素晴らしき秋の一面・動 その一
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【知力超強化】レベルが上昇しました。
【精神超強化】レベルが上昇しました。
【爆裂魔術】レベルが上昇しました。
新たに閃爆の呪文を習得しました。
【神聖魔術】レベルが上昇しました。
新たに聖光槍の呪文を習得しました。
【時空魔術】レベルが上昇しました。
新たに時間停止の呪文を習得しました。
【虚無魔術】レベルが上昇しました。
新たに護穿弾の呪文を習得しました。
【付与術】レベルが上昇しました。
新たに付与持続の呪文を習得しました。
【符術】レベルが上昇しました。
【死霊魔術】レベルが上昇しました。
【降霊術】レベルが上昇しました。
新たに英霊召喚の呪文を習得しました。
【邪術】レベルが上昇しました。
新たに死鎌の呪文を習得しました。
【鑑定】レベルが上昇しました。
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超巨大ヤドカリを見送った我々は、一度歩いて闇森人の里へと戻ってから拠点転移で街へと帰還した。入手したアイテムをアイリスに預けに行ったところ、運悪く彼女は既にログアウトしていた。なのでアイテムは代わりにトワに預けて我々もログアウトした。
それからアイリスとしいたけで色々と実験した結果、命鋼を混ぜたセメントは硬度が増すと同時に魔力を吸収する効果があることが判明している。これを用いることで、魔術にも強い城壁に仕上がることだろう。
それがわかってからと言うもの、我々は素材集めに明け暮れた。具体的に言えば『槍岩の福鉱山』での蟻塚掘りである。セメントの原材料を大量に確保しておき、『餓魂の錆砂海』の探索を本格的に開始した時に命鋼の金属粉を回収するのだ。金属粉はそれこそ砂海を満たすほどあるのだから、慌てる必要はないのである。
ただし、素材集めしか行っていない訳ではない。ジゴロウと源十郎を始めとした、闘技大会に出場予定の仲間たちの修行に付き合っていたのである。修行は対人戦もやったが、レベルを上げるために近くのフィールドで戦いに明け暮れた。
『槍岩の福鉱山』だけではなく、地獄でも飽きるほど戦った。その結果、何種類もの獄獣と戦って様々なアイテムを入手しつつ、私のレベルが二つも上昇した上に新たな魔術を幾つも使えるようになった。…闘技大会に出るつもりはないのに。
「さて、今日から五日間はイベントか。精々楽しむとするかね」
ログインした私はすぐにイベントエリアに向かう…ことはなかった。それよりも優先してやらねばならないことがあるからだ。私は自室の外に出ると、目的地へと歩いていった。
「どうだ?美味いか?」
私が向かった場所は中庭である。そして優先すべきこととは賢樹への水やりだ。賢樹を植えてからというもの、私はログインしたらすぐに水やりをしながら賢樹に話し掛けるようにしている。これも知育の一つなのだ。
ただ、事情を知らないと危ない人に見えるとは思う。実際に賢樹を植えたから時々話し掛けてやって欲しいというメッセージを確認していなかったセイは、私のことを本気で心配していた。
ちゃんと説明して誤解を解いたのでその時は事なきを得たが、紛らわしいことをして申し訳ない気持ちになったよ。それとセイが心優しい青年であることを再確認した。今時珍しいくらいに。
ちなみに、その時にセイの従魔であるモモと賢樹は再会を喜び合っていた。どうやらモモは私が説明せずとも賢樹が以前の記憶を保持していることを察知していたらしい。植物同士、何か通じるものがあるようだ。
「こんなものか?おお、そうか。今日も追肥はいるか?そうか、ちょっと待ってろよ」
ワサワサと賢樹は頷くように枝を揺らした。声を掛けるとちゃんと反応してくれるから世話をしやすい。水やりの量も私の素人判断なら不安だが、本樹の判断ならば間違いないからだ。
私はインベントリから取り出したカルの糞を取り出して根本にそっと置き、その上から土を被せる。どうも賢樹は鉢植えにいた時よりも更に大飯食らいになったようだ。血も糞も毎日追加しなくてはならないのである。
「これでよし、と。この調子でどんどん成長してくれよ?沢山のドングリを実らせてくれると私も皆も喜ぶからな」
賢樹は任せろとばかりに胸を張るように幹を反らしている。我々と触れ合ったからか、どうにも人間臭い動きをするようになった。どうも私が見ていない所で色々な言葉や妙な知識を吹き込んでいる者がいるようなのだ。
それが誰なのかはわからないが、わざわざ探そうとは思わない。怒るようなことじゃないし、そもそもコミカルな動きは見ていて面白い。とんでもない嘘や問題のある動きを仕込まれない限りは放置で良いだろう。
「お世話終了。先に変装して、と」
私は仮面と杖とフード付きローブを今装備しているものから交換する。どの装備もアイリスが作った新作だが、それぞれに住民の技術が盛り込まれていた。
仮面は『槍岩の福鉱山』で討伐した金属質な魔物の素材による合金を用いたもので、名前は『鋼鬼面』となっている。色は鈍色で何の変哲もない鉄製に見えるが、鉱人の技術で作られたものだ。鬼瓦から着想を得たデザインの威圧的な見た目をしており、個人的には気に入っている。
仮面の装備効果は物理と魔術への防御力を少し上げるだけで、そこまで強力な効果を持ってはいない。重要なのは性能ではなくデザインである。銀色の髑髏でなければ何でも良いのだ。
杖は先日入手した喰鋼樹の枝を削り出した『喰鋼樹の戦杖』。普通の杖としても使えるが、最大の特徴は物理攻撃力が高いことだ。鈍器としても使えるし、両端は鋭く削ってあるので突き刺すことも可能である。もちろん、これにも疵人の紋様が刻まれていた。
私の戦い方には合わないが、闘技大会に出ないからこれでも良い。それにジゴロウと源十郎に杖での戦い方は仕込まれている。イベントエリアで襲われることはないと思うけど、最低限の護身は可能だろう。
そしてローブだが、これだけは普段使いにすることにしたアイリスの自信作だ。四脚人が作った毛織物に闇森人が結った糸で刺繍が施されているローブの名は『幽玄の邪法衣』。全てのステータスが少し上昇する効果を持つ、汎用性の高い装備だった。
地獄の液体を配合した染料で染められた毛織物は黒くて肌触りが良く、『誘惑の闇森』にある果物の汁が染み込んだ糸は薄黄色で落ち着いた色合いである。刺繍の複雑な幾何学的紋様は疵人のもので、急所の部分に仕込まれた金属板は鉱人から融通してもらった合金だ。正しく四つの種族とアイリスの技術の集大成と言える逸品と言えよう。
「これでよし。これで北の山で暴れた人物と同一視されることはあるまい。じゃあ行くか!」
着替え終わった私はメニュー画面を操作してイベントエリアへと向かう。一瞬だけ視界が真っ白になった後、私はいつの間にかスポーツの競技場と思しき建物の前に立っていた。どうやらここがイベントエリアらしい。私は意を決して扉を開き、イベントエリアに脚を踏み入れた。
「おお、ここはロビーか?随分と広いな…!」
入り口の先にあったのは、かなり広い空間だった。空中には仮想ディスプレイのようなものが幾つも浮かんでいて、そこには何かの競技に出ているプレイヤーの姿が映っている。
あれは…ドッジボールかな?確か六対六のチームで出場するはず。初日から三日目までの予選で勝率が高かった八チームが四日目に決勝トーナメントを行う、と書いてあった気がする。
六人のログイン時間を合わせつつ、何度も試合をしなければならないのは我々には無理だろうと思っていた競技である。そもそも誰も出場しようと言い出さなかったから残念でもなんでもないが…やっているプレイヤーはとても楽しそうだ。童心に帰っているのかな?ううむ、我々も出場するべきだったか?
「おお、イザームじゃねぇか?久し振りだなぁ、おい!」
「ん?ああ、マックか!会えて嬉しいぞ」
画面を見ながら唸っていた私に声を掛けてくれたのは、以前に共闘した『不死野郎』のマック17だった。彼の周囲には彼の仲間達がいる。見知った顔を見ると安心するなぁ。再会を祝して我々はガッシリと握手を交わした。
彼らは前に会った時から進化をしているのか、身体が大きくなったり色が変わったりしている。装備も上質なものになっているので、彼らも様々な冒険をしてきたのだろう。
「一人じゃねぇか。仲間は?」
「時間が合わなくてな。そっちこそ妹さんはどうした?」
「おいおい、俺ぁシスコンじゃねぇんだ。いつも一緒にいる訳ねぇだろ」
「シスコンでしょ」
「シスコンじゃん」
「嘘はダメだろ、マックさん」
心外だとでも言いたげなマックだったが、『不死野郎』のメンバーは一斉に否定した。マックは絶句して振り返るが、彼らは悪びれもせずに当然だろと言わんばかりである。何だか似たような光景を前にも見たことがあるぞ?
「お前ら…と、とにかく!サーラはいねぇよ。ポップと二人で女のメンバー連れてどっか行ったからな」
「何か競技に出るのかもな。マック達は?」
「一応、パーティー戦で闘技大会に出るつもりだぜ。そっちは?」
「私は闘技大会には出ないよ。ジゴロウと源十郎は出る気満々だが」
「あの二人かぁ…絶対に当たりたくねぇわ」
共闘した時の暴れぶりを思い出したからか、マックは勘弁してくれとばかりに頭を振る。まあ、少なくともどちらかはパーティー戦じゃなくて個人で出るだろうから当たる確率は低いだろう。どちらにせよ、頑張って不死の底力を見せつけてくれ!
「じゃあここでブラブラするだけか?」
「いや、面白そうな競技があったから出場はするぞ。出るからには優勝を目指す」
「へぇ!優勝狙いかよ!何に出るんだ?」
「ああ、それはな…」
私が出ようと思っている競技の名前を告げると、凄く変なモノを見る目で私を見てくる。しかし、確かにそれなら私でも優勝を狙えるかもしれないと頷いてくれた。よし、じゃあ挑戦しに行くか!
次回は4月4日に投稿予定です。
あと5月1日の0時に新作を投稿する予定です。創作意欲を抑えきれなかった…。
あくまでもこちらの作品がメインなので、こちらの投稿ペースを落とすことはありません。
これからも拙作をよろしくお願い致します。




