秋イベントの告知
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【体力回復速度上昇】レベルが上昇しました。
【魔力回復速度上昇】レベルが上昇しました。
【魔力精密制御】レベルが上昇しました。
【符術】レベルが上昇しました。
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建築作業は順調に進んでいる。崩すべき建物は残りわずかで、崩した場所の跡地には続々と新築の家が建ち始めている。寂れた廃虚から活気のある街へと変わりつつあるのだ。感無量である。
個人的には建築作業も楽しいが、ジゴロウと源十郎に「勘が鈍るから」という理由で時折フィールドに連れ出されて戦闘もこなしたのでレベルが上昇している。もうすぐほとんどの属性魔術が新しい呪文を覚えそうなのだが、今は最近使えていなかった【死霊魔術】や【邪術】などを中心に使っていた。使えるのが普通の魔術だけじゃ、折角習得した価値がないというものだ。
『槍岩の福鉱山』にいる魔物との戦いも楽しかった。物理攻撃への耐性は高いものの、逆に特定の属性以外の魔術には弱い個体が多いようで私としてはまさにカモである。
ただ、【邪術】による即死攻撃が明らかに決まり易くなっていたことは気になった。これはレベルが上がったからか、不死王か魔王になったことによる影響なのか?それともその全てか?比較する対象がいないから検証は出来ないが。
即死耐性と言う能力を持つ敵と遭遇したことはないが、私と本気で戦うならば相手は対策をしてくるだろう。耐性を授ける装備品もあるだろうし、決して慢心してはならない。
「と言うわけで、特殊な砂を探すことを進言する所存であります!」
「…急にどうした?」
ログインした私が都の広場に向かうと、しいたけがカルの前で腕を組んで仁王立ちしていた。そしてどういうわけなのか全く説明せずに砂を探せと言い出している。
流石にこれでは首を縦に振るわけにはいかない。私が訝しんでいると移動用の魔導人形に搭乗してカルの背中をブラシで擦っていたアイリスが中断してこちらに来てくれた。
「すいません、イザーム。しいたけが『勢いで押せばゴーサイン出してくれるでしょ』とか言ってて…」
「グルルルル…」
アイリスが謝ることではないだろうに。そしてブラッシングを途中で止められてしまったカルが悲しそうに唸っている。何本もの触手を使ったブラッシングは相当に気持ちがよかったと見える。すぐに再開させるからちょっとだけ待っていなさい。
「順を追って説明しろ。特殊な砂が必要とはどういう意味だ?」
「アイリス研究員!説明したまえ!」
「研究員…?はぁ…えっと、前に蟻塚を採掘するとセメントが取れるってわかったじゃないですか。それを固める時にアイテムを混入させるとセメントに何らかの効果を付与出来ることがわかったんです」
「何…?それは大発見じゃないか!」
城壁を強化するには石材とセメントが大量に必要となる。硬い石材には疵人達によって紋様が刻まれることになっているが、それを繋ぐセメントにも何かしらの力があれば言うことはないのだ。
だから混入させる砂を探そうとしいたけが言い出したと言うことか。そこから言ってくれないと私も困ってしまう。直して欲しいが、きっと直らないんだろうなぁ。
「正確には砂でなくてもいいんです。鉱石を砕いた粉なら物理の耐性が、魔石を混ぜると魔術の耐性が付くみたいですよ。ただ混ぜられる割合にも限度があって、最良の組み合わせを見付けるためのサンプルが欲しいんです」
「なるほど、そのために色々な砂が欲しいということか。目星は付いているのか?」
「思い出すのじゃ!この大陸に来た時に見た景色を!」
この大陸に来た時に見た景色…?ええと、シラツキから見えたのはもう見た場所と燃える森、吹雪いている氷原に毒々しい沼地、それに…ああ!そう言えばあったな、奇妙な砂漠が!
つまり彼女はあの紫色の砂嵐が渦巻く砂漠から砂を回収して試してみたいと言うことらしい。過酷な環境にあるアイテムほど優れた性能をしているのはお決まりのパターンだ。確かにあのこの世の終わりのような砂漠の砂ならば、しいたけのお眼鏡にかなうかもしれない。
「次の目標は決まりだな。場所はどの辺りだったか。確か…」
「シラツキがスキャンしたデータによれば、闇森人の住む『誘惑の闇森』を越えた場所にあるようです」
「と言うことは、またあの百足の化物から隠れて森を通る必要があるか」
『誘惑の闇森』で見た巨大な百足、実験体0802号という個体名を持つ天樹殻皇帝百足。あの規格外の化物と戦わずに砂漠へ出るまで森を横断するのは骨が折れる。闇森人に頼って、抜け道があるかどうか教えてもらうとしよう。
しかしながら、我々にはコンラートと共に進めている陰謀がある。砂漠の調査はこれが終わってからになるだろう。人数が少ない我々は一度に幾つもの事業を進めるのは難しいからだ。今は建物の再建と陰謀の成就に励むべきなのだ。
「砂漠を目指すのは面白そうだが、準備が必要だ。今進めている事業が全て終わるまでは優先順位を低くしておいて欲しい」
「へい、王様!仰せのままに~」
「これほど敬意が籠っていない王様って呼び方も珍しいですね…あっ、運営からのイベントの告知です!」
話が終わるのを待っていたかのように、我々プレイヤー全員に向けた運営からのメッセージが届いた。その内容はアイリスの言った通り、一週間後に始まるイベントの告知である。
おや、今度のイベントは一風変わった催し物のようだ。イベントのタイトルは『素晴らしき秋の一面・食』。どんなイベントかと言うと運営から一人につき一つの鉢植えが配られ、そこに植えた植物を二週間で育てるというものだ。
植える植物は選べるようで、野菜から芋類、はたまた穀物や果樹の苗まで食用の植物のみだが選り取り見取りだという。そして収穫した野菜や果実は育てたプレイヤーのものとして扱い、イベント終了と同時に鉢植えと育てていた植物は消失し、代わりにその種が残るようだ。
鉢植えは女神がイベント専用に作ったアイテムで、他者への譲渡が不可能。植えた植物は決して枯れず、どの種を選んだとしても二週間以内に必ず実りが得られる効果があるようだ。あくまでも特別製の鉢植えが凄いのであって、イベント終了後に残った種はぞんざいな育て方をすればすぐに枯れてしまうことには注意しろと書かれている。
また、鉢植えに植えた植物は変異しやすいようになっていて、肥料や育成環境によっては新種が誕生する可能性もあると明記されている。現実なら低確率で発生する突然変異が頻発すると明記出来るのはゲームならではであろう。
もしも新種の植物へと変異させることに成功したなら、その種を確実に得られると言うことになる。有用な効果を持つ植物に出来たなら、その種の価値は計り知れない。
今回は競い合うタイプのイベントではないようだが、だからこそ闘技大会などでは活躍が望めないプレイヤー達にもヒーローになるチャンスが生まれるだろう。それこそ初心者でも大金を稼ぐことが出来るかもしれない。変わり種ではあるが、面白いイベントになりそうだ。
「ジゴロウ辺りは興味を持たなさそうなイベントだが、これはこれで良いんじゃないか?この大陸の環境に向く農作物が作れるかもしれない」
「『誘惑の闇森』にもない果樹も作れそうです。イベントが始まったら闇森人の方々に意見を聞いてみましょう」
「うひょー!悩むぅー!薬効たっぷりな食べる薬を目指すべき?それとも一舐めで昇天する猛毒を狙っちゃう?どっちがええんやー!」
私とアイリスは都で暮らす人々にとって都合の良い植物が作れるかもしれないと考えたが、しいたけは自分の【錬金術】に適した植物を作ってやろうと燃えている。このイベントは【錬金術】を始めとした生産職が喜ぶものになるだろう。
「おーい、兄弟ィ。次のイベントだってなァ」
「ガーデニングって言うより家庭菜園かな?」
イベントの話で盛り上がっていると、ジゴロウとその頭に乗ったルビーがやって来た。二人もイベントの告知は既に読み終わっているらしい。ジゴロウは興味なさそうに尻をボリボリ掻き、ルビーは逆に楽しみなのかプルプル震えていた。
「戦いじゃねェならどうでもいいなァ」
「えぇ~?せっかくのイベントだし、皆で楽しもうよ」
「楽しむっつってもなァ。俺ァ殴り合いか勝敗が関わらねェことには興味がわかねェんだよ」
ルビーが表面を手のようにしてジゴロウの頭をペシペシ叩いたり角を引っ張ったりしているが、兄弟はやはり乗り気にならない。これはジゴロウの趣向の問題であるから仕方がない面もある。だから私はどちらの味方もするつもりはなかった。
しかし、ここに一石を投じる者がいた。アイリスである。彼女はカルのブラッシングに戻りつつ、思い付くままに口を開いた。
「じゃあ私達の間だけで勝負するのはどうでしょうか」
「どういうことだ?」
「えっと、何人か審査員を募って私達がイベントで作った植物を食べてもらうんです。その味の評価が一番高かった人の勝ち…みたいな?」
「ふむ、食べ比べ勝負ということか。良いんじゃないか?」
アイリスはふとした思い付きで提案したのだろうが、私は素晴らしい考えだと思った。公平さを求められる審査員は都の住人から選べばいい。都の再建が終わり次第、畑で育ててもらうと言えば忖度のない判断をしてくれよう。
元々定住していた者が多い疵人はもちろんのこと、ようやく定住出来た四脚人にも農耕をしたいと思っている者が以外と多い。特に後者は狩りが苦手な四脚人に多い傾向があるようだ。
人には向き不向きがあるのだから畑を耕したいと思うのならそれで良い。むしろ狩猟採集しか選択肢がなかった状況から解放されたことを皆が喜んでいた。
「各種族の主だった者から二人ずつほど選出してもらうか。部門も分けて、単純に味を競う美食部門と毎日食べる穀物と芋類の主食部門ぐらいか?毒を含有して食べられないものが何種類も出来たら…毒部門も追加する。これでどうだ?」
「やった!これならジゴロウにも勝てそう!」
「勝負になるってンなら話しは別だァ。本気で育ててやろォじゃねェか!」
競い合う形にした途端にジゴロウもノリノリになっている。ならば決まりだな。イベントにかこつけてクラン内で遊ぶのも良いものだ。参加は強制にしないという前置きをしつつ、私はクランチャットで全員に向けて食べ比べ勝負をすることになったこととその概要を伝えるのだった。
次回は12月27日に投稿予定です。




