イジドラ
処女作なので至らない所などあったらスミマセン
俺の名前は、八神 竜太
趣味は読書です。どこにでもいるごく平凡な――
「ごく平凡な…ってなんだよ」
スマホに打ち込んだ自分の文章にツッコミを入れて
彼、八神 竜太は軽くため息をついた
「すべらない入学式の自己紹介文ってないのかなぁ…」
明日は彼の高校の入学式がある
竜太はそのために、近所のデパートの屋上のベンチに座り
空を見上げながらぼーっと考えていたのだった。
今日は日曜日、周りは家族連れやカップルが多く
小さな子供向け遊園地もあるデパートの屋上
考え事をする場所にはとても向いていなかったが、田舎者の竜太には
ここぐらいしか心当たりがなかったのだ。
(本当の趣味は兄ちゃんのエロ本をこっそり読むことなんです)
なーんて言ったら
女子はおろか真面目な男子からも引かれるだろうな
皆から白い目のオンパレードだ
(俺が本当に友達、彼女になりたいのはでっかい胸のモンスター娘…
ラミアとかハーピーとか、サキュバスとか…なんちてな)
竜太の性癖は彼の兄によって
若干変わっていたが、それを考えている時の彼の
幸せそうな表情は周りの人から見ても微笑ましいものでは……けしてなかった
「ママーあのお兄ちゃん一人で変な表情してるー」
「しっ見ちゃいけません!」
そんなベタベタな会話が聞こえたが
彼の耳には入っていなかった
(…よし、モン娘の事を考えたら元気出てきたし
帰ったら自己紹介文をネットから適当にパクッてすまそう)
そう彼、竜太が立ち上がった時だった――
ズシーン
というすさまじい音と衝撃がして
デパートの屋上にある、子供向け遊園地の遊具のかなり大きな
ドラゴンの頭が取れかかり、その真下にいる子供の元に
降りかかろうとしていた
「キャーーーッ!!!」
「危ないッ!!!!」
皆がそう声をあげる前に一人、子供の一番近くにいた
彼は動いていた
(!!!)
ズシーン
遊具のドラゴンの頭は竜太の上に降りかかったが
彼が庇った子供は無傷なようだった
「お兄ちゃん…あ、ありがと…」
無事でよかった、彼はそう言おうとしたが
意識がなくなってしまった
「誰か!救急車ーーー!」
誰かがそう叫んだが彼にそう聞こえる間もなく
意識はまどろみの中に落ちていった。