表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骸骨魔術師のプレイ日記  作者: 毛熊
第一章 不遇なる魔物達
10/688

月の光に魅せられて その一

――――――――――


【杖】レベルが上昇しました。

【魔力制御】レベルが上昇しました。

【土魔術】レベルが上昇しました。

【水魔術】レベルが上昇しました。

【火魔術】レベルが上昇しました。

【風魔術】レベルが上昇しました。

【闇魔術】レベルが上昇しました。

新たに闇腕(ダークアーム)闇面(ダークマスク)の呪文を習得しました。

【闇魔術】が成長限界に達しました。進化が可能です。

6SPを消費して【闇魔術】が【暗黒魔術】に進化しました。

新たに暗黒界(ブラックフィールド)の呪文を習得しました。

【無魔術】レベルが上昇しました。

【召喚術】レベルが上昇しました。

【付与術】レベルが上昇しました。

新たに二重付与の呪文を習得しました。

【魔法陣】レベルが上昇しました。

【死霊魔術】レベルが上昇しました。

【呪術】レベルが上昇しました。

【罠魔術】レベルが上昇しました。

新たに二重罠と双罠陣の呪文を習得しました。

【考古学】レベルが上昇しました。

【言語学】レベルが上昇しました。

異種族とのコミュニケーションが可能になりました。

【薬学】レベルが上昇しました。

【錬金術】レベルが上昇しました。

【鑑定】レベルが上昇しました。

【隠密】レベルが上昇しました。

【忍び足】レベルが上昇しました。

【奇襲】レベルが上昇しました。

【光属性脆弱】スキルが緩和されました。


――――――――――


 ログインしました。これらは月曜日から水曜日までの成果だ。日中は下水道で大蛞蝓(ビッグスラッグ)を乱獲と錬金術、夜は森で狩りと採取を繰り返した結果だ。


 まず、【付与術】と【罠魔術】が強化された。順に見ていこう。


 【付与術】の二重付与だが、これは一つの対象に二つの付与を掛ける事が可能になった。私であれば魔術強化(マジックブースト)を二重に掛ける事によって更に火力を伸ばせるし、いざというときは私のティッシュのような耐久をキッチンペーパー位には上げられるだろう。


 え?誤差の範囲だって?まあ、その通りだけども。


 次は【罠魔術】だ。まずは二重罠だが、これによって一つの罠に二つの術を仕込めるようになった。呪術を仕込むと呪いが二重に掛かる可能性があるので、より敵を弱体化させられるというものよ。


 次に双罠陣だが、これは二つの罠を同時に仕掛けられる技能だ。つまり、私は罠によって合計四つまで魔術を仕込めるということだ。戦術の幅が広がるな。


 妙な事になったのは【言語学】だ。異種族とのコミュニケーションってなんだ?と思ったら小鼠男(レッサーラットマン)の鳴き声で何を言っているのかが大体理解出来るようになっていた。異種族の言語をリアルタイムで意訳する事が可能になったっぽいな。使い道が見出だせないけども。


 そして最も喜ばしいのが【闇魔術】のレベルがカンストしたことだ。私の魔術戦を最初期から支えてくれた術が進化するのは感慨深い。


 進化した先は【暗黒魔術】だ。より強力な魔術を覚えられるだけではなく、既存の術も強化されている。あらゆる意味で進化したと言えるだろう。


 更に新たな魔術も覚えた。闇腕(ダークアーム)闇面(ダークマスク)、そして暗黒界(ブラックフィールド)だ。


 まず闇腕(ダークアーム)だが、これは自分の影から巨大な腕を作り出す魔術だ。ほぼ護身用だが、使い方次第で大化けするな。次の闇面(ダークマスク)は敵の顔に闇属性の仮面を被せる術である。仮面がある間は視覚に靄がかけて暗闇状態にし、さらに闇属性のダメージが蓄積していく嫌がらせ魔術だな。最後の暗黒界(ブラックフィールド)だが、これは自分を中心とした一定距離の領域を闇属性で満たし、更に範囲内の味方が魔物系の場合はステータスを微増させるという一風変わった術だ。私にとっては居心地がいいので問題はない。


 どれも癖の強い術だが、使用感は既に掴んだ。もう少し練習すればもっと効率よく使えるようになるだろう。


 そして今は夜、私は西の森に来ている。ここはもう勝手知ったる我が庭のような場所で、採取のポイントや魔物の位置なども大体わかるようになった。一昨日は人間のパーティーがいたが、それ以外ではほぼ誰も来ない。ほぼ独占状態だ。


 そのパーティーはどうしたかって?女二人に男三人の五人組だったのだが、鬼火(ウィスプ)でパニックになった女の悲鳴でやって来た(ブラウンベア)に殺されてたよ。平均レベルは8で私と同格なのだが、冷静さを失うと失敗することを彼らは身を以て教えてくれたよ。その(ブラウンベア)は私がいただいたがね。


 そういえば今日はどこかいつもより暗いと思っていたが、新月なのか。頭上にあるはずの青白い月が見えない。孤独な狩りの無聊を託つには良いものなんだがなぁ。


 あ、不味い。少し奥に入り込み過ぎたようだ。今まで鬱蒼とした森だったはずが、大きめの広場のような開けた場所に出てしまった。まだ時間に余裕はあるが、一旦戻…


――――――――――


フィールドボスエリアに入りました。

条件を満たしたため、『蒼月の試練』を開始します。


――――――――――


「…は?」


 え?何それ?『蒼月の試練』?ボスじゃなくて?


 私の困惑を他所に、事態はどんどん進む。新月故にさっきまで空に無かった筈の月が、いつの間にか夜空に浮かんで青々と輝いているのだ。それは今までと異なり、空に浮かぶ眼球を思わせる不気味さを漂わせている。


 何だか知らんが、今は迷っている時ではない。戦いになりそうな雰囲気なのだから、さっさと準備を整えるべきだ。


魔術強化(マジックブースト)、もう一度魔術強化(マジックブースト)、そして罠設置、もう一つ罠設置…」


 私は正面からの戦いで勝てる前衛ではない。故に万全の状態を整えておかねば!


「魔法陣展開、暗黒界(ブラックフィールド)。瞑想。下僕は待機」


 どうにか戦闘になる前に強化は終わったようだ。三体に増やした下僕に前衛を任せて、と。さあ、来るがいい!


ボコッ…


 ボスエリアの中心で地面が割れる音がしたかと思えば、そこから何かの腕が生えている。いつからこのゲームはホラーになったんですかね?


 冗談はさておき、地面から這い出てきたのはくすんだボロボロの着物…いや、あれは唐衣(からころも)という奴か?高校時代に古文の教科書で出てきた平安貴族っぽい格好だな。


 とにかく、現れたのはそれを纏った男だった。頭には烏帽子、右手には薄汚れた杖、左手には宝玉らしき物を握っている。地面の中から出てきたハズなのに腐っていない事から察するに、不死系(ご同類)じゃないのか。はてさて、どんな相手なのかね?


――――――――――


名前(ネーム):月ヘノ妄執

種族(レイス):人間(不老) Lv25

職業(ジョブ):上級貴族(?) Lv18

能力(スキル):【剣術】

   【槍術】

   【弓術】

   【短剣術】

   【?????】

   【??】

   【????】

   【???】

   【火耐性】

   【詩歌】

   【雅楽】


――――――――――


 え?は?レ、レベル差が三倍あるんですが!?しかも名前付きってどう言うことだ?しかも不死の人間だと?訳がわからんぞ!これ、本当に勝てる調整になってるんですかね?


「オオ、月ヨ…。今宵コソ我ガ愛ニ応エテクレ…」


 キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!って古いネタは兎も角、ほんとに何なんだ?プレイヤーそっちのけで月を見上げて語り出すのも謎だ。取り敢えず様子を見よう。邪魔をして最初からブチギレ状態になられても困るし、瞑想の時間も稼げるからな。


「ソナタガ求メシ秘宝ハ全テココニアル!サァ、我ガモノトナレ!」


 そう言って男は着ていた服と手に持っていた杖と宝玉、そして懐に入れていた茶碗?と貝殻の破片を空に掲げる。すると、月から青い光が舞い降りてそれらを照らし出した。中々に幻想的な光景だ。


 そして私はようやくこのボスの元ネタに察しが付いた。なら、そろそろ結末はわかりきっているな。案の定、月の光は宝と言うには小汚いそれらをひとしきり照らしたが、それだけだった。


「何故!何故ダ!我ハ、我々ハコンナニモソナタガ愛シイトイウノニ!恋シイトイウノニ何故我ヲ見ヌノダァァァ!」


 烏帽子の男はそう言って号泣し、咽び泣いた。人目を憚らず泣いている、と言うよりは月にご執心過ぎて私に気付いていないようだな。


 イベントシーンも終わったようだし、攻撃に移らせてもらおう。焦って攻撃しなかった分、瞑想によって魔力もかなり回復している。やってやるぞ!


「双魔陣展開、闇槍(ダークランス)!」

「グハッ!」


 遠距離魔術の中では未だに最高の火力を誇る闇槍(ダークランス)が二本とも烏帽子の男…長いから貴族でいいや。その貴族に突き刺さる。素の威力もあるが、それ以上に【奇襲】と『下剋上』、そして暗黒界(ブラックフィールド)がダメージを底上げしてくれる。事前の準備が良かったらしく、レベル差があるのに初手で体力を一割も削り取る事が出来た。


 しかし、逆に言えばこれだけやって一割しか削れなかった。やはりレベル差は厳しいな。


「何者ダ、貴様!不浄ナル者メ!」


 い、意外と余裕だな。まあいい。ここはロールプレイと洒落混もうか!


「何者か、だと?他人に名を聞く前に先ずは自分で名乗るのが礼儀ではないか?」

「魔物ニ礼節ナド不要!我ヲ誰ト心得ル!」

「寡聞にして知らんな。それで、貴殿は何処の誰だ?」

「マ、魔物ニ名乗ル名ナド持タヌワ!」


 おや?この慌て様はなんだ?ひょっとして…


「もしや、名を忘れたのか?」

「グッ…!」


 名前を忘れるくらいに長い間こんなことをしてたんかい。その辺を突いてみるか。


「名を忘れても月への執念だけはを捨てられぬか。其方の方が私よりも余程化け物ではないか。滑稽だな、高貴なる御仁よ」

「ダマレ…」

「ならば名乗ってやろう、哀れな名無しの貴き者よ。私はイザーム!ただの悪役志望者だ!」

「ダマレェェェ!」


 バッと厨二病っぽいポーズと共に私が名乗ると、貴族は半狂乱になって突っ込んできた。さっきの会話で煽ったのが功を奏したのかな?煽るのは苦手だが、あれでいいのか。


「掛かったな、阿呆め」

「グゥゥゥ!」


 貴族は私が仕掛けた罠をキレイに踏んだ。そこに仕掛けていたのは速度低下の呪いを二つだ。レベル差が有りすぎて不安だったが、ちゃんと効いたらしい。速度が急激に落ちたせいで、貴族はたたらを踏んでひっくり返った。


風壁(ウインドウォール)


 転んだ貴族の位置に、私は風壁(ウインドウォール)を展開する。この術、物理的な防御力は低いが壁その物が鎌鼬を内包しているので、触れるとズタズタに切り裂かれてしまうのだ。


 私の魔術によって、想定通りに貴族は血塗れになっていく。しかし、その状態は長く続かない。壁系の呪文はその特性上、発動した場所から動かせないので、移動されたらお仕舞いなのだ。


 貴族は狂乱しているので無策に突っ込んでくれるが、その代わりに痛みで怯む事は無くなったらしい。風壁(ウインドウォール)で体力的には兎も角相当継続ダメージを食らったはずなのに全く気にしていない。まあ、想定内だ。


「ガアアアア!」


 多少、動きが鈍った貴族は私を手に持った杖で殴り掛かってきた。かなり怖いが、負けるものか!


「まるで獣だな。双魔陣起動、石壁(ストーンウォール)

「ギイッ!」


 私は二枚の石壁(ストーンウォール)を設置する。この判断は正しかったようで、なんと貴族は一枚目の石壁(ストーンウォール)を一撃で殴り砕いたのだ。だが、流石に二枚目はめり込んだだけに留まった。


「 双魔陣遠隔起動!投げ飛ばせ!」

「カタカタ」

「ついでに食らえ、闇槍(ダークランス)!」

「グガッ!」


 私は動きが止まった貴族にさらにデバフを掛ける。今度は攻撃力低下の呪いだ。これも効いたか!運がいいぞ!


 呪いが掛かったのを確認すると、下僕の一体に命令を下す。それは新しく召喚した一体だ。コイツには召喚した時に筋力強化(ストレングスブースト)を掛けているので、他の二体よりも脆い代わりに力がある。


 下僕が貴族の杖を持った腕を掴むと、ハンマー投げの要領で遠くに投げ飛ばす。それと同時に放った私の魔術も直撃したことで、貴族はギャグ漫画のキャラが如く盛大に吹っ飛んだ。


 これで彼我の距離は振り出しに戻った。相手の体力は残り八割強。対する私の消耗は瞑想の効果もあって軽微。だからと言って油断できる相手では決してない。普段通り、徹底して搦め手で相手を翻弄してやろう。

 初のボス戦。なお、突破率一割以下を想定しいる模様。


 これをクリア出来れば、FSWに於ける戦巧者と胸を張って言えるでしょう。byイーファ


――――――――――


名前(ネーム):イザーム

種族(レイス)動く骸骨(スケルトン) Lv8

職業(ジョブ):見習い魔術師 Lv8

称号(タイトル):理の探求者

   称号を得し者

   異端なる者

   下剋上

   神算鬼謀

能力(スキル):残りSP 106

   【杖】Lv11 up!

   【魔力制御】 Lv13 up!

   【土魔術】 Lv8 up!

   【水魔術】 Lv8 up!

   【火魔術】 Lv9 up!

   【風魔術】 Lv8 up!

   【闇魔術】 Lv10 max!→【暗黒魔術】Lv 0 new!

   【無魔術】 Lv9 up!

   【召喚術】 Lv8 up!

   【付与術】 Lv5 up!

   【魔法陣】 Lv7 up!

   【死霊魔術】 Lv5 up!

   【呪術】 Lv4 up!

   【罠魔術】 Lv5 up!

   【考古学】 Lv7 up!

   【言語学】 Lv5 up!

   【薬学】 Lv7 up!

   【錬金術】 Lv7 up!

   【鑑定】 Lv8 up!

   【暗視】 Lv-

   【隠密】 Lv9 up!

   【忍び足】 Lv8 up!

   【奇襲】 Lv6 up!

   【状態異常無効】 Lv-

   【光属性脆弱】 Lv6 down!

   【打撃脆弱】 Lv10


――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
【推敲】 仮面がある間は視覚に靄がかけて暗闇状態にし、さらに闇属性のダメージが蓄積していく嫌がらせ魔術だな。 ⇩ 仮面がある間は視覚に靄をかけて暗闇状態にし、さらに闇属性のダメージが蓄積していく嫌がら…
[気になる点] 明らかな格上モンスター(レベル差3倍)に鑑定が効いてるのが不思議なのですが、イベント補正で閲覧可能になっているのでしょうか?
[気になる点] 光属性脆弱を持つ主人公は月の光でダメージを受けないのでしょうか?物理法則や自然現象も再現しているのなら月の光は太陽光の反射だからダメージ受ける気がするのですが。それともイベント戦闘なの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ