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人材確保 ~アンナ、武器を持って狩人になる~

牢獄回避に向けてアンナが始めたのは勉強だった。

貴族の令息、令嬢の名前の暗記、派閥など。あと国外逃亡することになったときのための食べられる野草などを調べたり、他の国の言語を覚えたり。

それらを中心にアンナはたくさん勉強した。いままでのゴテゴテとしたアクセサリーやドレスもシンプルで淡い色のものに変えた。家庭教師にも愛想よくして、注意して貰ったところは積極的に直し、マナーやダンスの練習にもサボらず取り組んだ。

結果、アンナは努力を怠ってきてためにポンコツだったがある程度ちゃんと取り組めばみるみる吸収し、元の素質自体は地味にハイスペックだったということが判明した。


(案外やればできるじゃない。)




次は、人材確保だ。

革命を防ぐには政治的な対策が必要となる。そのためには自分の右腕となる優秀な文官が必要だ。そもそも君主が何かに成功するとき主に働くのは君主自身ではなくその部下だ。よい君主にはよい部下が集まるから人の上に立つにあたって人望とは必要なのだ。

アンナには心当たりがあった。名前はサイラス。平民の生まれで若い文官だったが革命のときは国王に重用され、国のために必死に働いてくれていた。彼が各地を渡って王国の問題を提示した論文をアンナも王位継承者として読んでおくようにと渡されていた。アンナはそれを読むことなくテキトーに日記の間に挟んでいた。本当にありがたい偶然だ。それを暗記したアンナは早速サイラスを呼び出した。


「お呼びに授かりました。サイラスにございます。」


「あなたには王国の財政などを回復していただきたいのです。」


アンナのその一言にサイラスは内心「は?」と思った。5歳児に何を言われるかと思えば、何も知らない小娘がよくもまあそんなことを言ったものだ。


「妃殿下、国王ごっこをなさりたいなら私ではなくお遊び相手を呼ばれた方がよろしのでは?」


今度はサイラスのその一言にアンナは内心「は?」と思った。どんな返事が返ってくるのかと思えば、こちらの事情など知らないくせによくもまあそんなことを言ったものだ。

事情はタイムスリップ諸々なので知られてはまずいのだが。

とりあえずアンナは少し腹が立った。一泡吹かせてやろうと思った。アンナにはそれに最適な武器があるのだから。


「まず、王国の問題点は...」


アンナには未来のサイラスの論文があるのだ!

内容を全て理解できたわけではないが丸暗記してあるからそれをただ口に出すだけという超ラクチンかつ効果抜群の武器である。


一方サイラスは衝撃を受けていた。


(この方はなんて聡明なんだ。本当に5歳なのか?)


「よって、...」

「もういいです。先程の発言を深く謝罪いたします。このサイラス、アンナ妃殿下に忠誠を誓います。」


(落ちた♪)


アンナの口角が悪人のように上がった。まるで罠にいい獲物が落ちたときの狩人だ。


こうしてアンナはサイラスという右腕を獲得した。




こうして浮かれていたアンナは日記をチェックしていなかったため忘れていた。


自分の生命線ともいえる人物がもうすぐそこまで迫っていることを。



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