綺麗な子なんて……。


 眠っている女の子を抱えて途方に暮れる僕。


 いや!この状況誘拐犯みたいじゃん。


 犯罪者……いや、人殺しになるかも知れないから犯罪がなんとかとか言える立場じゃあないんだけどさ。


 本当に参った。


 どうしようか。トロールを倒してテンションあがっちゃってたんだなぁ。

 あそこで目が覚めるのを待つって考えもできたのに。



 とりあえず、ベットに寝かしておこう。


 僕のベットで悪いけど、わざわざ用意するのも勿体無いから我慢して欲しい。


「よいしょっと」


 自室のベットまで運んで横に寝かせる。


 服は汚れてしまっているけど、見た限り怪我はないのでポーション3本で全て治ったのだろう。


 とりあえず布団をかけてあげる。……臭いとか言われないよね。


「おやすみ。ゆっくり休んでて大丈夫だよ」


 こっそり頭を撫でてもバレないかな?


 少しだけ。


 頭を撫でようと僕が彼女の頭に手を置くと、彼女はボソリと何かを呟いた。


 日本語じゃ無いみたいだ。今まで聞いたこともない言葉でボソリと言ったので、彼女が一体何を言ったのか分からなかった。


 何語だったんだろうか?英語ぐらいならなんとかなるんだけど、そんな感じじゃ無かったし。

 モンスター語だったりするのだろうか。


 言葉がわからないと起きた時に会話が出来ないな……そうだ!


 面白いなと思っていたスキルがあったのでここで買ってしまおう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翻訳 3000DP

あらゆる言語を理解し話すことが可能になる

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 さっき手に入れたBランクの魔石を早速DPに交換する。

 せっかくの大きな魔石だったので、部屋に飾ろうかとも思ったのだけど、使った方が今後のためだろうし。


 そうして手に入れた10万DPを使ってすぐに翻訳のスキルブックを購入した。


 スキルブックをパラパラするともう一回少女の頭を撫でる。


 今度は理解出来るから。


「お兄ちゃん……」


 僕のベットでスヤスヤ寝ている女の子の頭をゆっくり撫でると、あろうことか、少女は僕の手を掴んでそう言った。


「うっ……可愛い」


 いや、変態っぽいから!


 ゆっくりと掴まれた手を解こうとしたが、意外と彼女の力が強くて手を離すことが出来なかった。

 力を込めれば外せるだろうけど、起こしてしまうかも知れないので。


 僕がそんな葛藤をしていると彼女は、そのまま捉えた僕の手を両手で抱えた。


 つまり、そのまま僕の手は彼女の胸のうちに収まってしまったのだ……。


 やわっ……僕は変態じゃない。心頭滅却!







 その状態のまま数十分が過ぎた。


 手を離すことすら出来ず、動かしてしまうことも憚られたので全力で10万DPの使い道を考えていた。


 まず、ダンジョンスペースを拡張して、モンスターのスポーンを増やして、スペースボス用のリーフスライム用意して。



 ともすると、少女の抱いていた僕の右手が離された。


 えっ、と思ってベットの方へ視線を向けると、真っ赤な瞳と目が合った。


 綺麗な顔だなぁ、なんて現実逃避してしまう。


「あっ。えっと、おはよう?」


 とりあえず挨拶をする。そう!挨拶は大事だから。


 何故かわからないけど、僕の方が緊張してるんじゃないだろうか。


 しばらく睨めっこのように視線がぶつかったままだった。

 どうしてここに居るのか考えてるんだろう。


 暫く待つと少女がやっと声を出した。


「あ、あなたがあそこから助けてくれたの?」


 やっぱり警戒してるよな、びくびくしながら質問をすると、こちらの一挙一動を逃さないように見てくる。

 だから、なるべく脅かさないようにしないと。


「うん、ちょうど通りかかったからね」


「ここは?」


 今自分がどこに居るのかってこと?それなら。


「ここは、僕のダンジョンだよ」


 勝手に連れてきちゃってごめんね。


「ダンジョンマスター?」


 ダンジョンマスターがわかるなら話が早い。


「そう。ここのダンジョンマスターをやってる大樹っていう」


「私は、リディア・ヴァイゼンボルン。私もダンジョンマスター」


 なるほどね。ダンジョンマスターなのか。……ダンジョンマスター!?



これからの執筆活動、少しでも応援して頂ければ幸いです。

                 平和な松ノ樹

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― 新着の感想 ―
[気になる点] →背中には骨張った大きな黒い羽が生えている これって鳥みたいな翼ですか?それとも、コウモリみたいな翼ですか?
[一言] まあそりゃダンジョンマスター でしょうね。 逆に人間がいたらびっくりですし。
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