称号と怪しい魔術
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【光属性脆弱】スキルが緩和されました。
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ログインしました。いや、焦った焦った。ログアウトした直後に職場の上司から電話が来たからな。まあ、来週に飲み会をやるって言うただの連絡だったからいいけどさ。休日出勤か、と思ってヒヤヒヤしたぞ。
リアルの話は置いといて、思った通りに【光属性脆弱】が1レベル分だけど緩和されているな。やったぜ。
ただ、今の状態だとこれ以上上がらないと思う。何故なら、この弱すぎる光だともうダメージが無いからだ。光量を増やすべきだろう。
その方法ならもう知っている。ランプに魔石を追加すればいいのだ。さっきの狩りで手に入れたやつを追加しよう。
うおっ!かなり強くなったな。同じ品質と大きさの魔石が追加されたから、光量と光属性ダメージも純粋に二倍になったんだろうな。回復がギリギリで追い付かないぞ。これは考えなしに読書してたらダメだな。
とりあえずランプを消して、と。【召喚術】を使うか。今度は何を付与しようかな…っと。
「帰還。んでもって召喚、動く骸骨・防御力上昇」
今回の召喚で私が使ったのは【付与術】だ。こうすれば、固い下僕が作れるのでは?と思ったのだ。
私の前に現れたのは、至って普通の動く骸骨だ。FSWではステータスはマスクデータなので正確な値は分からないのだが、恐らくは固くなっているのだろう。そうであって貰いたいものだ。では、狩りへ出発だ。
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【杖】レベルが上昇しました。
【魔力制御】レベルが上昇しました。
【土魔術】レベルが上昇しました。
【水魔術】レベルが上昇しました。
【火魔術】レベルが上昇しました。
【風魔術】レベルが上昇しました。
【闇魔術】レベルが上昇しました。
【無魔術】レベルが上昇しました。
【召喚術】レベルが上昇しました。
【付与術】レベルが上昇しました。
【魔法陣】レベルが上昇しました。
【鑑定】レベルが上昇しました。
【隠密】レベルが上昇しました。
【忍び足】レベルが上昇しました。
【奇襲】レベルが上昇しました。
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【召喚術】と【付与術】のコンボ、大正解だ。今回召喚した下僕君、なんと小鼠男の攻撃でほとんどダメージを負わないのだ。最高の壁役じゃないか!
気を良くして二体目も召喚してしまったが、後悔は無い。むしろ小鼠男なら三体相手でも楽勝だったからな。恐らく四体相手でも安定して倒せるだろう。今回は魔石が二個ドロップするまで狩り続けた。
それにしても、鼠の皮と前歯が邪魔な位に溜まっている。貧乏性なので捨てる気にもなれない。どうしたものやら。
それと先程の狩りでどうにか下水道の北端にたどり着いた。拠点から十ブロック先で行き止まりだったのだ。直進しただけだからマップ埋めはまだまだ終わらないが、直進ルート上に外への抜け道は無かった。じっくり探してみるとしよう。取り敢えず次回からは東に行ってみよう。
よし、次はお楽しみの(?)読書タイムだ。今度は何を読もうか。基礎の本は世界観説明兼各神の教義について細かく書かれたやたらと分厚い『十二大神経典』以外は全部読破したし、応用系はちらっと読んだら魔術レベルが10に達してるのが前提で無意味。錬金術系はどうしようも無いし…。
…そろそろ研究室の本に手を伸ばしてみるか?やたらと難しかったり読めない部分があったりしたけど、今なら大丈夫な気がする。
根拠ならある。まだ一日目だけど、このゲームに能力同士のリンクが矢鱈と多いのはわかった。最初は【闇魔術】だけだったが、九種類もの魔術を習得した今なら条件を満たしていると思うのだ。駄目で元々、最低でも読み進めて行く内に【言語学】と【考古学】は上がるだろう。体力に気を付けてながら読むぞ!
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これまでの行動経験から【死霊魔術】スキルを獲得しました。
称号、『理の探求者』を獲得しました。
称号、『称号を得し者』を獲得しました。
称号、『異端なる者』を獲得しました。
これまでの行動経験から【呪術】スキルを獲得しました。
これまでの行動経験から【罠魔術】スキルを獲得しました。
【言語学】レベルが上昇しました。
【考古学】レベルが上昇しました。
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私の予測は正しく、上がった【考古学】のお陰で読めなかった文章がスラスラと頭に入ってくるようになった。それにより研究室に残っていた本に入門書があることに気付けたのだ。それが『異端魔術概論』だった。
これはひどい。いやどれも強力な術なのだが、むしろ性能が凶悪過ぎて禁術指定されていたようだ。これが設定上何年前の本なのかは不明だが、私が禁術を使える魔物だと知られたら色んな方面から狙われそうだな。強くなるまでは人目につかないように心掛けよう。
それはともかく、恒例の性能確認と行こうじゃないか。まずは【死霊魔術】だが、これは【言語学】に加えて【闇魔術】と【召喚術】が使える事が条件っぽいな。
効果は不死系の使役と強化、そして創造が行えるようだ。特に最後の創造は興味深い。
創造とは、素材を集めれば不死を作成出来ることを意味する。素材を用いて作成した不死は、召喚獣と違って最大魔力を減らす事は無い。更に作成した後に手を加える事で強化も可能だ。しかも戦闘によって経験値を得て進化も出来るらしい。だが、破壊されたら普通の魔物と同じく消滅するし、素材は帰ってこないそうだ。
これ、素材さえあれば不死兵団を作り出す事も可能だ。屈強な不死の兵士を指揮する私…夢が広がりますなぁ。
次に【呪術】だが、これは【付与術】の逆バージョンだな。【付与術】が味方の強化なら、【呪術】は敵の弱体化を図る術だ。獲得条件は【闇魔術】と【付与術】、それに【言語学】だと思う。私の勘だし、関連する能力を羅列しただけだから真偽は不明だが。
更に【罠魔術】だが、これは【魔法陣】が関わっているはずだ。これは特定の条件を満たすと発動する魔法陣を設置する魔術である。魔法陣のように応用力は無いが、設置した事を気付かれ難いという特徴がある。魔物相手でもプレイヤー相手でも何かと嫌がらせが出来そうじゃないか。
最後に称号だ。ステータスを確認すると、称号の欄が増えている。一応、隠し要素だったのか?それぞれの詳細説明は以下の通り。
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『理の探求者』
多くの魔術を学んだ者に贈られる称号。
魔術使用時に消費魔力減少。
獲得条件:魔術系能力を十種類保有すること。
『称号を得し者』
称号を得た者の証。
獲得条件:称号を得ること。
『異端なる者』
邪悪とされる何かに手を出した者に贈られる称号。
人々の畏怖と嫌悪を一身に受けることとなるだろう。
獲得条件:??系能力を獲得すること。
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『理の探求者』は間違いなく当たりだ。効果が素晴らしい。多くの魔術を集めた者へのご褒美って感じか。逆に一種類の魔術だけにこだわった時も何か称号を得られそうだな。私はもう無理だが。
『称号を得し者』は、記念品みたいなもんか。特に効果があるわけでもないし、貰っておくだけでいいでしょ。
『異端なる者』は…なんなんだろうな。字面からしてNPCに嫌われ易くなるって事っぽいぞ。骸骨の時点で討伐対象扱いだし、関係ないな!
それよりも気になるのは??系能力ってワードだ。謎だ。状況から判断して、【死霊魔術】はこの??系に当てはまるんだろう。しかしこれ以上の判断材料も無いし、とりあえず放置で。
読書で収穫もあったし、今度は狩りだ。召喚獣の二体は壊れるまで続投として、【死霊魔術】を使ってみようかね。今回使うのは強化だ。丁度、私の前には【召喚術】で喚び出した動く骸骨がいる。これを強化してみよう。
「不死強化」
「「カタカタカタ!」」
「うおっ!?」
ビックリした!急に動かないでくれよ!それにしても【死霊魔術】の強化はいいエフェクトだ。掛けた瞬間、うっすらとだけど黒いオーラを纏いだしたのである。厨二心がくすぐられますぞ。
それでは狩りへと出発進行!
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【杖】レベルが上昇しました。
【魔力制御】レベルが上昇しました。
【土魔術】レベルが上昇しました。
【水魔術】レベルが上昇しました。
【火魔術】レベルが上昇しました。
【風魔術】レベルが上昇しました。
【闇魔術】レベルが上昇しました。
新たに闇槍と闇波を習得しました。
【無魔術】レベルが上昇しました。
【召喚術】レベルが上昇しました。
【付与術】レベルが上昇しました。
【魔法陣】レベルが上昇しました。
【死霊魔術】レベルが上昇しました。
【呪術】レベルが上昇しました。
【罠魔術】レベルが上昇しました。
【隠密】レベルが上昇しました。
【忍び足】レベルが上昇しました。
【奇襲】レベルが上昇しました。
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いやはや、狩りが捗るの何の。さっきまでも安定していたのに、壁がさらに固くなったお陰でダメージを一切受けなかったぞ。いや、楽だねホント。
まあ、何時までもこんなに楽が出来るとは思えないけどな。前衛を下僕に任せるにしても、AIは最低限のものしか積んでいないっぽいから咄嗟の判断が出来ないみたいだ。
ならパーティーを組めばいいんだが、募集出来る状況じゃ無いしな。取り敢えず外に出る算段がついたら、その時に考えよう。
未来の話より、成長した【闇魔術】の方が先だ。新しく追加されたのは闇槍と闇波。既に両方使っている。
使用感は良い。闇槍は威力の高い単体攻撃で、闇波は範囲攻撃だ。初期の闇球と比べて両方とも威力は高いが燃費が悪いので、適材適所と言った所か。
そして属性魔術は5レベルに到達すると◯槍と◯波が追加されるのだろうか。次の狩りできっと他の属性も5レベルになると思うので、その時に分かるはずだ。期待しておこう。
っと、もうこんな時間か。土日の二連休だからこのまま続けるのも良いが、今日はこれで一度ログアウトするとしよう。徹夜するのは平日だけでいいっす。
今回もランプの灯りに曝しておこう。ただし、今のままだと死んでしまうので燃料の魔石は一個に戻しておく。耐性の経験値稼ぎになるかは不明だが、やらないよりはやっておいた方が絶対にいいだろう。
では、お休みなさい。
ようやく悪役っぽい術を使えるようになりました。
なお主人公は『悪逆非道』ではなく、『主人公よりも人気の悪役』をイメージしています。
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名前:イザーム
種族:動く骸骨 Lv5 up!
職業:見習い魔術師 Lv5 up!
称号:理の探求者 new!
称号を得し者 new!
異端なる者 new!
能力:残りSP 106
【杖】Lv5 up!
【魔力制御】 Lv5 up!
【土魔術】 Lv4 up!
【水魔術】 Lv4 up!
【火魔術】 Lv4 up!
【風魔術】 Lv4 up!
【闇魔術】 Lv5 up!
【無魔術】 Lv4 up!
【召喚術】 Lv4 up!
【付与術】 Lv2 up!
【魔法陣】 Lv2 up!
【死霊魔術】 Lv1 new!
【呪術】 Lv1 new!
【罠魔術】 Lv1 new!
【考古学】 Lv6 up!
【言語学】 Lv4 up!
【薬学】 Lv0
【錬金術】 Lv0
【鑑定】 Lv5 up!
【暗視】 Lv-
【隠密】 Lv5 up!
【忍び足】 Lv4 up!
【奇襲】 Lv3 up!
【状態異常無効】 Lv-
【光属性脆弱】 Lv8 down!
【打撃脆弱】 Lv10
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