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骸骨魔術師のプレイ日記  作者: 毛熊
第十七章 育てよう、駆け回ろう
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素晴らしき秋の一面・動 その三十九

 掲示板回と同時に投稿しています。御注意ください。

 根性で立ち上がった私を見て、ディヴァルトの全身にある瞳が楽しげに歪められる。根性を見せたことが本当に嬉しいらしい。それでも彼は容赦なく私を叩き潰すつもりだ。腕を大きく振りかぶり、それを相変わらずの速度で振り下ろしたのだから。


「オラァ!」

「ジゴロウ!?」


 両腕を上げて構える私に襲い掛かるディヴァルトの腕にジゴロウの蔓が絡み付く。一瞬だけ動きが止まったものの、ディヴァルトの怪力によって蔓は完全に引き千切られた。


 ただし、ジゴロウの行為に意味はあった。ジゴロウが稼いだ一瞬の時間で私は一歩退くことが出来、恐らくは即死していただろう一撃を回避することが出来た。


「俺に出来んなァここまでだァ!後は任せたぜェ、兄弟ィ!」

「ふ…ふふふ!ああ、やれるだけやってやるさ!」


 ジゴロウは一度だけ私を助けてから、ニグルとの戦いに戻っている。英霊との戦いの最中に私を助けるのは無謀だったのか、ニグルの左腕と四本ある右腕に持つ武器によってズタズタにされていた。


 それでもネナーシのアバター由来の回復力とジゴロウの体捌きによって辛うじて敗北してはいないが、私のせいで受けるはずではなかったダメージを受けてしまった。


 申し訳ないと思うと同時に、兄弟と呼ぶ相手にそこまでしてもらっておきながら無様にやられっぱなしと言うのは情けなさすぎる。何が何でも食い下がって、生き残ってやる!


「がははっ!良いっ!良いぞっ!」

「ぬっ!ぐっ!うおおっ!」


 私は防御系の武技を駆使してディヴァルトの猛攻を必死に耐えた。受け流し、弾き、防ぎ、時には一歩下がって回避する。これが今の私に出来る精一杯だった。


 しかしディヴァルトは一対一の状況になっても遠慮はしない。腕を振り回しつつ魔眼でこちらを狙って来るし、鼻息で押したり吸い込んだりもしてくる。しかも時折口を開いて絶叫する素振りまで見せていた。


 この場面をノーダメージで耐えることなど不可能だ。それ故に私は絶対に受けてはならない攻撃を絞っておき、残りは防げなかったとしても仕方がないと諦めることにした。


 受けてはならない攻撃とは麻痺の魔眼と睡眠の魔眼、そして状態異常を引き起こす絶叫である。アイリスが動けない現状、この三つだけは動けなくなるので受ける訳にはいかないのだ。


 両手にある四つの魔眼を凝視しつつ、押されたり吸い込まれたりするのを踏ん張って耐え、口を開けようとするならば全力で後ろへと跳躍する。それだけに集中しているので毒の魔眼で体力を削られ、爪によって斬り裂かれ、拳に殴り飛ばされて地面を転がっていた。


「ぐうっ!ハァ…ハァ…!」


 ディヴァルトの裏拳を受けて吹き飛んだ私だったが、地面をゴロゴロと転がってから立ち上がる。体力ゲージはもう後僅かであり、文字通り風前の灯だ。それでも私は諦めずに構える。そうしなければ最後まで食い下がると決めたのだ。最後の瞬間まで足掻いてやるぞ!


 そんな私に向かってディヴァルトはやはり躊躇なく駆け寄って来る。次の猛攻を耐えられる体力ではない。ならばいっそのこと私も攻めてみるか?せめて一撃、入れてやろうじゃないか!


「行くぞ!」

「ほうっ?そちらから来るかっ!しかし、それは蛮勇と言うも…のおぉ!?」


 私が拳を握り締めて前進しようとした時、ディヴァルトの身体を地面に張っていた水が絡み付く。あれはシュネルゲの身体であったはず。これまで『魂魄流転』を使ってからずっと傍観者となっていた彼が介入した。つまり、試練はこれで終了ということだ。


――――――――――


エキシビジョンイベント『英霊の試練』のクリア条件を達成しました。

全員に10SPが贈られます。

種族(レイス)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。

職業(ジョブ)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。

【呪術】レベルが上昇しました。

新たに反呪の呪文を習得しました。


――――――――――


 私の想像は正しかったらしい。『魂魄流転』を受けた時と同じ感覚を味わったかと思えば、私の視界は地面に倒れた状態になっていた。『魂魄流転』の効果が切れて自分のアバターに戻ったのである。


 それと同時にクエストをクリアしたことと各種レベルアップしたことの通知がやって来る。特に【呪術】は新たな呪文を覚えたらしい。どうやらこれを掛けておくと、その後に放たれた【呪術】を跳ね返す呪文のようだ。


 一見すると私には不要にも思えるが、今回のことでその価値は変わっている。【状態異常無効】があってもその耐性を貫通してくる能力(スキル)の存在が明らかになったからだ。


 耐性を貫通してくる能力(スキル)があるのなら、同じく耐性を貫通してくる【呪術】の使い手が出てきてもおかしくない。そんな使い手なら反呪をも貫通する手段を持っていそうだが…対抗策があるだけでもありがたい。


「ゴポゴポ…時間だ、友よ」

「むぅ!これからが面白いところだと言うのにっ!」

「いやぁ、俺はもうコリゴリだぜ」


 麻痺しているせいで身動きがとれない私は何とか一発で試練をクリアしたことに安堵しつつも、早く状態異常を解除してくれよと願っている。と言うのも今の私は沈黙の状態異常のせいで発声することすら出来ないからだ。


「ぬおぉ…ジゴロウ殿、良くもまあここまでズタズタにされながら戦えましたなぁ。身体の体積がごっそりと減っていますぞ?」

「悪ィな。ブチブチ引き千切られちまってよォ。一対一(サシ)でやり合った代償って奴だなァ」


 動くことの出来るネナーシとジゴロウは二人で我々の方に合流する。ジゴロウのアバターがボロボロなのは中に入っていた私が最も良く知っているが、ジゴロウが入っていたネナーシのアバターも酷いものだった。ネナーシも言っていたように、身体の体積がかなり小さくなっていたからだ。


 蔓の量は三分の一ほどになっていて、残っている蔓も非常に短い。ネナーシにとって慣れている鳥の姿に擬態すると、その大きさは普段の彼に比べて大人と子供ほど違っていたのだ。むしろここまで小さくなっても生きている植物の生命力に驚かされた。


「それよりもよォ…おい、あんたら。楽しく口論するのは勝手だがなァ、いい加減に兄弟達を治しちゃァくれねェか?」

「ゴポゴポ…おお、済まぬ。忘れておったわ。では、魂魄回帰」


 ジゴロウは苛立ったようにシュネルゲ達に声を掛ける。我々のことを忘れていたらしいシュネルゲは、ジゴロウに突っ込まれるや否や即座に【魂術】と思しき魔術を私達全員に使った。


 すると我々の状態異常はすっかり治った上に体力も全て回復するではないか。こんなに便利な魔術が【魂術】にはあるらしい。動けるようになった我々は次々に立ち上がる。三人が身体を振るわせてシュネルゲの一部を散らす隣で、私は濡れたローブを絞っていた。


「ふぅ、ようやく動けるな。それで、お三方。我々は試練を乗り越えたと言うことでよろしいのですか?」

「ゴポゴポ…然り。試練は合格である。それどころか我の想定した限界以上の力を見せてくれた。流石は我らが女神の認めし者。我が後輩よ」

「想定…それはひょっとして?」

「そうだよ。そこの阿呆が使う予定じゃない大技を使いやがったんだから。『狂恐凶叫』だっけか?それ格下相手には強すぎるから止めろって言っただろ」

「面目ないっ!我輩も滾ってしまったのでなっ!がははははっ!」


 ニグルが思わず距離を取ったディヴァルトの叫び声。あれは『狂恐凶叫』と言う技だったらしい。確かに洒落にならないレベルで凶悪だった。声が届く範囲に耐性貫通で複数の状態異常をランダムに付与するのだから凶悪と言っても差し支えないだろう。


 強すぎる攻撃だと思っていたが、シュネルゲとしても使うとは思っていなかったらしい。彼が止めようとしているのも見ていたし、そんなことではないかと思っていた。


 最後に私が一人で粘らなければならなかったのはあの叫び声のせいだ。つまり、私が転げ回りながら耐える必要はなかったと言うこと。私に表情はないものの、顔の肉と皮があれば所謂ジト目でディヴァルトを見ていたことだろう。


「ゴポゴポ…さて、それでは報酬の話をしよう。知っての通り、我らの武具の模造品か弱体化させた我らの能力(スキル)を得られる。好きに選ぶが良い」

「武具を使っていたのはニグルだけだがなっ!がははははっ!」

「SPを使って強化すれば選んだ能力(スキル)を俺達のものと同じに強化することも出来るぜ。まあ、必要なSPはデカいけどな」


 シュネルゲは報酬を自分で選ぶように言い、武具について突っ込みを入れるディヴァルトを無視してニグルが能力(スキル)について補足する。必要なSPの量についての言及はなかったが、英霊の持つ能力(スキル)なのだから相当多いと思った方が良いだろう。


 また、スルーされたがディヴァルトの言うことも正しい。武具を使っていたのはニグルだけであり、しかも我々の多くは彼の使っていた武器を使わないからだ。報酬として受けとるのは自然と能力(スキル)になるだろう。


 選べる報酬の一覧は我々の前に仮想ディスプレイに表示されている。三人の名前の下に選べる能力(スキル)と武器の名称が記されており、タッチするとその詳細が表示される。


 ふむ…三人とも一癖も二癖もある能力(スキル)が揃っているな。どれがにするべきか。うーむ、悩ましいところだ。


「私はこれがいいです!」

「私はこれを」

「拙者はこれですな!」

「俺ァこいつで頼むぜェ」


 むむっ!私が悩んでいる間に仲間達はもう決めてしまったらしい。急かされている訳ではないのだが、どうしても焦ってしまう。


 しかし折角の機会だし、妥協したくない。どれにするのが良いのか…おや?これは…ふむ。よし、これにしよう!


「では、私はこれにしたい」

「ゴポゴポ…承知した。それでは、これにて試練は終了とする。縁があればまた逢えるであろう」

「がははははっ!修練を積みっ!腕を磨いておけっ!」

「じゃあな」


 報酬が決定したところで、三人の英霊はそれぞれに別れの言葉を掛けてくる。それに返事をする間もなく、我々の視界は光に包まれて…気が付くとカルが寝ている広場に立っているのだった。

 次回は10月11日に投稿予定です。

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[良い点] 狂恐凶叫? 狂恐凶叫狂恐凶叫!狂恐凶叫狂恐凶叫狂恐凶叫? 狂恐凶叫狂恐凶叫狂恐凶叫狂恐凶叫 [気になる点] 以前にも書きましたが 狂恐凶叫のような造語を書くのなら 読み方もつけてほしいです…
[一言] 何もらったのかなー?わくわくw
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