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骸骨魔術師のプレイ日記  作者: 毛熊
第十六章 海に咲く華
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進化と転職(八回目)

 新章が始まります!

 計画について細かい部分を決めた後、コンラートは下準備を仕込むためにセバスチャンを連れてルクスレシア大陸に帰っていった。武装商船はコンラートのものなので、帰ったのは彼とそのクランメンバーだけである。


 つまり、まだアン率いる『青鱗海賊団』は残っているのだ。ただし、彼女らの全員が海辺にテントを建ててそこで暮らしている。別に都に居たとしても迷惑でも何でもないが、彼女らは出発するまでの間はこのティンブリカ大陸の海を調べたいらしい。海の民っぽい発想だ。


 いつか彼女達は拠点となる島や入り江を持つことになるのだろうから、その下調べの一環なのかもしれない。その場所がこの大陸ではない何処か別の場所になるにせよ、良好な関係を続けていきたいものだ。


 コンラートは自分の商会に帰ったらすぐに陰謀を張り巡らせるようだが、ティンブリカ大陸に残った我々は彼の陰謀が形になるまではぶっちゃけ暇だ。今回はコンラートが黒幕で、我々は実行犯である。実行犯が一番忙しいのは決行の日であって、今ではないのだ。


 実行犯と言えば、我がクランのメンバーは今回の作戦にノリノリである。海賊のお宝を掻っ攫うと言う冒険っぽくも他プレイヤーを出し抜く計画が面白そうだと思ったようだ。ふっふっふ、何歳になっても悪戯をするスリルとは甘美なものらしい。


 こうしてコンラートの陰謀に付き合うことになった我々だが、彼からの出動要請が来るまで呆けているつもりはない。我々にも事情があるが故にやることはいくらでもあるのだ。


 一つ目はもちろん、進化と転職だ。あの戦いでクランメンバーの全員がレベル80に到達したのである。レベルを上げるためには膨大な経験値が必要なカルすら、レベルがいくつも上がるだけの経験値を溜め込んでいたのだ。あの戦いがどれ程激しく、厳しいものであったかが良くわかるだろう。


 ジゴロウなどはさっさと終わらせて進化によって強化された自分の身体の調子を確かめているが、戦死した者達への見舞いや偶然にも得られた報酬の分配などやることが多かった私はまだ進化を終えていない。この後でやるつもりである。


 二つ目は都の復興だ。建物の大半がボロボロで、しかもただ組み立てただけのハリボテである。黒壁と呼ばれていた城壁は堅牢だが、アイリスは手直しするべきだと主張していた。最初期から一緒にいる私は彼女が強く主張した意見は聞くべきだと知っている。よって今は拠点を整えることにしたのだ。


 幸いにも、この大規模な工事において疵人(スカー)達四つの種族(レイス)は協力を約束してくれた。疵人(スカー)は建築物に彫刻することで外観を良くしつつ頑丈にし、四脚人(ケンタウロス)は河原から石材を運び、闇森人(ダークエルフ)は木材を提供し、鉱人(メタリカ)は重機を使って建築を手伝ってくれるのだ。


 その代わりに疵人(スカー)四脚人(ケンタウロス)は城壁の内側での居住権を、闇森人(ダークエルフ)は都の周囲に植樹してからそこに住む権利を、そして鉱人(メタリカ)は自由に行き来する権利を求めたのである。最初はそんなことで良いのかと思ったのだが、四つの種族(レイス)にはそれぞれ事情があった。


 疵人(スカー)四脚人(ケンタウロス)は安全な都から出たくなかった。疵人(スカー)獄獣(ゴクジュウ)によって集落を追われたが、この都は今まで暮らしていた集落よりも安全だ。そして四脚人(ケンタウロス)にしてみれば、念願だった家入手してその中で暮らす快適さを知った。今更昔ながらの野宿に戻れないのだろう。


 森の中で暮らしている闇森人(ダークエルフ)だが、彼らは安全な場所で栄えていたせいで今の隠れ里が手狭になっているらしい。これまで通りに里を広げるのも良いが、彼らは好奇心旺盛だ。森の外から来た我々の存在を知り、一部の者達が外に新たな里を作ればいいと言い出したらしい。


 しかし、彼らは森に住む一族だ。魔術によって一時的に作るならまだしも、植樹によって一から森を作るのは時間がかかるし危険が伴う。ならば作らせてくれそうな私達に頼むという選択をしたのだ。


 自分達の街と直通の道を作った鉱人(メタリカ)は、これをどんどん利用したい考えている。『メペの街』で全てが完結していたところへ、我々がやって来て色々な分野に影響を及ぼした。その結果、彼らの興味を持ったら一直線な気質が外に向いたのだ。


 四つの種族(レイス)にあるそれぞれの理由から我々との付き合いを継続して共存共栄を選んだ。その都の改修工事を手伝うのはその第一歩と言えよう。


「やらねばならんことはいくつもあるが、今は進化と転職に集中するとしよう」


 やはりこの進化と転職は何度目だろうとワクワクするのを止められない!もうレベル80となった今でもそれは変わらないのだから、きっとこれからも変わらないに違いない。


 いや、浮かれている場合ではないか。今も外では都の改修工事は進んでいるのだ。私も微力ながら手伝うべきだし、なるべく早く終わらせなければならないだろう。


「よし、いつも通りまずは進化からだ」


 自室にある椅子の上で、私は手慣れた手付きで転職可能な種族(レイス)の一覧を見る。そこには二つの選択肢があった。


――――――――――


混沌深淵(カオスアビス)龍骨(ドラゴンボーン)不死魔王アンデッドイビルロード

 深淵系魔術を全て使え、身体に龍の一部が含まれ、更に【錬金術】によって様々な部位が追加された、不死(アンデッド)以外の種族(レイス)をも率いる不死王(アンデッドロード)の新種にして新たな魔王(イビルロード)

 通常の不死王(アンデッドロード)とは比較にならない強さを誇ると予想されるが、新種故に正確な戦闘力の測定は不可能。

 魔王(イビルロード)としてはまだ未熟である。


混沌深淵(カオスアビス)龍骨(ドラゴンボーン)不死帝(アンデッドカイザー)

 深淵系魔術を全て使え、身体に龍の一部が含まれ、更に【錬金術】によって様々な部位が追加された、複数の種族(レイス)とその土地を支配下におく不死帝(アンデッドカイザー)の新種。

 通常の不死帝(アンデッドカイザー)とは比較にならない強さを誇ると予想されるが、新種故に正確な戦闘力の測定は不可能。


――――――――――


 不死魔王アンデッドイビルロード不死帝(アンデッドカイザー)、この二択である。どっちも大袈裟で説明文も大差なく、進化するための条件もやはり違いが分かりにくい。簡単に魔王(イビルロード)を量産したくないと言うことだろうか?


 それはともかく、どちらを選ぶべきかは悩ましい。どちらの方が優れているのかが良くわからないからだ。個人的なイメージだが、皇帝は王よりも一段上の存在だと思っている。でも魔王(イビルロード)の方が響きがいいんだよなぁ…よし、決めた!


――――――――――


混沌深淵(カオスアビス)龍骨(ドラゴンボーン)不死魔王アンデッドイビルロードが選択されました。

混沌深淵(カオスアビス)龍骨(ドラゴンボーン)不死魔王アンデッドイビルロードへ進化します。

進化により【不死の叡智】レベルが上昇しました。

進化により【深淵の住人】レベルが上昇しました。

進化により【深淵のオーラ】レベルが上昇しました。

進化により【浮遊する頭骨】レベルが上昇しました。

進化により【魔を統べる者】スキルを獲得しました。

進化により【不死魔王の大号令】スキルを獲得しました。

進化により【中位不死支配】が【上位不死支配】に進化しました。

進化に伴い、蓬莱の杖、髑髏の仮面、月の羽衣が一段階成長しました。


――――――――――


 はい、魔王(イビルロード)にしました。理由は名前の響きが良いだけではない。皇帝の進化条件に『複数の種族(レイス)とその土地を支配下におく』とあるからだ。


 これはきっと闇森人(ダークエルフ)の里や鉱人(メタリカ)の『メペの街』のことだと思われる。別に支配下に置いているつもりはないのだが、そう言う判定になっているのだろう。


 システム的な判断については今は考えないでおく。友好的に傘下に置くにせよ武力によって征服するにせよ、支配下に置くことが皇帝の条件だと仮定する。自分に支配している自覚がないのに支配していることが条件の種族(レイス)になるのはリスキーではないか?だから不死帝(アンデッドカイザー)を選ばなかったのである。


「増えた能力(スキル)は【魔を統べる者】と【不死魔王の大号令】か。性能は…良さげじゃないか」


 混沌深淵(カオスアビス)龍骨(ドラゴンボーン)不死魔王アンデッドイビルロードとなった私が新たに得た能力(スキル)は二つ。それが【魔を統べる者】と【不死魔王の大号令】である。この能力スキルの内容は以下の通りだ。


――――――――――


【魔を統べる者】

 自らの配下の個体数と種族(レイス)職業(ジョブ)の種類に比例して自身のステータスが強化される。


【不死魔王の大号令】

 千を超える配下を指揮する時にのみ発動可能。

 発動時、配下のステータスと状態異常への耐性を大幅に強化する。

 対象が不死の場合、ステータスが更に強化される。


――――――――――


 両方ともステータスを強化するタイプの能力(スキル)だった。ただし前者は私が、後者は仲間が対象であるようだ。


 【魔を統べる者】は様々な種族(レイス)で色々な職業(ジョブ)を持つ仲間が集えば集うほど私自身が強くなるらしい。普通の王様ならば自分が強い必要はないのかもしれないが、私は魔物でプレイヤーだ。弱ければ舐められるに決まっているし、強くて困ることはないだろう。


 【不死魔王の大号令】は前の戦いのような大規模戦闘で効果を発揮する。どうやら不死(アンデッド)ならばより強化されるようなので、不死(アンデッド)部隊はコツコツと強化しつつ増員していくとしよう。


「次は転職だが…選ぶべき選択肢はこちらも二つ。前回も見た不死王と魔王か。ならば魔王一択だな」


 不死王は不死(アンデッド)の仲間に特化した恩恵をもたらす職業(ジョブ)である。我々には不死(アンデッド)ではない者の方が多い。ならば魔王しかないだろう。


――――――――――


『魔王』が選択されました。

称号(タイトル)、『不死の魔王』を獲得しました。

【上位不死支配】が【最上位不死支配】に進化しました。


――――――――――


 おっと、転職と同時に新たな称号(タイトル)を得たようだ。そしてついさっき進化したばかりの【上位不死支配】が【最上位不死支配】になっている。これはどんな効果なのだろうか?『不死の魔王』と共に確認しておこう。


――――――――――


『不死の魔王』

 魔王となった不死の証。

 魔物、特に不死に対して絶対的な畏怖とカリスマを得る。

 王として何を成すかによって、王の評価は決まっていく。

 己に恥じぬ王であれ。


【最上位不死支配】

 自分と同じレベルまでの不死を支配することが出来る。

 不死の魔王のみに使える能力。

 プレイヤーへの効果は限定的。


――――――――――


 うーむ、畏怖とカリスマねぇ…よくわからん。『不死の魔王』の効果を体感するのは難しそうだが、【最上位不死支配】は短い文面だけでも便利だとわかる。これを持っていると今ならレベル80以下の不死(アンデッド)を問答無用で支配出来ると書いてあるのだから。


 もしかして不死(アンデッド)まみれの場所を見つけたらそこの住人をまとめて支配下に置けるのか?そうだとしたら【不死魔王の大号令】を使える日も近い。ふっふっふ!胸が踊るなぁ!


 進化と転職が終わったところで私も土木作業に加わるとしよう。魔術による穴掘りや配下を指揮しての労働も出来るのだから。さて、魔王になって最初の仕事だ!

 次回は11月25日に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一気読み中だが、 頭蓋骨増殖以降の進化に魔改造を一切しなくなったのはすっげーガッカリ。
[一言] 神聖魔法を使える不死魔王で純潔の所有者 なんかカオス w
[良い点] 攻略掲示板で不死モンスターがたくさん出るエリア(ダンジョン)を探して、そこに移動すればわざわざ量産しなくても大量に支配下モンスターが調達できますね笑 低レベル向けのエリアとかなら、例外規定…
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