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タソガレドキ

今回のお題



隕石が落ちてくるまでの3時間のほのぼの物語


夕焼け


駅前の雑踏が真っ赤に染まったのは夕焼け空が綺麗だから




「今日、世界は終わります」


 こんなご時世にも関わらず、生真面目なニュースキャスターは今日は雨が降りますとでも言うようにいつもの口調で世界の終末を予言した。

 仕事よりも家族と過ごすことを優先した人達の物のだろう足音が、ドタドタと慌ただしさを演出し、女子アナは裂けるような笑顔で終末の天気を告げる。

その様は天使が槍を向けてほほ笑みかけるのと同類の笑みで、背筋に冷たいものが走った。


「終末の天気は晴れのちのち隕石。くそったれなほど晴れた1日です。最後の1日を過ごすには絶好な日和ですね!」


 いままで好評だった真面目な口調はなりを収め、キャスターは狂った笑顔と皮肉まみれの舌で最後のニュースを読み上げる。

 止める者は居るはずが無いし、苦情を申し立てるような暇人が居たとしても電話を受け取る人がいないのだから無意味だ。

 ニュースキャスターの言っている終末は、カーテンを開けて外を見れば直ぐに理解出来る物で、そんな時にストレス塗れな仕事をする人なんて、一種のマゾヒストか仕事人間かのどちらかじゃないだろうか。


「報道フロアからは以上です。最後の日をたのしみましょう!」


 わたしは右手でリモコンの赤ボタンを押していい加減飽きてきた狂気を消し去り、左手でSNSの通知音が鳴り止まないスマホの音量をカチカチと0に変える。

 うるさい二つが消えて途端に聞こえだした外の喧騒からヘッドホンで逃避する。赤いウォークマンからボカロ曲を選び、再生。


 途端に流れ込んでくる音を聞き流し、つけっぱなしのPCを寝転がったままにいじる。


「あ、ネトゲがログインできないや。」


 ログイン出来ません、の文字が映し出されて動き出さないPCの画面をしばらく眺め、苛立ちのままにワイヤレスマウスを放り投げ、窓を開ける。


「天下の人々は今日も相も変わらず騒がしいですなぁ」


 店に3倍増しで吸い込まれて行く人々の波は秩序を無くしても、いつも通りにアリンコの群れのようにしか見えなかった。


「最後だし、思いっきり寝るかぁ!」


 ベッドに身を横たえて、布団を頭まで被り、もう用無しの4月のカレンダーを蹴飛ばして眠りにつく。

 願わくば、終わるまで起きないままに寝たまま行きたいと淡い願いをゆめに溶かして、最後の眠りの世界へ旅立つ。



夕焼け空の駅前、雑踏が朱く染まったのはきっと、黄昏空に染められていたから。


「綺麗……」


 黄昏色の血の気無い石の上の私はそう呟いて、東の空の隕石は、高らかなラッパを吹き鳴らし……




そして、世界は終わりを告げた。



残りお題、23個。




……これ、三つ同時消化縛りのせいでお互いに化学反応起こしてめっちゃきつい……

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