賢樹と王国の隠し事
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【尾撃】レベルが上昇しました。
【大地魔術】レベルが上昇しました。
新たに流星の呪文を習得しました。
【水氷魔術】レベルが上昇しました。
新たに災波の呪文を習得しました。
【火炎魔術】レベルが上昇しました。
新たに極炎の呪文を習得しました。
【暴風魔術】レベルが上昇しました。
新たに破空の呪文を習得しました。
【神聖魔術】レベルが上昇しました。
新たに神威光の呪文を習得しました。
【暗黒魔術】レベルが上昇しました。
【時空魔術】レベルが上昇しました。
【虚無魔術】レベルが上昇しました。
【付与術】レベルが上昇しました。
【符術】レベルが上昇しました。
【魂術】レベルが上昇しました。
新たに限定蘇生の呪文を習得しました。
【死霊魔術】レベルが上昇しました。
【罠魔術】レベルが上昇しました。
【降霊術】レベルが上昇しました。
従魔カルナグトゥールの種族レベルが上昇しました。
従魔カルナグトゥールの職業レベルが上昇しました。
従魔ヒュリンギアの種族レベルが上昇しました。
従魔ヒュリンギアの職業レベルが上昇しました。
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ログインしました。あの後ママ達を『誘惑の闇森』にも案内し、その注意点を細かに説明してから一度港街に戻ってその時はお開きとなった。それからこれまで、『Amazonas』のメンバーを含め新たにやって来た者達がNPCの誰かと問題を起こしたという話は聞かない。どうやら上手くやっているようだ。
それから一週間、私達はひたすらレベルアップとアイテムの収集に明け暮れた。元々クランとしてやることをまだ決めておらず、しかも今はアグナスレリム様のことがあるので新しく何かを始めてそっちに手が回らなくなる。そこで自力を上げながら情報を待つ形にしたのだ。
情報を待つ、ということからもわかるようにジゴロウ達はウスバ達の説得に成功している。だが、どんな交換条件を出したのか、二人以外の全員が知らない。他のクランメンバーに条件を教えないこと。それが条件の一つであったからだ。
いや、普通に怖いんだが?条件を教えてくれないのが条件って、この先どうなるのか不安でしょうがない。ジゴロウと源十郎は自分達で責任はとると言っていたので信じているが、不安を拭い去ることは不可能だった。
だからこそ、少しでも自信を付けるためにも経験値を稼ぎつつアイテムを集めているのだ。新たな魔術を覚えたことで私は新たなオリジナル魔術も開発しているし、それは仲間達も同じだろう。戦力は着実に増強されていた。
ちなみに古代兵器の奪取を阻止するクエストに参戦すつのは我々と『Amazonas』、『八岐大蛇』の三つのクランだ。戦いよりもショーの公演で忙しい『モノマネ一座』は当然のこと、『ザ☆動物王国』は古代兵器に興味がないので不参加である。タマは好奇心の塊だと思っていたので意外だった。
さらにジゴロウが舎弟として絶対についてくると思っていた『怒鬼ヶ夢涅夢涅』の五人も不参加だ。何と護宝鬼からクエストの依頼があったらしく今は手が離せないらしい。何がきっかけで仲良くなれたのか、終わった後で教えてもらおう。
「ウスバからのメッセージか。これは…チッ、皆と相談しなければ」
ログインした私は既に届いていたウスバのメッセージを開いて中身を確認する。そこには思わず舌打ちをせずにはいられない内容が記されていた。
私はすぐにメニュー画面を開き、クランメンバーのログイン状態を確認する。ほぼ全員がログインはしているようだが、アイリス以外は既に外へ探索に向かっているようだ。ならばまだログインしていない者達が来るまでの間、彼女と相談するとしよう。
そうと決まれば早速行動に移そうか。私はアイリスに相談したいことがあるとメッセージを送ってから、日課の水やりを行いに賢樹のもとへ向かう。既に大木となって久しい賢樹だが、水やりをした時の反応は苗だった時と変わらない。カルやリンと同じで大きくなっても可愛いものだ。
「おお?今日はやけに機嫌が良いな?何か良いことでもあっ…うおおおおっ!?」
ガサガサガサ…ボトトトト!
機嫌良く枝を振っていた賢樹だったが、今までにない激しさで枝を振り始める。どうしたのかと思ったら、頭上から大量に何かが降ってくるではないか!ジゴロウのように驚異的な反射神経などない私は、降り注ぐ何かを受け続けることしか出来なかった。
落ちてくるのが収まったところで、何があったのかを確かめる。すると、どうだろう!辺り一面に賢樹の実が転がっているではないか!
「お前、いつの間に…!?毎日見ていたのに、どうして…」
驚く私の目の前で、賢樹はどうやって私の目から実を隠していたのかを見せてくれた。なんと賢樹は実のついた枝を他の枝で守るように寄せ、寄せた枝の葉で隙間を覆い隠していたのである。
そう言えばここ最近、一度も剪定していなかった。する必要性を感じなかったからなのだが…それもそのはず、余計な枝を使って実を隠していたのである。『賢樹』と言うくらいだし、言葉が通じることから頭が良いのは知っていた。しかし、こんなサプライズを仕掛けてくるとは思わなかった。完全に一本取られてしまったよ。
「いやはや、まいった。私の敗けだな。まさか隠しているとは思わなかったよ。それと、お前の実はありがたく使わせてもらおう」
敗北宣言すると同時に感謝を伝えると、賢樹は嬉しそうに枝を揺らす。こうして隠すのを止めるとよくわかるが、剪定していなかったことも相まって枝が多すぎて窮屈そうだ。次に剪定するときはとびきり丁寧に行おう。
何はともあれ、私は中庭に転がる賢樹の実を拾うことから始める。私が変異させまくったことで、賢樹からとれる実は一種類ではない。そしてその全てに使い道があるのだ。一つたりとも無駄には出来なかった。
賢樹の実を余さず回収した後、私はアイリスのいる彼女の工房へと向かった。街の改修工事に際して、アイリスとしいたけの二人にはそれぞれ専用の工房を建築している。アイリスは遠慮していたが、生産職として我々を支える二人にはそのくらいの広さの工房が必要だと判断したからだ。
二人の建物を建てると同時に、コンラートから大枚はたいて購入した生産用の道具も購入していた。その道具達が我々や住民達の優れた装備を生み出しているのである。感謝してもしきれないなぁ。
「どうぞ」
アイリスの工房の扉をノックすると、中からアイリスの声が返ってくる。私が扉を開けて中に入った時、アイリスは作業をしている最中であった。
どうやら誰かの防具を作っていたらしく、鎧のパーツや素材が机の上に置かれている。素材は散らばっておらず、ちゃんと整頓されていることが彼女の几帳面な性格を物語っていた。
「あっ、イザーム。待ってましたよ」
私が入ってきたのを確認すると、彼女は作業を止めて近くの机に来るようにと触手を動かしている。私は机を挟んで彼女に向かい合う位置に腰を落とした。
「遅かったですね。何かあったんですか?」
「ああ、それがな…」
私は賢樹に果実が成っていたこと、それを賢樹が隠していたこと、その果実を使って悪戯されたこと、その実を回収したことを彼女に告げた。アイリスは賢樹に果実を隠していたことに驚き、私が悪戯されたことに笑っていた。笑われても仕方がないが、私は本気で驚いたのだぞ?
ただ、賢樹の果実を全て渡すと喜んでくれた。彼女は果実を受けとると、早速【鑑定】で品質を確かめている。ああ、そう言えば急いでアイリスのところへ行きたかったので【鑑定】していなかった。どんな結果になるのだろうか?
大雑把に選んだ果実を【鑑定】したところ、何と全てが『優』だったそうだ。どうやら賢樹は最高の品質にしてくれたらしい。全く、気が利く奴だ。
アイリスは自分が使う用としいたけに渡す用で分けて、後でしいたけに渡すと言っていた。これがもししいたけなら、私に言われなければ独占するところだ。
「これで良し、と。それでメッセージでは相談したいことがあるってことでしたけど、賢樹の果実のことじゃないですよね?装備の更新ですか?」
「いや、そっちの相談じゃない。例の古代兵器についてウスバ達に探ってもらっているだろう?それで王国の方針について…依頼を受けているプレイヤー達にも隠していることがあるとがわかったらしい」
プレイヤーは騎士団がアグナスレリム様を引き付けている間に古代兵器を探し出すことになっているようだ。アグナスレリム様を引き付ける自信があるようなので、騎士団には何かの秘策があるのだろう。それについてはウスバが現在調査中とのことだった。
「プレイヤーにも秘密に、ですか。何をするつもりです?」
「アグナスレリム様の目が騎士団とプレイヤーに向いている間を狙って、蜥蜴人の集落を壊滅させるつもりらしい」
「なっ、何でですか!?」
「どうやら王国は北の湖を領土に組み込みたいようでな、そのために邪魔なのがアグナスレリム様と蜥蜴人なんだ」
蜥蜴人を狙うのは隠密行動に長けている騎士団が向かうそうだ。アグナスレリム様がプレイヤーや騎士団と戦っている間にサクッと蜥蜴人の集落を滅ぼす。その後、その騎士団はプレイヤー達をも囮にして古代兵器を奪取するのだ。
そして奪った古代兵器を用いてアグナスレリム様を討伐し、湖を支配下に置く。これが王国の書いたシナリオなんだそうだ。プレイヤーのことも舐め腐った作戦である。
「蜥蜴人さん達を…!?許せません!」
「ああ、その通りだ。だが、相手の狙いはわかったんだ。これで私達のやるべきことを決め易くなるだろう?」
「それを相談しに来たんですね。わかりました」
私とアイリスはそれからじっくりと二人で話し合った。そして納得の行く結論を出してから、クエストを受けた者達に伝えるべくメッセージを送るのだった。
次回は8月7日に投稿予定です。




