第12迷宮 スキル大量購入
「全部欲しいんだけど……そんなことしたらDP足りないどころじゃないからなぁ」
昼過ぎまで武器の製作を試した後、椅子に座って寛ぎながら、ショップのスキル類を見ていた。
真のダンジョンというものに向かう前に、最低限戦闘系や探索系のスキルが欲しいと思ったので、いろいろ見ていたのである。
時間をかけて見ていった結果めぼしい物を幾つか見つけた。
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体術 3000DP
体を使った攻撃が出来る
悪路走行 5000DP
道無き道の移動が出来る
索敵 5000DP
周りにいる敵の確認が可能になる
感知 5000DP
周囲の状況を感知することが可能になる
杖術 3000DP
杖を用いた攻撃が出来る
回避 3000DP
敵の攻撃を見て回避出来る
受け流し 3000DP
武器を用いて攻撃の受け流しが出来る
光魔法 5000DP
光属性の魔法が使用可能になる
火魔法 5000DP
火属性の魔法が使用可能になる
状態異常耐性 5000DP
状態異常を軽減する
苦痛耐性 5000DP
感じる痛みが軽減する
精神耐性 5000DP
精神攻撃を軽減する
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欲しいスキルが多すぎて、全くと言っていいほどDPが足りていない。
この中でも個人的に確実に取っておきたいのが、体術、感知、火魔法、状態異常耐性である。
まず体術は、これまで学校の体育ぐらいでしか体を動かした事のない自分がある程度ちゃんと動けるようになるために1番あったスキルだと思った。
杖を手に入た後、何か戦闘系のスキル手に入らないかな?と1人で2時間ぐらい大立ち回りしていたが、何も手に入らなかった。
農業とかは案外すぐにあったのだけど。
杖術は無理でも、体術ぐらい手に入ってもよかったのに。
やっぱり実戦じゃなければ厳しそうだ。
でも、体を使う戦闘スキルが1つも無い状態で挑みたくないので、体術だけでも必需品だろう。
そして、せっかく魔力が高い上に杖を使うなら攻撃魔法をバンバン使いたいので、火属性魔法。
他の属性でもいいんだけど、イメージ的に初期の能力で一倍火力が出そうだったから。
ダンジョン内で、モンスターや罠などの情報を手に入れるのに、索敵よりは範囲は落ちるが敵と罠の確認が出来るだろう感知。
エメラルドもいるけれど、ほぼ1人で行動するだろうから、もし麻痺とかにかかるとそのままゲームオーバーになりかねないので、状態異常耐性。
以上の4つである。
しかし、この4つを取るだけで18000DPも消費するのだ。
幸い現在2万弱ぐらいのDPがあるので、ギリギリ足りる。
だけど、他にも敵の攻撃が怖いから、受け流しとか苦痛耐性も取っておきたい。
回復出来たり、光源を用意できる光魔法も捨てがたいし……。
万が一の事態を考えると他にももっと欲しい能力が沢山あるけれど、それをするのには全然足りない。
もう一回果物売りまくって荒稼ぎしようかとも思うけれど、実は他にも同じ事をしている人が出て来ていたようだった。
今朝、採集したフルーツをマーケットで売ろうとしたら僕が売る前に10DPで他にも売っていたものがあったので多分そういうことだろう。
値段が落ちた訳じゃないようだし、その後見ると売っている時といない時があるので、売れば買う人がいるのだろう。
しかし、どうしても効率は落ちる。
散歩していて果物を見つけたら、もちろん収穫して売却するけれど、さらに果物の木を買ってまではするべきじゃないだろう。
流石に杖を量産している人は僕以外に居ないみたいなので、本気でDP稼ぎをするならそっちにするべきなはず。
「まぁ、いいや。とりあえずこれ全部買っちゃうか」
今回選んだ能力は、本気で長い一覧から絞りに絞った結果なのでもう全部買ってしまう事にする。
もしかしたら、木属性魔法や他のスキルのように探索などをしているときに身につける可能性があるスキルもあるかも知れない。
そうなると少しもったいないかもしれないけれど、もしかしてで行動するには怖い部分なのでこの際は割り切ってしまおう。
幸い初っ端から大金(DP)を手にしているのだから、万全を考える余裕は十分にある。
DPを消費して決めたスキルブックを全て購入すると、午前中のようにまた題名としてスキルの名前だけ書いてある本が4つ現れた。
購入した物の出てくる場所は、ある程度想像通りになるようで今回は手元に出す事が出来た。
そのおかげで立ち上がらなくて済んだ。
それらを全てパラパラと流し見すると、スッと姿を消した。
おそらく、スキルを獲得することが出来たのだろう。
「よしっ、これでスキルを獲得できたかな?試してみるか」
「キュエ?キュー!」
ずっと膝に乗せていたエメラルドを抱えて、立ち上がろうとする。
少し驚かせてしまったみたいで初めて聞く声を出させてしまった。
リラックスしていたところ申し訳ない。
昨日からエメラルドを膝に乗っけることと、暇な時に撫でるのが癖になってしまい無意識に行動してしまった。
もっと気を使ってあげないといけない。
「ごめんね、大丈夫だった?」
「キュー」プルプル
撫でてあげるとぷるぷる震えて喜んでいる、可愛い。超可愛い。
試すのは、もちろん火魔法。
「その前にここから出ないといけないな。こんな思いっきり樹の中で火魔法撃って、家がなくなったら洒落にならないから。エメラルド、行くよ」
「キュー」
エメラルドを抱えると、このダンジョンで唯一周りに木の生えていない入り口付近まで移動した。
「さて、早速試してみますか。的は扉で、流石に扉が燃えることはないでしょ。きっと……」
扉は見た目木製ではあるけど、開けるのに許可が必要な扉が燃えてしまう事は流石に無いと思う。
「よし!」
木魔法を使ってたから、魔力の使い方みたいなのはなんとなくわかる。
それを杖の先に集めて。
大きな火の玉が出るイメージで発射する。
「ファイアボール!!」
杖の先から出たのは、想像していたような大きな火の玉ではなく、野球球ぐらいしかない火の玉だった。
それも50メートルぐらい先の門に当たることなく、数十メートル進むと消えてしまった。
「よしっ!できた!」
出来たのはいいけど、やっぱり最初はそんなに強く無いか。
木属性魔法も今のところ、このダンジョンで草結びして相手を転かすぐらいしか使い道がない。
昨日自室で試してみたのだが、木属性魔法で植物を生やすのはもともと木とか草じゃないと出来ないみたいだ。
プラスチック製の机などからは出来なかった。
なので本当に洞窟だと使えない子になってしまう。
所詮まだ魔法初心者だから仕方ない。
せっかくなのでメインウェポンにしたいので頑張って練習しよう。
他のは試しに使ってみようとして出来るような物ではなさそうだ。
体術は戦ってみないと解らないし、正直、ダンジョンマスターになった影響で、身体能力は上がったので実感が湧かない。
感知と言っても、これもダンジョンマスターになったおかげで自分のダンジョン内は何故か把握できている。
状態異常耐性も試すために毒草を齧るのはなかなかに勇気がいる。
そういう狂気的な行動をとれる人が強いのはわかるけど、僕には絶対無理だ。
やるとしても、毒消しポーションが用意できてからにする。
ということで、実際に真のダンジョンってところに行ってみて試してみることにしよう。
よし。これで一通り、ダンジョンへ行くのに十分な能力は獲得できたんじゃないだろうか。
他の人たちがどう頑張っても最初の1万DPをやりくりしてスキルを整えなければいけない中で、僕は2万DP分ぐらいのスキルで挑めるんだ、文句はない。
今日はこれで終わり。
帰って寝ることにする。
「おやすみ、エメラルド」
「キュ……」
所持 19400
獲得 越日 200
消費 体術 3000
感知 5000
火魔法 5000
状態異常耐性 5000
差引 1600
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平和な松ノ樹