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生命線とのご対面

「えええええええええええええええええええええ!」


それをメイドから聞いたときアンナは思わず絶叫した。


明日、第一王子レオンとのご対面だというのだ。そう、5歳のときにアンナは7歳のレオンと初めて会った。そこからがレオンのアンナとの日々の始まりだ。

寝る前には本を読んでほしい。誕生日プレゼントは贅沢なものをたくさん。気にいらないと茶器を投げつけることもあった。3時には学校があっても必ず一緒にお茶をする。

とにかくレオンにとっては地獄なのである。


(もう絶対にあんなことはしない。いい子にしないと。)


のちに革命軍の筆頭になるのはレオンだ。アンナにとってこの男は革命後の生命線。絶対に無下に扱ってはいけないのだ。


「レオン王子はまだ7歳ですがとてもお優しく聡明な方だと聞き及んでおります。アンナ妃殿下が王位を継承された後もよき支えとなってくださるでしょう。」


そう言ったこのメイドはリタといって、革命後も我儘なアンナの世話をそつなくこなしてくれた大変優秀なメイドだ。30代前半のキリッとした顔つきがいかにも仕事のできる女というのを物語っている。


「そ、そうね。とりあえず今日は明日に備えて寝るわ。」





はぁーっふぅーー、はぁーっふぅーー、


「そこまでご緊張なさらなくても大丈夫ですよ。」


「そ、そうよね。私としたことが。」


リタは目を丸くした。この王女に助言したところでまた「うるさいわね。」と睨まれるだけだと思っていた。自分の主人は本当に変わったのかもしれないと微かに胸を躍らせるリタであった。


「ご紹介いたします。この方がリズ王国のレオン・リズ第一王子殿下にございます。」


と言って引き下がる執事長の名前はセバスチャン。とても優しそうな顔をした初老の男だ。だが舐めてはいけない。この男、かなり強いうえにかなり優秀。さすが王家の執事長といったところか。ちなみにアンナは彼をセバスと呼んでいる。


「はじめまして。レオン・リズと申します。」


そこにいたのは紛れもなく王子様だった。7歳なので少し幼さが残るがその姿は物語の王子様のように美しかった。このルックスで文武両道で人徳もあれば人望が集まるのは当然だろう。

久しぶりに会う兄の姿にほんの少し見惚れたアンナは慌てて挨拶する。


「はじめまして。アンナ・リズと申しましゅ。」


(噛んじゃった!ああもう、私ったら!)


自分の顔が恥ずかしさのあまり熱くなっていくのがわかる。こんな失態をして兄に嫌われていないかとチラッと前を見るとセバスチャンは微笑ましいものを見るように目を細め、レオンは優しく微笑んでいた。


(よ、よかった。セーフ。)


アンナはホッと胸を撫でおろす。


とりあえずご対面は無事(?)に終わったのだった。

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