リュウキュウクロハヤシムシ
私が中学生の頃の話でござい。3つ程離れた義理の姉が中学を卒業すると共に家を出ていった。その際に、二人部屋として使っていた部屋が全て私のモノとなり、一人部屋となった。
美人の姉が部屋に居た頃はラッキースケベが多発したのはまた別の話であるる。
その頃に拾ってきたパソコンのウィンドウズ98さんは常に温かく、沖縄と言う地理条件を遥かに超えた熱量を放出し続けていた。故にこのウィンドウズ98さんの後ろのスペースにはしょうもない事件が多発する事になる。今日はその1つを自身の忘備録程度に書いたので紹介ますする。
「リュウキュウクロハヤシムシ」
ある朝、徹夜で麻雀をしていた私は、イソイソと学校へ向かう同級生を見送って一眠りしようとした。すると、ウィンドウズ98さんの後ろに謎の黒いサナギが有るのを発見した。
「何じゃこりゃああああ!」
徹夜のテンションで松田優作ばりに叫んだ私の声に引き戻されて同級生達が帰ってきた。そこにあったのは30個程の謎のサナギ。
「生きてるのかこれ……?」
「わからん、とりあえずビニール袋に入れておこう」
「電灯の紐に吊るしておこう」
私達は全てのサナギをビニール袋に入れて、なぜか電灯の紐にくくりつけてから部屋を後にした。
結局そのまま学校に行った私は数時間のお勤めを終えて、朝居た同級生達と共に帰宅した。
前提の説明をすると、溜まり場だった私の家には365日ほぼ住んでいる様な奴も居る位に暇な連中がたむろしており、毎日入れ替わり立ち替わり10名前後の友人が遊びに来ていた。
その友人達と家に帰ると、恐ろしいモノが待っていた。電灯の紐に提げられていたビニール袋の中に入れていたサナギが全て成虫になって居たのだ。けっこうな数の黒い虫が羽音を立ててビニール袋の中で暴れており、手が付けられない。
結局私を含む皆はこの虫が死に絶える迄手を付ける事が出来ずに延々と翌朝まで麻雀をする事となった。
麻雀中の雑談は新種の虫の命名と、もし放置していた場合この部屋がどうなって居たか?が盛り上がった。謎の黒い虫は「リュウキュウクロハヤシムシ」と命名された。沖縄県の林集一家で発見された黒い虫と言う意味を持つ。
死んだ虫は捨てられた。
それだけのお話。