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第13迷宮 初ダンジョンアタック


 真のダンジョンというものがあることを知ったので、昨日1日を掛けて、ひとまず武器やスキルを準備した。

 杖も作ったし(結局買った)スキルも大量購入して手に入れた(使えるか分からない)。


 これで、自分が納得できるまで準備が整ったので、今日は真のダンジョンへ向かうことにした。

 とりあえず今日は、お試しというつもりだけど。



 武器やスキル以外に用意した持ち物は、リュックサックに詰めてある。


 多分必需品だろう懐中電灯とナイフ。

 他にもおやつ程度の食糧とペットボトル2本分の水、メモ用のルーズリーフと文房具と使えそうな工具を詰めた筆箱を詰めておいた。


 その他にも、回復ポーションを買って用意した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

回復ポーション E

HPを100回復する

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 Eランクのポーションで1本500したので、それが3本しか買えなかった。

 ポーションはHP回復用だけじゃ無く、軽い怪我ならすぐに治る外傷用の万能薬らしいので、DPギリギリまで使って用意した。


 なるべく攻撃なんて受けないように行動しようと思うけれど、ポーションが無かったら怖いので。



 完全にマジックバック扱いにしてしまっているけれど、エメラルドにも荷物を持ってもらった。

 もしものための食料2日分ぐらいと水5日分、毛布を。


 装備品は、新しいものをなんとかして買うことも考えたけれど、安い初心者用の防具などは服だと何も能力がなく普通の服でいいじゃんと思ったのでやめた。


 一応買えなくはないぐらいの鎧があったけれど、それだと防御力を上げる能力が多少付いている分、鎧という着た事のない服装で十分に動ける自信はなかったからやめておいた。


 結局1番動きやすいだろう普段部屋着で着ているジャージで行ってしまうことにした。

 使いやすいのでお気に入りではあるが別に汚してしまっても惜しいものではない。

 今のショップでは手に入らないが、外と繋がることが出来れば多分入手できるし。



 忘れている物がないといいのだけど、武器と回復薬があれば最悪すぐ引き返すことぐらいできるだろう。


 そう信じて、さぁ!ついに初めての冒険と行きますか!



 ダンジョンマスターの部屋の真ん中に据えてある玉座の背面をまっすぐに行った先にその入り口はある。

 筈なのだけど、


「完全に壁だなぁ」


「キュー!」


 後ろの壁まで来てみたのだけど、切れ目があったりとかはしなさそうだった。

 この場所は巨大な樹を切り抜いたような場所なので、縦に木目が入っていたりするのだけど、触ってみてそこが開くような感じもしない。


 暫く調べていたら、壁に真っ黒なビー玉ような物が埋まっているのを見つけた。

 その球を触ると、その周囲から壁が崩れ始めた。なんか既視感がある。


「なるほどね」


「キュー?」


 暫くすると、目の前には扉があった。

 この調和の取れていたマスタールームには似つかわしくない黒く小さい扉だった。

 小さいと言っても、無意識に入り口と比べてしまっただけで、この扉実際には3メートルぐらいはありそうだ。


 その扉に手をかけ押し開こうとすると、隙間から黒いもやが広がってきて、僕を包み込んだ。

 僕の下で驚いているエメラルドと共に。



 次の瞬間僕たちの体は薄暗い場所にいた。


「うわっ、まんまダンジョンって感じだな」


「キュー」プルプル


 目の前には、横幅5メートル縦5メートルぐらいの通路が先が見えないほどずっと続いている。


 灯はないのだが周囲は明るい。

 しかし、先まで見通せるほどでは無く、決して視界は良好とは言えない。

 すぐに持ってきた懐中電灯をつけて、先を見通せるようにする。


 これぞまさにダンジョンだろう、薄暗く洞窟の様なのにそこまで狭くなく何故か均一でまっすぐな道、ゲームの世界のダンジョンが現実に現れたらこうなんだろうなっていう形をしていた。


 そんなゲームの世界のような光景に少し感動してしまう。


 とりあえずモンスターは周囲に見えず、感知のスキルでも何も感じられないので今のところはきっと安全だろう。


 なんとも無しにメニュー画面を開いてみると、ダンジョンマスターの能力は一部だけが使える様だった。


 メニューの諸々は使えなくなって移動もできない代わりに、鑑定と緊急脱出というものが使えるようだ。


 自分のダンジョン内にあるものの情報は、メニューを開くことで全て分かったのが、ダンジョン外では鑑定スキルになったらしい。


 それにダンジョン操作の能力でダンジョン外では、一瞬で自分のダンジョン内に戻ることが出来るらしい。

 これで万が一の時一瞬で離脱できる。

 メニュー画面を開いてからじゃないと使えないから少し手間がかかるようだけど、安心して進めるようでよかった。


「見た感じモンスターは居ないけど、気をつけて進んでいこう!」


「キューイ!」


 暗く真っ直ぐな洞窟を進んでいく。


 初めは、これこそがダンジョンだ!と興奮していたけれど、静かで暗い閉じた世界はとても不気味で怖く感じた。

 これぞダンジョンという風格を持った、薄暗く不気味な洞窟を一歩ずつゆっくりと進んでいく。






 最初の敵はなんだろうとか、怖いよね?とか、エメラルドに話しかけて気分を紛らわしながら。


 僕の中身のない言葉にちゃんとキュー!って返答してくれるエメラルドがどうしようもなく可愛い。




 キュー!キュー!って言われても何がなんだかわからないけど。






 そうこうしながら一切の凹凸すらない直線の洞窟をゆっくり進んでいく。






 10分ほど進んだかどうかのところで初の敵モンスターを発見した。




 初めに見えたモンスターは、身長1メートルほどの体躯で手には少し太い木の棒を棍棒のように持ったモンスター。


 ゴブリンだった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


種族ゴブリン E


レベル 5


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 視界に入ってすぐに鑑定してみると、ゴブリンはEランクのモンスターらしい。


 普段使っているダンジョンメニューよりも表示される項目が少ないようだ。




 敵は、今数十メートル先をゆっくりとこっちに向かって歩いている。


 このまま進んだらかちあうだろう。


 しかし、まだこちらに気づいているそぶりはない。






 という事で、先制攻撃しますか。




「第一モンスター発見!行くぞ!」




 自分を鼓舞するためそう大声で叫び、前傾姿勢になって地面を蹴った。




 数十メートル先のゴブリンに向かって駆け出していき、一瞬で距離を詰める。




 周囲の景色が物凄い速さで動くので、全力で駆け出すとこんなスピードが出るのかと、自分でも驚いた。




「おらっ!」




 そして、その勢いのまま思いっきり杖を振りかぶり、木魔法で金属のように硬く強化した杖で、フルスイングした。




 普通に魔法攻撃すればいいのに、詰め寄って思いっきりぶん殴った。






 それをまともに胴で受けたゴブリンは、その勢いによって吹っ飛んでいったと思うと、近くの壁にぶつかるり青い花が咲かせた。




「えっ、うわっ……。うぷっ……」




 そんなグロい光景を、至近距離でしっかり見てしまったのだ。


 なまじ戦闘モードで動体視力が良くなっていたらしく、ゴブリンがしっかりと潰されていく様がわかってしまった。


 流石にそれに耐えきれなくなって、口を抑えた。




 すると、散ったゴブリンの残骸は、淡い光になってダンジョン内に溶けていった。




 それを視界に抑えつつ、ゆっくりと座り込んだ。




「やばい……ちょっと調子乗った、もうちょっとで戻すところだった」




 初めての攻撃が、目の前で人型モンスターの爆散とくれば、誰だってトラウマものだろう。


 たとえ、精神が強化されているダンジョンマスターであろうと。




 せめてもの救いは、ゴブリンの体液が青かったことかな。






 暫くそのままで、リュックから出したペットボトルで水分補給しながら心を落ち着かせる。


 後ろから追いついていたエメラルドが心配そうに体を寄せてくる。




「キュ、キュー?」プルプル




「ごめん、大丈夫」




 そのまま、数十分休んでいたかったが、心配してくれている様子のエメラルドをひと撫でして立ち上がる。


 大丈夫、ちょっとびっくりしただけ。


 こういうこともある世界だってことは想像していた。


 そう自分に言い聞かせる。




 でもまぁ、ひどい目にあった。もっと酷い目にあったのは敵さんだろうけど。


 でも、思っていたより僕って強いのか。






 一応Eランクのモンスターだったし、強さはエメラルドと同じぐらいなはずなんだけど。


 そしたらエメラルドも全力で殴ったら爆散するのか?いや、想像でも良くない。




 ちょっと近づいてファイア!と思ったら、自分でも意味がわからないトップスピードが出たので勢いづいちゃった。


 ダンジョンマスターのステータス怖いなぁ。






 そんなことを考えながら、改めてゴブリンの弾け飛んだ後を見てみると、地面に消しゴムぐらいのサイズの黒い宝石のような物体が転がっているのを見つけた。




 拾って近くで見てみると、丸いけれど真球ではなくカクカクした100面ダイスのような形をしている。


 その透き通った黒には流動的に魔力が渦巻いていて銀河系の模型のようだった。




 綺麗すぎてつい言葉を失ってしまうほどだ。


 最近、この世のものとは思えないほど綺麗なものを見る機会が多い気がする。




 別の世界だって言ってしまえば、それまでなんだけど。






 さておき、今手に持っているこれは、魔石というものだろう。


 初めて見る物なのだけど、よく知っている。




 魔石っていうのは、モンスターが倒れたときにそのランクにのよって出現するドロップアイテムみたいなものだ。




 つくづくゲームみたいな世界になったなと思う。




 これは、魔道具、杖などの素材に使うこともできるし、魔法の種にもなる。




 これに向かって魔法を打つと、含まれている魔力分強力になって発動するという優れもの。




 もちろんそういう使い方をするのもいいのだが、僕達ダンジョンマスターとしてはまた違う使い方がある。




 それは、マーケットの機能で現れる黒い窓に放り込むとDPとして還元されるというもの。




 もちろん魔石はそのままでも使い道があるので、マーケットでそのまま売却することもできるが、問答無用でDPとも交換できるようだ。


 Eランクの魔石で100DPなので、一体倒すと同じランクのモンスター(属性&種族一致)が生成できる分にはなる。




 これでマーケットに頼らない金策ができる。


 案外敵モンスターが弱かったので、簡単に集まるかも知れない。




 それにしても綺麗だな。単純に宝石としても価値がありそう。


 ひとつぐらい自分の部屋にとっておきたいと思ってしまう。


 もうちょっと大きいの見つけたら。






 下手にリュックに魔石を詰めていると、魔法を使うモンスターが出た場合詰んでしまうかもしれないので、エメラルドに持ってもらう。




 エメラルドの収納スキルは仕組みはわからないが、別の空間に送られるようなので、安心して保存できる。






 それからは一応迷子にならないようにしっかり持ってきていた紙にマッピングをしながら歩いた。


 と言っても地図なんて書いたことないしスキルもとってないので、どのくらい行ってどう曲がったかとしか書いてないが。




 緊急脱出があるので、ある程度気にしなくても大丈夫だと思う。


 けど、一応闇雲に探索するよりはマシだろうと思って。




ーーーーーーーーーー


所持 1600


消費 Eポーション 500×3


差引 100



これからの執筆活動、少しでも応援して頂ければ幸いです。

                 平和な松ノ樹

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