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ディオエメンタシス  作者: チムチム・マイン
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これくらいのペースで投稿できるのが理想だなー。


でも、1日~5日の間でぶれると思います。

「エリック、久しぶりに組み手しないか? しばらくできなくなるから」


「悪いけど今夜は城でパーティがあるんだ。親族だらけの例のあれさ。はあ、準備が面倒なんだよなー」


 実は、パーティに行くつもりはなかったが、気乗りしないから断った。だが、嘘はついていない。


「フランクとでは、まるで張り合いがない。毎回同じパターンでくるし、本気を出してこないんだ。あいつ、きっとスピリトールのスパイなんだよ」


「スパイ?」


「上の世代は、パクス・ギルセロにこだわりすぎ。栄華をほこっていたのも今は昔。これからもずっと一強でいられると考えるのは早計にすぎる。周りは、すでに動き始めているんだから。スパイは守護の訓練生の中にもいると考えた方がいい。その方が、“訓練生の中にはスパイがいない”と考えるよりも、はるかに自然だ」


「オーケーオーケー、その仮説を信じることにしよう。だが、なぜフランクがスパイなんだ?」


せているし血のめぐりが悪いから、闇魔道士ドルイドなんじゃないかって疑っているんだ。抗争エンゲージの模擬練をしていて思うんだけれど、いつだって実力を隠しているように感じられる。腕を磨く気がまるでない。それなのにあの余裕は一体なんだ? …….時期を伺ってるようにしかみえない」


「フランクが特別やせているとは思わないが、血のめぐりが悪いってのはまあ、その通りだと思う。でも、俺が仮にスピリトールの参謀さんぼうなら、スパイにはもっと優秀な奴を選ぶ。頭の回転が早い奴を。たとえばハリソン、君とかさ。それに、スパイってのは疑われたら意味がないわけで、スパイには見えない奴を選びたい。つまり、目立たない奴を選ぶべきだ。よってハリソン、やっぱり君が適任だよ」


 ハリソンが目立たないわけがない。だから、これは冗談のつもりだった。だがハリソンは真剣な顔つきになった。周りの目を気にしはじめたかと思うと、声をひそめだしたではないか。


「ここだけの話、俺はスピリトールのスパイなんだ。王族身辺の調査が任務でな。おっと、闇魔道士ドルイドではないから、安心してくれていい」


 俺は、笑わないように神経を使いながら大げさに驚いた。


「マジかよ。だとしたら、どうして今、俺に打ち明けようと思ったんだよ?」


 ハリソンは質問に直接答えなかった。


「どっちにつくべきか迷っているんだ。俺はスピリトールの器を測りかねているから……。お前は俺を投獄することもできるし、泳がせて利用することもできる……どうする?」


「ダブルスパイは考えなくもないね」


「俺に任せてくれれば、なんだってうまくやれる。ただ、一つ条件がある」


「条件?」


「……徽章きしょうを縫いつけてほしい。針が持てないんだ、指がまだ治っていない」


徽章きしょうの縫い付けごときで、母国を売りやがった」


「スピリトールを母国だと思ってはいない。スピリトールはたしかに治安がいい。隅々まで法が整備されているからな。でもそれは、個人レベルでの美徳が不要だということだ。心の豊かさは史上最低レベル。法さえ守っていれば何をやってもいいっていう、こういう考えなわけだ。男子は全員強制徴兵。生まれながらに兵役へいえきの義務を課せられている。そんなでは、守護の結束を生み出せやしない」


「君みたいに、ほんの小さな動機で裏切る者が出てくるだろうしな。なんだかスピリトールがあわれになってきたから、この国の秘密を少し教えてやるよ。……同じかまの飯を食ったよしみで。いいか? いまでこそギルセロは王政ではない。だが王族男子には守護の訓練を受けさせる、という慣習が前王の考えで引き継がれた……ありがたくないことに。だから、帰っておかみに伝えてくれ! この俺、皇子エリックは、訓練から逃れられる今であれば、人質としてどこにでもひょいひょい着いて行くってな」


「それ前も聞いたよ。ひとつ思うのは、第35子に、はたして人質としての価値があるのかどうか」


 ハリソンはイングドラシル家の魔道士ウィザードであり、父親は賢人ジモググの上級書記をつとめる樹魔道士シャーマンだ。ハリソンはギルセロの伝統を継承する由緒ゆいしょ正しい家柄の次男なので、スピリトールのスパイなどではもちろんない。


何気ない日常会話、世間話というものが、自分的に書くのが一番難しく感じます。

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