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骸骨魔術師のプレイ日記  作者: 毛熊
第十九章 魔王の侵攻
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歓迎会 開会

 広場の中央には演壇が設置されており、そこは派手に飾り立てられている。あの上では催し物が予定されているのだが、まだ何も行われていななかった。


 当然、これも予定通りではある。まだ全員が集まってもいないのに、催し物を行うなどあり得ない。演壇の下で待機していたアイリスは、こちらに気付いたのか触手を振っていた。


「イザーム、早速ですけど…」

「わかった」


 私は彼女に促されるまま、演壇の上に立つ。すると広場に集まっていた者達の視線がこちらに集中した。うん、やはりこう言う場所に立つのは何度目であっても慣れはしないなぁ。一度咳払いをしてから、歓迎会を始めるにあたっての挨拶を始めた。


「最初に言っておきたいことがある。『ザ☆動物王国』、『仮面戦団(ペルソナ)』、そして『Amazonas』の方々がこの場に来てくれたこと、そして皆が彼らを受け入れてくれたことを我々は本当に嬉しく思っている。本当にありがとう」


 これは私の偽らざる気持ちであった。人が増えれば活気も増すし、活気が増した方が楽しいだろう。それに新たなプレイヤーが増えることで新たな発見もあるに違いない。期待するなと言う方が難しい。


 また、住民達が受け入れてくれたことにも感謝を忘れてはならない。異物に対して警戒して突っぱねるのではなく、積極的に関わる姿勢のお陰で移住者を受け入れることが出来るのだ。


「この歓迎会は新たな住人を歓迎するものだ。しかし、彼らだけを楽しませるものでもない。集まってくれた皆で楽しもう!」

「「「うおおおおおおっ!!!」」」


 最初の挨拶は短く、簡潔な方が良い。そんな考えの下に私が話を切り上げた瞬間、私の背後でポンという小気味良い音と共に空へと光の玉が打ち上げられて爆発した。


 撤退の合図にも使った疵人(スカー)が作ったアイテムであり、今回は花火として活用させてもらったのだ。空中で爆発した花火は空に色とりどりの紋様となって我々の目を楽しませた。


 しかし、それだけでは終わらない。空中に描かれた紋様にはまだ仕掛けがあったのだ。紋様同士が空中で複雑に絡み合い、立体的な(ドラゴン)の姿を…具体的にはカルとリンの姿を成したのである。


 カラフルな光の粒で構成された二頭は空中を泳ぐように優雅な動きで舞うと、一気に空へ向かって流星のように尾を引きながら飛翔していく。そして点にしか見えなくなるほど高く上がった後、二頭を成していた光の粒が淡雪のように広場の全体へ舞い降りるのだった。


「素晴らしい演出でしたよ、ムーノ殿」

「ヒヒッ!それを聞けばウチの連中も喜ぶよ」


 壇上から降りた私はこの素晴らしい演出を見せてくれた疵人(スカー)、その代表者であるムーノ殿に礼を言う。自分達が培ってきた技術が称賛されて嬉しいのか、ムーノ殿はニヤリと笑みを浮かべながら誇らしげな様子であった。


 幻想的な演出に広場は盛り上がっている。歓声を挙げている者達の中には一番緊張していたであろう『Amazonas』のメンバーも含まれており、歓迎会の始まりを最高の形で彩ることに成功したと断言して良いだろう。


「凄い凄い!キレイだったの!」

「ふふっ。そうね」


 ムーノ殿の横ではアルヴィーが姉の手を握りながらブンブンと振っている。彼女に限らず、子供達は大興奮で騒いでいた。大人であっても感動する演出を見て、感受性が豊かな子供達が喜ばないはずがないのだ。


 仲の良い姉妹に私がホッコリしていると、次に壇上へ上がったのは『モノマネ一座』のパントマイムだった。彼は無言で優雅に一礼すると、ステッキをクルクルと回しながら独特な動きで足を動かす。すると、カチカチと良く響く音が広場全体に鳴り響いた。


「タップダンスですか?」

「そうらしい。色んな芸が出来るんだな」


 隣にいたアイリス言う通り、パントマイムが見せているのはタップダンスだった。軽妙な足さばきで小気味良い音を鳴らしつつ、ステッキを自由自在に動かして見せる。その動きには思わず惹き付けられる魅力が備わっていた。


 そんなパントマイムは、唐突に杖を上へ投げ上げる。回転しながら飛ぶ杖に全員の視線が自然と集まったところで、杖はポンと音を立てつつ青い煙を出しながら爆発した。


「「「おおおおお~」」」


 その煙の中から現れたのは、パントマイムと全く同じ姿をした『モノマネ一座』の座員であった。彼、または彼女は空中で体操選手並みに回転してから華麗に着地すると、パントマイムと全く同じ動きでタップダンスを始める。私を含めた観客は感嘆しながら拍手を送った。


 もしかして座員全員がタップダンスを踊れるのだろうか、などと考えていると二人はタップダンスをしながらジャグリングを始める。最初は三つの玉を投げていたのだが、ポケットから新たな玉を取り出して投げる数を増やしていた。


 今では二人ともタップダンスを続けながら五つの玉でジャグリングも行っている。最後に取り出した玉だけは白く、残りは赤色なのが気になるところだ。間違いなく、何か意味があるのだろう。


「「「おおおおお~!」」」


 そしてやはり意味があったらしい。二つの白い玉が頂点に達した時、それが同時に白い鳩となったのだ。二羽の鳩はパントマイム達の頭上を旋回した後、パントマイムと同じ姿となって着地したのである。感嘆の声と拍手は一度目よりも少し大きくなっていた。


 新たに増えた二人もまた、当然のようにタップダンスが出来るらしい。パントマイム達に合いの手を入れるような形で音を鳴らしていた。


 一通りタップダンスを見せたところで、おもむろに四人はシルクハットを脱ぐ。そしてシルクハットを逆向きにすると、最も左端のシルクハットから色鮮やかな一尾の魚が飛び出したではないか。


 その魚は隣のシルクハットに飛び込み、再び飛び出した時には一羽の真っ白な兎になっている。その兎はまた隣のシルクハットに飛び込むと、今度はメタリックな栗鼠となって出て来た。


 右端のシルクハットに入った栗鼠は、次にどんな姿で出てくるのだろうか。私を含めた観客がワクワクしながら見守っていると、予想に反して何も出てこなかった。


 右端の者は焦ったような仕草でシルクハットを持ち上げ、穴を下に向けてトップの部分をポンポンと叩く。すると穴からはどす黒い煙が勢い良く噴射されたではないか!


 その煙は巨大な人型を成し、両腕を開きながら恐ろしい声で笑い始める。わかりやすい悪役のような雰囲気を醸し出していた。


「おお!?」

「王様だー!」


 その間、タップダンスを踊っていた四人は黒い煙に包まれている間に姿を変えていた。その姿は私、ジゴロウ、源十郎、そしてアイリスである。四人は黒い煙に向かって立ち向かった。


 アイリスの触手が、源十郎の大太刀が、ジゴロウの拳が煙を散らしていく。悲鳴を上げる煙の化物はどんどん小さくなり、私の大鎌によってトドメを差されたのか消えてしまった。


 壇上に残った四人は各々がカッコいいポーズをとっている。観客のウケは良いのだが、自分の姿でそう言うことをされると少し小っ恥ずかしい。早くそのポーズを解除してくれないだろうか?


 私が頭を抱えていると、その四人の周囲が濃い霧で覆われていく。霧が晴れた時、そこには優雅に一礼する『モノマネ一座』全員の姿があった。


「「「おおおおおおおおおっ!!!」」」


 『モノマネ一座』による一連の芸が終わると同時に、会場は万雷の拍手と歓声に包まれる。歓迎するべきマック達も楽しんでいるようだし、彼らの芸は大成功であった。


 観客に向かって手を振っているパントマイム達からは強い達成感が感じられる。彼らはゲームの中でしか出来ない方法で人々を楽しませたいと願っていた。それをこうして形にすることが出来たのだ。本懐を遂げたのだから、喜んでしかるべきであろう。


 ただ、歓迎会はこれだけでは終わらない。『モノマネ一座』の芸以外にも催し物はまだ用意されている。それに高級食材を使ったプレイヤーでも味を感じられる食べ物の屋台も楽しんでもらわなければなるまい。まだまだ歓迎会は始まったばかりなのだから!

 次回は6月16日に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の姿でそう言うことをされると少し小っ恥ずかしい。早くそのポーズを解除してくれないだろうか? 自分自身でやるのはいいが、その姿を見せられるのは何か恥ずかしいか。分からんでもないな。
[良い点] 最高の歓迎会!
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