三人よれば悪巧み
掲示板回と同時投稿しています。
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種族レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
種族レベルが規定値に達しました。進化が可能です。
職業レベルが規定値に達しました。転職が可能です。
【杖】レベルが上昇しました。
【鎌術】レベルが上昇しました。
【鎌術】の武技、断命を修得しました。
【知力超強化】レベルが上昇しました。
【精神超強化】レベルが上昇しました。
【考古学】レベルが上昇しました。
【鑑定】レベルが上昇しました。
従魔の種族レベルが上昇しました。
従魔の職業レベルが上昇しました。
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あの戦いの後、フェルフェニール様から報酬を受け取った我々は都へと凱旋した。銃後を守っていた非戦闘員達はその多くが勝利を祝ったが、戦死した者達の家族は嘆き悲しんでいた。
私はアイリスに頼んで都の広場の中央に大きな石碑を建てて、戦死者を盛大に弔った。彼らのお陰で獄獣が闊歩する大陸にならずに済んだのだから。
フェルフェニール様からいただいたコンテナの中身だが、どれもこれも有用かつ古代文明製なので非常に価値がある。普通なら取り合いになりそうなものだが、選り取りみどりであったので特に揉めることもなく分配することが出来た。
分配の基準であるが、戦いに参加した四つの種族には一人辺り五つのアイテムを所有しても良いとした。選ぶ順番は戦死した者達の家族を優先している。これで八割ほどの魔道具が選ばれ、残った二割を我々が所有する運びとなった。
残り物と侮るなかれ。彼らに必要とされなかっただけで性能は折り紙付きなのだから。欲しいアイテムがあれば五つまで受け取り、残りはクランの所有物として宝物庫に保存した。
途中から参戦した『青鱗海賊団』と彼らを雇ってここまで運んでくれた『コントラ商会』にも勿論報酬を用意している。具体的に言うと『青鱗海賊団』にはアイリスが手直しした鉱人の兵器、『コントラ商会』には都の一等地に店を構える権利だ。
これは私が提案した報酬ではなく、両方とも彼らが求めたものである。単純に戦力の増強となる『青鱗海賊団』はともかく、コンラートの要求は意外だった。彼はどうやらこの大陸で本腰を入れた商売をするつもりのようだ。
「すまない、遅くなった」
そして今日はコンラートから商談があると事前に言われていた。ただそんな日に限って仕事が立て込んでいたせいで予定した時刻よりも遅れている。なので商談の場としていた宮殿で最も綺麗な部屋に入ったと同時に私は謝罪を口にした。
「やぁっと来たか、イザーム君?」
「お仕事お疲れ様ってヤツかい、王様?」
コンラートが持ち込んだ如何にも高そうなソファーには、コンラートともう一人の女性が座っていた。彼女こそ『青鱗海賊団』の団長、アンである。この商談には彼女も加わると最初から聞いていたので問題はないのだが…誰よりも寛いでいるのはどうなのだろう?
彼女の肩書きが団長なのは、まだ船を持っていないかららしい。呼称に関しては確固たる信念があるようで、船を持つまでは団長と呼ぶように言われている。こだわりは人それぞれということだ。
彼女の団員は戦いの時以外はとても紳士的であった。私にだけではなく、その辺を歩いているNPCにも丁寧な口調で話し掛けている。イベントで私が打ち倒した青年のように、どうしても『強い者の方が偉い』という考え方と同じくらいに『プレイヤーの方が偉い』と思っている者が多い。それを考えれば彼らは良心的なプレイヤーだと言えるだろう…アイコンは真っ赤だが。
「遅れたことは悪かったよ。だからそうからかわんでくれ、アン団長」
「素直に謝れる男は好きだよ、王様」
「この街には慣れたか?何もない場所で見るところなんてないかもしれんが」
「いやいや、案外面白いよ。あんた達を見てるだけでも笑えるし。じゃあ早速商談と行こうじゃないか、会長さん」
「う~ん。君が相手だとペースを握られちゃうなぁ。まあいいや。なら前置きは飛ばして本題に移ろうか」
不敵に笑うアンとは対照的にコンラートは苦笑した。しかし、すぐに表情を引き締めると彼の背後に立っていたセバスチャンに目配せする。すると彼は机の上に一枚の地図を広げた。
「地図?いや、これは海図か」
「当たり!これはルクスレシア大陸とフラーマ火山島を繋ぐ海図だね。これを買うのに結構金がかかったよ~」
ルクスレシア大陸は我々の初期地点だった場所で、フラーマ火山島は私の記憶が確かなら山人の国がある場所だったと思う。セバスチャンが広げた海図には、海図らしく地上よりも海上に色々な記号や線が引かれている。地上よりも海上を重視しているのは明白だ。
正確な海図は船を扱うならば必須だろうし、そのためにコンラートが大金を掛けたのも頷ける。海運に力を入れるつもりだと聞いていたし、先行投資として必要経費だと判断したのだろう。
ただ、そんな大金を掛けて得た海図をこうして私達に見せる理由がわからない。コンラート、お前はひょっとしてヤバい仕事をさせようとしているんじゃないか?
私とは逆にアンは海図を食い入るように見つめながら口角を上げている。私にはただの地図と変わらないこれが、彼女の目には値千金の宝に見えるのかもしれない。
「会長さん、あんた誰にどれだけ金を握らせたんだい?」
「そうだねぇ…まあ、それなりの爵位を買えるくらいと言っておこうか」
「ひゅ~!豪勢だねぇ!さっすがプレイヤーで一番資産を持ってる商人様だ!」
「あー…盛り上がってるところ申し訳ないのだが、私にもわかるようにこの海図の価値を解説してくれないか?」
私は降参するように両手を上げつつ二人に解説を頼んだ。この海図にどれほどの価値があるのかわからない私には、わかっている前提で話している二人についていけないのである。
「しょうがないねぇ。海図に何本か線が引かれてるだろ?これは商船の航路さ。色々あるんだけどね、ここをご覧よ」
アンが指差したのは海図上のある海域だった。小さな島が浮いているようで、航路がそのすぐそばを通っている。別に補給基地という訳でもなさそうだが、何か注目すべき点があるのだろうか?
ここを見ろと言われても、やはり私には他との違いがまるでわからない。ルクスレシア大陸では海側に進んだことはないし、フラーマ火山島に到っては行ったこともないのだ。わかるわけがなうだろう。
「この海域は海賊が出るのさ。あたし達とは別口の、NPCの海賊団がね。有名な賞金首で、たんまりと宝を溜め込んでるって話もある」
「ん?海賊が出る海域をわざわざ通る航路があるだと?ひょっとして上納金でも払って見逃してもらっているのか?」
「もっと酷いんだよ、これが。海賊ととある商人がグルなんだよね。商人が海賊に補給して、海賊は他の商人から奪った商品を受けとって売り捌く。海賊は安全に物資を得られるし、商人はタダで商品を仕入れて莫大な利益が出る。正にWin-Winってこと」
マジかよ。ガッツリ犯罪じゃないか。商船を襲って略奪する海賊は実行犯で、裏にいる商人が使って商売敵の売り物を奪っている。確かに儲かるのだろうが、やり方があまりにも汚いし卑劣極まりない。
「海運に手を伸ばしたのはいいけど、一番儲かるルクスレシア大陸とフラーマ火山島間の海に手を出し難いってわかっちゃって。その商人は挨拶しに来たとか言ってそれとなく圧力を掛けてくるし…いやぁ、やってられないよ」
「ふぅん。で、あたし達に何をさせたいんだい?海賊を退治してお宝を掻っ攫うってとこかね?」
普通に考えればそう言うことになると思う。しかし、コンラートのようなプレイヤーの枠を越えるほどやり手の商人がそんな単純な提案をするだろうか?
ちらりとコンラートの顔を窺うと、実に悪いことを考えていそうな表情になっている。やはりこれを利用してろくでもないことをさせるつもりだな?
「それも目的の一つだね。けど折角なら悪徳商人と海賊、それにプレイヤーをまとめてギャフンと言わせるようなことがしたくないかい?」
「プレイヤーも?面白そうじゃないか。乗ったよ、会長」
「…どんな計画だ?どうせもう絵図を描いているんだろう?」
ニヤリと笑ったコンラートは彼の立てた陰謀について語り始める。彼の計画を聞いた私は、熟考した後に受けることにした。悪徳商人と海賊をこらしめることに興味はないが、関わることになるプレイヤーを利用するだけ利用して無駄骨を折らせるのは気に入った。如何にも悪役っぽいじゃないか。
ただし、きっと気乗りがしない仲間もいるだろうと思うから参加するかどうかは自由にしよう。準備もいるし、実行する日取りも決めなければならない。何事も下準備を整えることは重要だ。
それから我々は計画を見直しつつ修正していく。コンラートの計画の大筋はそのままに、私とアンの事情や知識を元により良い形にするのだ。三人による悪巧みは、それからしばらく続くのだった。
次回は11月21日に投稿予定です。




