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骸骨魔術師のプレイ日記  作者: 毛熊
第十九章 魔王の侵攻
447/688

移住する者達

――――――――――


従魔ヒュリンギアの種族(レイス)レベルが上昇しました。

従魔ヒュリンギアの職業(ジョブ)レベルが上昇しました。


――――――――――


 ログインしました。マック達が来てから二日が経過したのだが、彼らは見事に街に馴染んでいる。住み始めてから数日だとは思えないほどだった。


 『不死野郎』は内装を整えた後、早速外へと探索に向かったらしい。そこで我々が作ったフェルフェニール様の巣を訪れ、地獄へと連れていってもらったそうだ。


 その件でサーラには苦情を言われたのだが…当然ながら突っぱねた。ネタバレを嫌がったのは彼女本人である。それによって不利益を被ったとしても、受け入れてもらわなければなるまい。


 『八岐大蛇(ヤマタノオロチ)』は『モノマネ一座』に礼を言った後、彼らもまたフェルフェニール様のもとへと向かった。そして(ドラゴン)の力を得たいと正直に言って交渉したらしい。


 フェルフェニール様はしばらく考えてから、彼らを見極めることにしたという。ここからは彼らの努力次第だろう。是非とも(ドラゴン)の力を得て、新たな種族(レイス)になって欲しい。


 『モノマネ一座』は広場での公演を成功させた後、今度は街の外にある闇森人(ダークエルフ)の住む森にも行って芸を披露した。そこでも公演は成功を収め、次は『誘惑の闇森』にある闇森人(ダークエルフ)の集落でも公演を行う計画である。と言うか、キリルズ達に頼まれたようだ。


 ただし、彼らは『誘惑の闇森』に行くには戦闘力が低すぎる。彼らが向こうに行くのならば、護衛を付けるか鍛えて強くなってもらう必要があるだろう。個人的には地下道で繋がっている『メペの街』で先に公演すべきだと思っていた。


 『怒鬼ヶ夢涅夢涅(ドキがムネムネ)』はチンピラが始めた床屋が評判になっている。特に初日はずっと散髪をしていたようだ。流石に酷使し過ぎたと反省したのか、各種族(レイス)の有力者が控えるようにと叱責した。


 チンピラ本人としてはやりがいがあるし、借金返済が近付くのでドンと来いと言っていたのだが…他のメンバーに暇だから控えろと言われてしまった。今では協議の結果、他メンバー管理の元に予約制となっている。いや、アウトローな見た目なのに真面目でマメな奴が多すぎないか?


 その間、私達はと言うと歓迎会を行うために食材となるアイテムを確保するために飛び回っていた。ついでに進化したリンの戦闘能力を見ている。結論から言うと、リンは非常に強くなっていた。


 向上した速度と機動力によってあらゆる攻撃を回避しつつ、威力の上がった魔術を正確に当ててくるのだ。前からそうだったが、まるで戦闘機のような戦い方が出来るリンが弱かろうはずもなかった。


 また、長細い尻尾は案の定鞭のように使えるだけでなく、槍のように突き刺すことにも使えるようだった。まあそもそもカルほど近接戦闘そのものが得意ではないので、尻尾を使うことはあまりない。後衛向きなのだから当然言えよう。


 ただでさえ速度と機動力の両方に優れていたリンだが、本気の彼女の背中にはもう乗ることが出来なくなった。原因はまさに彼女の速度と機動力のせいである。


 とにかくリンの速度が速すぎて、とてもではないが背中に乗った状態で狙いをつけて魔術を放つことが出来ないのだ。それに速度を保ったまま急制動を利かせることが可能なので、方向転換の瞬間には何も出来ない。それどころか落ちないように必死で掴まるだけで、戦うことはおろか周囲の状況を把握することすらかなわなかった。


 実際の戦闘で私に合わせて速度を落としていたのでは、リンの最大の特徴である速度を活かせない。そこで普段の移動ならともかく、騎乗して戦う場合は必ずカルの背中に乗るしか選択肢がなくなっていた。


 私を乗せられなくなったからか、リンは少し悲しそうな様子だった。それ故に移動の際にはなるべくリンに乗るようにしている。カルもそれは理解しているようで、移動の時に自分を選ばないことに不満を見せることはなかった。


 リンでこれでは、アマハの乗る(ドラゴン)はどうなっているのだろうか?競龍で我々に勝利したことから、ほぼ間違いなくリン以上に速くなっている。これ以上の速度でアマハの弓術が活かせるのだとすれば、それは尋常ではなく強力なのでは…?


 閑話休題。進化したリンに自分の戦い方を慣れさせながら、我々は大量の魚介類を確保することに成功した。他にも『灰降りの丘陵』で獣肉を、『誘惑の闇森』で食用の果物などを集めている。イベントで作り出した作物も可能な限り収穫していた。


 そして万全の準備を整えた今日、コンラートの船によって海を渡って新たな住人となる者達がやって来る。それは『ザ☆動物王国』と『仮面戦団(ペルソナ)』、そして…『Amazonas』というクランのメンバーであった。


 この『Amazonas』というクランは何なのか。それはアマハの所属するクランであった。アマハはフォティンの状況を調べて後方に下がった後、言っていた通りに戦場には向かわなかったらしい。もし戻っていれば、きっとシラツキのモニターに映って迎撃されていたことだろう。


 その代わりにと言うのも違う気がするが、彼女は戦いが終わった後に戻ってきたらしい。すると、街で我々と戦っていた数人のプレイヤーに我々と繋がっていたのではないかと糾弾されたそうだ。


 どうやら遠くから私とのやり取りを見られていたらしい。しかも質の悪いことに目撃したプレイヤー達は話をしている姿は見えていたが、会話の内容までは把握していなかったと言う。つまり、アマハが何を言っても言い訳のようにしか見えないのだ。


 彼女には後ろめたいことなど一つもないので、偶然にも競龍で競った相手と鉢合わせたから少し話しただけだと事実を述べた。だが、彼女の言い分を彼らは信じなかったらしい。誤魔化しているのだと決め付けて彼女に襲い掛かったのだ。


 我々に勝ち逃げされた挙げ句、追跡するためのアイテムまで看破された悔しさから気が立っていたのだろう。他のプレイヤーも同調してアマハに襲い掛かった。数の暴力には勝てないと冷静に判断した彼女は、即座に逃げることを選択したのである。


 逃げたことで弁明する機会を失ったアマハは、彼らの間では裏切り者であるとのレッテルを貼られてしまった。冷静さを保っていた者は決め付けるのは早いのではないかと慎重論を唱えたが、頭に血が上っている者達は聞く耳を持たなかったそうだ。


 逃げたアマハは急いでクランメンバーにメッセージを送った。その内容はもちろん、自分が濡れ衣を着せられてしまったことである。間違いなく掲示板などで拡散されるので、今の内に皆も逃げるようにと伝えていたのだ。


 最初、連絡を受けた『Amazonas』のメンバーはどう対応するべきかで意見が割れた。それは自分達は裏切っていないと釈明するべく逃げないという意見と、どうせ話など聞いてはくれないのでさっさと逃げるべきだという意見である。


 どちらにも一理あるのだが、クランのリーダーは逃げるという決断を下した。と言うのもその当時はクラン単位で賊軍を追撃している最中であり、釈明しようにもする相手がいなかったからだ。


 追撃を中止してアマハと合流した『Amazonas』のメンバーだったが、その頃には既に掲示板にアマハが裏切り者だというデマが流されていた。掲示板では根拠が薄いとのことで懐疑的な者の方が多かったが、同時に身の潔白を証明することも不可能である。いわゆる悪魔の証明であるからだ。


 それは私が証言してもそれは同じだっただろう。ちなみに私は掲示板を小まめに見るタイプではないので、そんなことになっているとは知らなかった。むしろ余計に疑われることになったかもしれないので、結果的にこれで良かったのだろう。


 ただ、疑いの目を向けられながらゲームをプレイし続けるのはストレスが溜まる。そこでコンラートが声を掛けたのだ。ほとぼりが冷めるまで他のプレイヤーがほとんどいない場所に行かないか、と。流石は商人と言うべきか、コンラートは知り合いが多いと見える。


 行く場所と同行者に関しては秘密厳守という怪しい条件付きであること、『Amazonas』には賃貸契約を結んだばかりの拠点があること、そしてそもそもコンラートを信用しても良いのかわからないこと。三つの懸念点はあったようだが、結局はコンラートを頼ることになったのだ。


 無論、事前にコンラートから話は聞いている。彼は『Amazonas』のメンバーを受け入れるのは自分の独断であり、我々の街ではなく建設中の港で拠点を構えさせるつもりだと言う。彼女らを匿う見返りに、商売の仕入れや商船の護衛などを手伝ってもらうようだ。


 つまり、拠点はコンラートの港町だが、主な活動拠点は他の大陸や海の上となるらしい。ただ、この大陸に来る以上は無関係でいられるはずがない。なるべく仲良くさせてもらいたいものだ。


 他の懸念点としては、人数が増えることで情報漏洩のリスクが増すことだろう。これに関しては半分以上諦めている。人の口に戸は立てられぬという諺もあるのだから。


 そもそも秘密にしておきたいというのは、ティンブリカ大陸を独占したいという身勝手な理由だ。公表されたとしても文句は言えない。それに…既にバレたところで街を守るための準備は整いつつある。来るなら来てみろ!


「見えてきたなァ」

「ああ。あの船にタマ達が乗っているはずだ」


 これまでのことを振り返っていると、隣にいたジゴロウが水平線の先を指差した。そこからゆっくりと一隻の船が上がってくる。あの船に新たな住民となる者達が乗っているのだ。


 さて、小難しいことを考えるのはここまで。私達は今、コンラートの港町にいる。それは何故か?新たな住人を歓迎会で出迎えるためだ。我々と共に出迎えるべく、既に四つの種族(レイス)からも大勢の者達が待機している。今日は頭を空っぽにして、楽しむだけだ!

 次回は6月8日に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] まあクラメンが個人で付き合いがある人間側プレイヤーとかに情報漏洩が発生するのはある程度仕方ないかな…… とは言えあからさまに濡れ衣着せられたのは面白くないでしょうし、 ぶっちゃけコンラート商…
[一言] アマハは何か用が有るからまた会う風な事言ってたが、濡れ衣とは別だろうから、何の用事なのかな?龍関係かな? Amazonasが逆恨みしてこない事を祈ろう。
[一言] イザームも心配してるけど情報漏洩がどの程度になるのか アマハ以外は縁もないし魔物プレイヤーでもない 大陸に来る経緯が経緯なのでイザーム側に敵意持っててもおかしくない 人間プレイヤー側のスパイ…
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