100回転生しましたが ~悪役令嬢は、パン屋の娘になりたい~
短編です。
様子をみながら、連載にするかもしれません。
ちょっとスランプ気味なので、寄り道です。
長いです。
どうも。みなさま、ごきげんよう。
私、リリアーネ・トパーズ・エクステリアスと申します。
トパーズの名を受けた、エクステリアス辺境伯爵のご令嬢です。
オーリアリティス国 (つまりここ)の王太子殿下の婚約者です。
14歳です。
え?大人びてるねって?
ええ。背のびはしてませんよ?
転生しているだけです。前世の記憶があるだけです。
99回分の。
え?多すぎだって?
私も思います。
流石に慣れてきました。
ちなみにこの世界は、一個前の前世の私がプレイしていた乙女ゲームの世界のようです。そして、私は悪役令嬢。
今から断罪イベント…つまり、クライマックスです。
といっても、この後も本当に結婚するまでライバルが現れるんですけど。まあ、第1章完結という所でしょうか。
ちなみに私は伯爵令嬢剥奪の上、平民に落ちるらしいです。
5歳の時、99回分の前世を思い出し、この話も思い出した私は歓喜しました。
平民に落ちたら、パン屋の娘になれるじゃないですか。
え?なんでって?
今までの人生(なぜか全て女だった)の中で1番幸せだったのは、パン屋の娘になって隣の居酒屋の息子と結婚して、末永く暮らした時でした。
異世界に飛ばされたのに、ほのぼのとしていて、幸せでしたねぇ…
せっかく100回目の転生という記念すべき時なので、幸せになりたいじゃないですか。
それに、99回と少しの経験があるので、平民でも大丈夫です!
と、言うわけで名付けて『パン屋の娘になろう大作戦』が始まりました。
やり方は簡単。ヒロインを虐めるだけ。
でも、これが難しかった!ヒロイン補正が効いて、めちゃめちゃ可愛いんです。ユウナ・オートリア男爵令嬢様。(…この子ヒロインで、元平民ね。)
結局、虐める事が出来ず、反対に庇って守りつつこの日を迎えました。
まあ、でも、どうやら、このまま断罪されるっぽいです。
ちなみに今日は初社交界の日。
この日に私は、婚約破棄の上、平民として、追放になり、晴れて自由の身です。お父様達に迷惑をかけないのがいいですね。
…そして、大広間にて。
扉を開けると、すでに、ユウナ様と王太子殿下…リヒト・フォン・ジュエリー殿下…が仲睦まじく待っていました。
確かすぐに始まりましたよね。
「ごきげんよう。リヒト・フォン…」
「リリアーネ・トパーズ・エクステリアス。貴様との婚約破棄を言い渡す。」
ええーーーーー!いきなりですか?
てか、名乗りも挨拶も聞かず割り込んできたね。
ちょっと常識通じないのかな?
こんな頭の弱そうな人が王太子で、大丈夫でしょうか。
…
うん。なんか、“さあ!理由を聞け!”とばかりに踏ん反り返ってますね。
いや、別にどうでもいいですが、このままでは進みそうにないですね。仕方がありません。
「理由をお聞かせ願っても?」
これっぽっちも気になっちゃいませんが、一応建前とタテマエとたてまえで聞いてあげます。
ここで、“自分の心に聞いてみろ”とか言わないですよね?
「自分の心に聞いてみろ!」
うわ〜〜言ったあ〜〜!
フラグ回収おつです。
自分で聞かせといて、ほんと、この人理解不能です。
「リヒト様、これではリリアーネ様が可哀想ですわ。きっと頭が悪いのですよ。」
うん。貴女が1番、頭悪いと思います、
ていうか、一応まだ私、伯爵令嬢、貴女は男爵令嬢ですよね?ちょっと無礼なのではないですか。
マナーもできていないのでしょうか。男爵様は、一体なにを…
流石に怪しいと思ったようで、周りの方もざわざわしていますが…気づいていないみたいです。
「君は優しいね、ユウナ。リリー、お前はユウナに対して、暴言を吐いたり、暴力を振るったりしたそうじゃないか。挙げ句の果てに、お前の持つ魔力で怪我をさせたとか。」
ユウナ様は、優しいのですか?
知りませんが。
あと、それは、どなたの事を言っていらっしゃるのですか。
暴言を吐こうとしたり、暴力を振るおうとしたりしましたが、出来ませんでした。むしろ庇いました。
私の持つ魔力は、属性が保護と回復なので攻撃出来ません。
「えっと…失礼ですが、どなたの事を…」
「お前に決まっているだろう。」
?
なぜでしょう。どなたかにお聞きなさったのでしょうか。
でしたら、口からでまかせですね。
「では…どなたに聞かれたのでしょうか…」
一応聞いてみました。
まさか、ユウナ様ただお一人とか申しませんよね?
「もちろん。ユウナだ」
だあーーーーー!!
ことごとくフラグ回収しますねぇ!
「ユウナ様ただお一人ですか。」
「ああ。」
1人の意見しか聞いていないだとぉ!
愛は盲目とは言いますが、その人信じすぎでしょう。
別に私は貶されてもいいですし、これは小さなことですが、それを国の政治に持ち込むと破綻しますよ?
間者さんいらっしゃーいですよ?
大丈夫ですか?
怖いですね…
「他の方の意見を聞いていないのですか。」
「ああ、ってもういいだろう!そろそろ罪を認めろ!それに、俺はお前との婚約を破棄し、ユウナと結婚する!だから、お前は、未来の王妃を傷つけた事になる、不敬罪だー!訴えてやるー!」
破茶滅茶な意見ですね。
宰相様や、教育係の執事さんが頭を抱えていらっしゃいです。
はあ…なんか面倒くさくなってきました…
もういいや。認めちゃいましょう!
こんな人と別れたところで、私にはなんのマイナスも無さそうですしね。
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と、いう事でめでたく断罪されました〜!(意味のわからない理由で、ですが。)
逆に別れられて良かったかもです。
「リリー?そろそろ店番しないと〜休憩終わりよ」
「はぁい。今行く」
え?今私がどこにいるかって?
下町のそこそこ人気のパン屋です。
そこの娘になりました。
あの後、指定した場所に指定した衣装で捨てられて、孤児のフリをしました。それから、近くにある(リサーチ済み)のパン屋さんに声をかけました。そしたら、リサーチ通りおかみさんは人が良くて、自分の娘としてくれました!
ああ〜幸せです。
やっとパン屋の娘です。このまま、幸せにゴールインしたいです。
いい家族に恵まれました。
母さん…エリカ・オーギュストは、明るく朗らかで優しくて、少し厳しい人です。とてもいいお母さんなので、大好きです。
父さん…トーダ・オーギュストは、寡黙で真面目な優しいお父さんです。仕事に関しては少し厳しく、フランスパンを持っているのは怒りのサインです。
それだけではありません。
友達もできました。
トト…トーマス・トーリャは、隣の靴屋の息子さんです。筋肉バカで、口が悪いけど、いいやつです。ちなみに、この下町では、捨て子が多いらしく、トトも赤ん坊の時に捨てられていたそうです。
ナオ…ナオ・セゾンは、大きな商店を運営するお家の娘さんです。溺愛されてますが、優しくて繊細な女の子です。
ミノ…ミーニャ・ノートルは、果物屋さんの娘さんで気立ての良いお嬢さんで、かなりのドジっ子です。この子も元捨て子だったらしいです。
そして、レオ…リーレオ・コータスは、近くのカフェの看板息子さんです。とてつもないイケメンさんで、かつ言葉も丁寧で大人びています。誰もが一度は恋をしたと思えるほどです。
え?私?
私は…その…彼は私の彼氏さんなので、なんとも言いようがありませんねぇ…
え?恋愛したんだ、意外だって?
いや〜する気は初めはなかったんだけど、向こうのアタックがすごかったので…気づいたら…ごにょごにょ。
まあ、幸せなのでこのままでいいと思ってたのですが…
はい。またあの王太子の出現です。
いつものように、レオとデートをして、別れたくないなどとゴネて、甘々なキスをしてから、帰ってきた時のことでした。
ん?え?
それでいいのかって?なにがです?
あ、デートですか?
レオは甘々で優しい彼氏さんですから!私の事を誰より大事にしてくれますしね!
勿論、負けず劣らず、私も大好きです!
あ、え?惚気はいらない?
あ、そうですか。
続き、話しますね。
お家に帰ってきたら、母さんが呼んでいました。
王宮からの勅使という事で嫌な予感はしてましたが…
なんと!私をもう一度、辺境伯爵令嬢にして、側室になれとの事です!
「ごめんなさい。私、パン屋の娘で満足しているので…」
そう返事をしまして、勅使さんも残念そうに帰ろうとしています。
強引じゃなくて、よかったです!
すると…
「何を言う!お前は側室になりたくないと言える立場じゃないのだよ!」
「王太子殿下!」
え?なんで、この人こんなとこにいるんですか?
てか、苦しいです。
首締めないでください。
なんで側室にとかと言うと、どうやらユウナ様が子供を産みたくない…というより、子作りをしたくないようです。
だから私って…
「おーい、何してんの?」
!
トト!!あなたこそ何してるんですか?!
この人、一応王太子ですよ?!敬語を使いましょう。
…ってやっぱ苦しい。首締められてるの無理です。何気に頸動脈ズレてますけど。
「ねぇ、俺の友達なにしてんの?」
うわ!
王太子さん、トトに手刀をお見舞いされて、離してくれました!弱いです!
はっ!はぁ…苦しかった…助かった…
って、トト!王太子の首締めてます!!
やめてあげてください!
「うっぐぐっ!」
「ねぇ?なにしてたのって聞いてんだけど、答えてよ。」
いや、それでは、答えられないでしょう。
トトはちゃんと、頸動脈締めてますし。
このままでは、王太子さん、死んじゃいます!
誰か止めてください!
「いいよ、もういいよ。トト…トーガ。」
あ!レオ!よかったです!助かりました!
ん?トーガって誰でしょう?
「はいはい。」
「レオ!どうしよう!!この人、王太子殿下なのに…」
あ、この人っていっちゃった。
あまりの事に勅使さん、失神しちゃってます。
「大丈夫。心配いらないよ。」
うわ!キスしてきました!!
甘いですね…でも、これで“ああ好きだなぁ”ってなってしまうあたり私もどうかしているのでしょうか。
「おい!お前らなにしてくれた!不敬罪だ!」
おや?復活早いですね。
「私の護衛が失礼しました。」
ん?護衛ですか?
「お前、名は?」
「申し遅れました。私、リーレオーニャ・リーロ・ハルーリャと申します。一応、隣国リーロ王国の王太子です。」
え?レオ、あの隣国かつ、大国のリーロ王国の王太子殿下ですか?
本当ですか?ドッキリじゃなくて?
「同じく、護衛のトーガ・レーリャです。先程はすみませんでした。」
あれ?トトってトーガだったんですね。
しらなかったです。
「いっいや…すまなかった。この件は白紙にしてやる!」
「いえいえ〜」
…終わってしまいましたね。呆気ないです。
にしても、ええっと…
「レオは、王太子殿下だったんですね。」
「黙っててごめんね。でも、関係は今まで通りで大丈夫だよ。」
「いや、駄目だ。バレたら帰る話だったでしょう。王太子殿下?」
「え〜トトの意地悪〜鬼畜〜」
「うるさいです!」
トト、いつのまにか敬語ですし…喧嘩するほどなんとやらでしょうかね。
この後、色々話をしました。その結果、ミオ以外は、みんな隣国の方でした。
てゆうか、私、王太子殿下の彼女という事でしょうか。
知らなかったとは言え、ただの平民風情がなんて事でしょう!許されませんね!
あ、でも…別れますかね…
残念です。私、レオ…いや、王太子殿下の事好きだったのですが…
仕方がないですね。
「あの、こんな所で申し訳ないけど、リリー、いや、リリアーネ。僕についてきてくれないかな。」
あれ?いつの間に名前…あ、そういえば王太子さん名前で呼んでましたね。
にしても、えっと…どうゆう…
ついていくという事は、お友達としてという事でしょうか。それか、隣国へ留学?
「つまり、結婚しよう。そして、隣国…リーロ王国へ一緒に行こう。」
えーーーーーーーーーーー!!
嫌です。
王太子殿下…いや、レオが嫌いな訳ではないです。むしろ好きですが、私は平民でいたいです!意地でも!
なのに…母さん達も
「いい機会じゃないか、行っておいで。」
えーーーーーーーーー!
まさかの裏切り行為です!
そして、それから僅か2日で…
「よし、婚約終わり!行こうか」
レオさん?ちょっとお仕事早すぎやしませんか?
それに、私の気持ちは無視でしょうか。
「レオ…いや、王太子殿下。私、返事してないですが…」
「え?俺のこと嫌い?」
「いやいや、好きです!好きです!」
「じゃあ、いいじゃん。それと…俺のことレオって呼んでよ?あと、敬語無しで。」
そんな子犬みたいに聞かれたら…断れません。
ずるいです。
ていうか、いつのまにか私、王太子妃ですか?
ああ。いつのまにか、平民じゃなくなってます!
しかも、このまま隣国へ…やっていけるでしょうか。
でも…悔しい事に、幸せなのです!
好きな人と結婚して、親友もいて、頼りになる友達もいて…
全部望んだことなのです!
こうなったら、仕方ありません。今世は、平民は諦めましょう。
ですが…
神さま!次の人生は、
平民かつパン屋の平凡な娘を熱烈希望します!
見てくださってありがとうございました。
はじめての短編なので、めちゃめちゃ長くなりました…
拙い文章で申し訳ありません…
何かありましたら、感想にお願いします…
ブクマ&多くの評価、本当にありがとうございます!
本当に励みになります!
ちなみに、10月あたりに連載開始出来たらな〜と思っています!
2019/7/12 大幅改稿しました。レオとの惚気を入れたり…ちょっと詳しくなったかもです…
2019/12/22 年齢を16から14に戻しました。連載版の方との兼ね合いも考えつつなのですが…色々書き直してます。ごめんなさい…