進化と転職(カル編四回目)
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【杖】レベルが上昇しました。
【体力回復速度上昇】レベルが上昇しました。
【魔力回復速度上昇】レベルが上昇しました。
【魔力精密制御】レベルが上昇しました。
【暗殺術】レベルが上昇しました。
【指揮】レベルが上昇しました。
従魔、カルナグトゥールの種族レベルが上昇しました。
従魔、カルナグトゥールの職業レベルが上昇しました。
従魔、カルナグトゥールの種族レベルが規定値に達しました。進化が可能です。
従魔、カルナグトゥールの主人、イザームが進化の操作を行って下さい。
従魔、カルナグトゥールの職業レベルが規定値に達しました。転職が可能です。
従魔、カルナグトゥールの主人、イザームが転職の操作を行って下さい。
従魔、ヒュリンギアの種族レベルが上昇しました。
従魔、ヒュリンギアの職業レベルが上昇しました。
従魔、ヒュリンギアの種族レベルが規定値に達しました。進化が可能です。
従魔、ヒュリンギアの主人、イザームが進化の操作を行って下さい。
従魔、ヒュリンギアの職業レベルが規定値に達しました。転職が可能です。
従魔、ヒュリンギアの主人、イザームが転職の操作を行って下さい。
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ログインしました。昨日の『餓魂の錆砂海』での採集は、時間こそ掛かったものの順調に終わった。命鋼狂鮫との戦い以降も数回ほど命鋼で出来た魔物に襲撃されたが、その全てを撃退することに成功している。
ただ、やはり『餓魂の錆砂海』は一筋縄では行かないフィールドだった。以前に命鋼のサボテン型の魔物に攻撃された時もそうだったが、命鋼の魔物には必ず魔力を奪う能力が備わっている。攻撃を受けるだけで魔力が奪われ、なおかつ地面の砂に触れているだけでも魔力が吸われるのだ。
それ故に長時間活動し続けるのは難しい。持っていった樽を満たした頃には、全員がほぼ全ての魔力を失っていたのである。図らずも活動可能な時間のギリギリのラインが判明した形になるが、もっと時間が取れたとしても今のままでは一回の探索行であの数の樽が限界だろう。
その対策としてアイリスは魔力を吸われなくなるか、少なくとも吸われる量を減らすアイテムを作るつもりらしい。それが出来上がるまでは長時間に渡る採集は難しいというのが結論だ。
そして肝心の集めた砂の量だが…あれだけでは全然足りないことが判明している。具体的には最低でもあの百五十倍の砂が必要だ。それと同時に砂の五倍以上の『槍岩の福鉱山』の蟻塚から採取可能な素材が、すなわちセメントの素が必要という試算が出ている。うん、腰を据えて集めようか。
必要なアイテムの量には辟易するが、それ以上に嬉しいことがある。それは戦いを通して、私のレベルが上昇して現在では89レベルになっている。89レベルになってからも戦闘をこなしているので、もうすぐ90レベルの大台に乗るだろう。次なる進化をするのが今から待ち遠しい。
そして私だけでなくカルとリンの両方が進化可能なレベルにまで至ったことも嬉しい。龍という種族はレベルを上げるのに大量の経験値を必要とするので、進化してくれるまで時間が掛かってしまう。だからこそ、進化する時の感動はひとしおなのだ。
「フッフッフ!さあ、お前達!早速進化するぞ!」
「グオオン!」
「キューッ!」
私達は宮殿の中庭で気合いを入れる。カルとリンだけでなく、賢樹もノリノリで枝を振り回した。バサバサと音を立てて枝を動かしているし、血をあげたばかりなのでテンションが上がっているのかもしれない。
私のテンションも否応なく上がっているものの、この進化において私は最大の問題に直面している。それはカルとリンのどちらを先に進化させるべきなのかであった。
進化すればカルはより格好良くなるのは間違いない。その勇姿を今すぐに拝みたい気持ちはあれど、それと同じくらいに幼龍から劣龍への劇的な変化を早く見たいという気持ちもあるのだ。この究極の二択に私は頭を悩ませずにはいられなかった。
「一体、どっちを優先すれば良いのか…うぐぐぐぐ」
「キュー?」
「グオオオォ…」
私が頭を抱えていると、リンが不思議そうに私とカルを見上げ、カルは困ったものだとでも言わんばかりに深い溜め息を吐く。そんなに呆れなくても良いじゃないか!私の中では重要な選択なんだぞ!
カルに対して猛抗議しようとしたのだが、その機先を制するようにカルが自分から一歩前に出て鼻先で私をつつく。自分を先にやれという意思表示らしい。これで悩む必要はなくなったが、どこか釈然としないような…まあいいか。
「じゃあカルからにしよう。何か欲しい能力はあるか?あったら遠慮なく言ってくれ」
「グルルルル」
カルは必要ないと言いたげな雰囲気で首を左右にゆっくりと振った。今回も新たな能力は必要ないらしい。では次に考えるべきはどの能力を強化するのかだ。
カルは常に前に出て、持ち前の力で敵を叩き潰すのを好んでいる。そしてその戦い方は魔術師である私を守るのにはうってつけであり、ずっとその方向で伸ばしてきた。ならば、選ぶべきは前衛向きの能力であろう。
「じゃあ【角】と【筋力強化】を伸ばすか?この二つがお前向きだと思うのだが…」
「グオン」
「む?嫌なのか?両方…ではない?要らないのは【角】…のようだな」
私の予想とは違い、カルは【角】の強化は必要ないらしい。確かにカルはあまり角を使って戦うことはないし、強化しなくても良いかもしれない。では、何を強化したいのか。カルに聞いてみよう。
「なら何が良いんだ?ひょっとして魔術か?」
「グオン」
「そうか。なら火か闇かだが…それなら【火魔術】だろう?」
「グオオン!」
どうやら魔術を強化したいようだ。かつてのカルは牽制として魔術を使うことがたまにあったのだが、最近はその威力が弱すぎて使っていなかった。魔術に関する技量を伸ばしていないのだから当然であろう。
遠距離攻撃ならば【龍魔術】と【龍息吹】もあるのだが、実は両方とも牽制技には向いていない。前者は威力が高いものの、クールタイムがそれなりにある。一発一発を溜めた後に打つイメージであり、銃に例えるのならばライフルによる射撃だ。放つのに制限こそないものの、連射するのには向かない魔術である。
後者は至っては強力無比だが一度打つとその戦闘の間には二度と打てないと考えるべき最後の切り札だ。龍魔術がライフル弾なら、こっちは戦車砲のようなもの。やはり牽制には使えなかった。
最近は体力と防御力に任せて突っ込んでいたが、これから先の戦いを見据えれば牽制技は必要になる。将来のことを考えているとは、カルは賢いなぁ。
「わかった。お前の望み通りにしようか」
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従魔、カルナグトゥールの【筋力強化】が【筋力超強化】に進化しました。
従魔、カルナグトゥールの【火魔術】が【火炎魔術】に進化しました。
従魔、カルナグトゥールが進化を開始します。
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「グオォ…グルルルル!」
「キュゥ…!」
進化の操作を行うと同時に、カルの身体からガラガラと音を立てて鱗が剥がれ落ちる。そして四枚の翼を勢い良く開くと、まだ残っていた鱗が一気に周囲へと飛び散った。
外見はこれまでと全く同じながら、身体は再びもう一回り大きくなっている。全身を包む鱗は磨かれた宝石のような艶を放ち、胴体に対して少し長くなった尻尾はギラギラと光を反射している。まら、胴体に対する翼の大きさも増していた。大きくなった身体を浮かせるために翼も大きくなったのだろう。
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従魔、カルナグトゥールが高位破滅龍に進化しました。
従魔、カルナグトゥールが高位破滅龍に転職しました。
転職に伴い、カルナグトゥールが【威圧】が【破滅の龍威】に変化しました。
転職に伴い、カルナグトゥールの【飛行】が【龍翼】に変化しました。
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高位破滅龍という種族になったようだ。順当に一段階強くなった、と言うことだろう。うんうん、素晴らしい!
進化の後、何時ものように種族と同じ職業へと転職させる。すると【威圧】と【飛行】が一段階上の能力になった。前者が敵を威圧する際に効果を発揮するのはわかるのだが、後者は飛行が上手になるだけではないだろう。どんな追加効果があるのか、今から楽しみである。
大きくなって威圧感が増したとしても、やっぱり私にとっては未だに可愛いカルである。私はカルの頭を抱き寄せて全力で撫でてやった。ガシガシと音がするほどに力を入れて撫でると、カルは嬉しそうに鳴いていた。
「クルルルル…」
「キュキューッ!」
「おお。すまんな、リン。次は君の進化と転職に移ろうか」
私がカルを撫でていると、リンは不機嫌そうに鳴きながらローブの裾を噛んで引っ張る。ゲームなので伸びることはないのだろうが、作ってくれたアイリスに申し訳ないので止めさせるべくリンを抱き上げた。よし、じゃあ次はリンの進化と転職だ!
次回は11月28日に投稿予定です。




