マッドサイエンティスト集団、襲来 その五
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【鎌術】レベルが上昇しました。
【鎌術】の武技、裂魂を修得しました。
【体力回復速度上昇】レベルが上昇しました。
【魔力回復速度上昇】レベルが上昇しました。
【魔力精密制御】レベルが上昇しました。
【魔法陣】レベルが上昇しました。
【呪術】レベルが上昇しました。
【指揮】レベルが上昇しました。
従魔カルナグトゥールの種族レベルが上昇しました。
従魔カルナグトゥールの職業レベルが上昇しました。
従魔ヒュリンギアの種族レベルが上昇しました。
従魔ヒュリンギアの職業レベルが上昇しました。
従魔ヒュリンギアの種族レベルが規定値に達しました。進化が可能です。
従魔ヒュリンギアの主人、イザームが進化の操作を行って下さい。
従魔ヒュリンギアの職業レベルが規定値に達しました。転職が可能です。
従魔ヒュリンギアの主人、イザームが転職の操作を行って下さい。
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ログインしました。結論から言うと、新しくやって来た三つのクランは想像以上に素早く街に馴染んだ。その理由は、ウチの住人の一部が彼らと共に研究するようになったからである。
切っ掛けはしいたけが疵人、闇森人、そして鉱人の中で仲が良い者達を彼らの元へと連れて行ったことだ。そして彼女は半ば押し掛けるようにして技術交流を迫ったのである。
私の預かり知らぬところで行われたこの技術交流は、関わった全員にとって良い結果をもたらした。住人達は自分達が興味をそそられる分野の研究に参加したいと言い、三つのクランはそれを受け入れることになったのだ。
これは三つのクランが寛大だったとか、私に恩を売ろうとしているだとか、そんな理由からではない。彼らは偏に自分達の活動の役に立つと確信したからだった。
『賢者の石』と共に研究するようになったのは闇森人である。元々は『誘惑の闇森』に住む森の民である彼らは薬草や樹木などに詳しく、野生の薬草が自生しやすい場所や危険な植物を枯らす方法などにも詳しい。植物のスペシャリストなのだ。
彼らの『誘惑の闇森』に生える植物に関する造詣の深さだけでも、『賢者の石』にとって是非とも共に研究したいと思うに十分だったらしい。それに加えて闇森人にはこの薬草の加工方法についての技術や知識も豊富なのだ。
『賢者の石』が扱うのは植物系アイテムだけではないが、そのスペシャリストが加わってくれるのは彼らにとって僥倖と言える。むしろ給料を払うのでここに来てくれとパラケラテリウムが頼んだようだ。
今では『錬金術研究所』に多くの闇森人が出入りしている。どうやら故郷の隠れ里にも声を掛けたようで、見覚えのない闇森人も増えていた。
『錬金術研究所』に出入りする者達は全員が白衣を着ており、スラリとした者が多い闇森人にはよく似合っている。今では白衣に伊達メガネを掛けるのが闇森人の間では流行っていた。まあ、『錬金術研究所』に関係ない者達も白衣を着ているせいで誰が関係者なのかわからないのはご愛嬌と言ったところか。
『生体武器研究会』に興味を抱いたのは疵人である。彼らはこの街にいる人類モドキと自称する四つの種族の中で最も戦闘力が低く、足りない力を補うことに使えるのではないかと考えたようだ。
私達もそうだが、別に他の三つの種族も戦闘力で差別することなどしたことはない。むしろ彼らだけが操る紋様の技術と、その工芸品にはとても助けられている。何よりも街が無機質なものにならず、美しい景観を誇っているのは彼らの彫刻のお陰なのだ。故に戦うのが苦手なことは誰も問題視していなかった。
しかしながら、周囲が気にしていなくても自分達は気にしてしまうモノらしい。特に半龍人という戦闘に特化した種族が加わったことで、自分達も少なくとも足手まといにならない程度の力は付けるべきだと思うようになったようだ。
『生体武器研究会』の側は最初、受け入れることには消極的だったらしい。生体武器の製造は非常に難易度が高く、専門的な知識も必要となる。疵人が加わることにメリットを感じず、私達への義理という名の使命感から受け入れるしかないと思ったようだ。
だが、一気に評価が一変する事実が判明する。その事実とは生体武器の生きていない部分、すなわち剣の柄や鞘などに刻む疵人の紋様は、生体武器にも効果的だということだった。
生体武器は生きている関係上、使えば使うほど傷付き、壊れてしまえば死んでしまう。ミミ達が実験した未完成の死者蘇生の薬とは、生体武器を復活させるためのモノだったのだ。ちなみに墓地に眠る死者を不死として復活させた薬だが、武器の蘇生には成功したらしい。
閑話休題。このように生体武器は成長によって強くなり、理論上は最強の武器が出来上がるというロマンはある。だが修理は回復を待つ必要があり、破損などにも気を配る必要があった。
しかし疵人の紋様には武具を頑丈にしたり、耐久力を回復させたりするモノもある。生体武器というジャンルにとって最大の問題を解決する可能性を、ミミ達は疵人という種族に見出した。
一転して彼女らは望むなら何人でも疵人を受け入れると表明し、多くの疵人があの肉塊を訪れている。生体武器の製造と試作した武器の使用、その両方で疵人は活躍していた。
『マキシマ重工』の社員となったのは、一部の闇森人と疵人、そして鉱人の全員だ。彼らは『マキシマ重工』の工場で作られている最中のモノを見て心を奪われたのである。
『マキシマ重工』で製造されているのは当然ながら魔導人形だ。ただし、彼らの作っている魔導人形は、私が想像していたモノとは異なっている。有り体に言えば、彼らが作っていたのは二足歩行ロボットだったのだ。
『マキシマ重工』のメンバーは男女比で9:1という圧倒的な男率なのだが、例外なく全員がロボット好きであるらしい。つまり彼らの目的とは、最強のロボットを作り出すことなのだ。
ただし、好きなロボットの方向性にも違いがあるらしい。V字のアンテナと人間の目のような二つのカメラっぽい装飾がされたデザインが好きな者もいれば、ゴツゴツとした無骨な装甲がなければならないと豪語する者もいる。真逆の細身で流線型のボディこそ至高だと言う者もおり、彼らが口論するのは日常茶飯事であるようだ。
このように方向性が異なる者同士では、同じ魔導人形を製造するのは不可能だ。そこでマキシマはいくつかの班に分けているらしい。ただし、お互いの魔導人形のために技術やノウハウはしっかり共有しているようだった。
ちなみに、社長のマキシマ本人が好きなのは四本脚に人型の上半身が乗っているタイプだった。これと似たような形状の戦術殻と戦ったことがあり、それを伝えるとマキシマは「俺と同じ粒子で脳が汚染されてる奴がいるのか」と意味不明な呟きを溢していた。
『マキシマ重工』ではロボットに魅力を覚える者は誰でも歓迎らしく、希望者を快く受け入れた。彼らには『マキシマ重工』の制服となるツナギが贈られ、その日から早速作業に加わるようになっていた。
三つの種族はそれぞれの得意分野で魔導人形作りに尽力している。最も多い鉱人は戦術殻という自分達の生活に欠かせない道具の知識から、設計などに積極的に関わることが出来た。お互いに知らなかった技術によって、魔導人形も戦術殻も強化されるようだ。
疵人は装甲や内部のフレームなどに適した紋様を刻み込むことで、その性能を向上させることに成功している。どうしても頑丈さを確保するためには大型化せざるを得なかったようで、彼らの技術は一気に小型化を推し進めることになるだろう。
そして闇森人はそんな魔導人形の表面に塗る塗料を開発していた。彼らが作った植物由来の薬品は、物理的な防御力だけでなく魔術への防御力まで向上させるのだ。元々は彼らの集落で皮鎧などに塗り込んで強度を増すためのモノらしく、それを流用したのである。
ただし、そのまま塗ったのでは強化効率が悪いことがわかっている。今はその最適な配合比率などを研究しているらしい。彼らの魔導人形作りはこれからだ!
多くの同胞を受け入れたこともあり、三つのクランは街の住民に慕われるようになった。今では彼ら用の地域は『研究区画』と呼ばれるようになり、出入り口である地下通路の前には研究に加わっている者の血縁者によって彼らの発明品を売る店舗が建っている。ちゃっかり研究用の資金を稼いでいるのだ。
四脚人と半龍人は研究に参加していないものの、その店の客の中に彼らもいる。便利な道具を作る者達が増えて喜びこそすれ、嫌悪することはない。こうして彼らは街に馴染んだのだ…街の住民は未だに『研究区画』から謎の爆発音と奇妙な色の煙が昇ることには慣れていなかったが。
次回は11月27日に投稿予定です。




