『平民の娘など認めない』と婚約破棄されたので、母を連れて夜会に行ったら、国王陛下が走ってきました
「平民の娘など、認めない」
侯爵家の応接間で、婚約者のハインリヒ様は、ソファにふんぞり返ってそう言った。
三日前のことだ。
私はミーナ、十九歳。王都の裏通りで洗濯屋を営む母を手伝いながら、商会で帳簿をつけている。ハインリヒ様とは、その商会に出入りしていた縁で、一年前に婚約した。
その人の隣には、金色の巻き髪の令嬢が座っていた。公爵令嬢のカトリーナ様。扇で口元を隠して、私を上から下まで眺めている。
「お前の母親は洗濯婦だそうだな。友人に紹介もできない。恥ずかしくて、夜会にも連れて行けない」
「そうですか」
私は、うなずいた。
「承知しました」
ハインリヒ様の眉が、ぴくりと動いた。たぶん、泣いてすがると思っていたのだ。
「……それだけか?」
「お預かりしていた指輪を、お返しします」
私は指輪を外して、卓の上に置いた。指輪の箱は、中身より丁寧に磨いてあった。
「それから、招待状を返せ。今度の王宮の夜会は、僕の婚約者として出すものだ。お前に用はない」
「こちらは、私宛てに届いたものですので」
私は封筒をひっくり返して見せた。宛名には、金の文字で『ミーナ・ハルトマン嬢』とある。
ハインリヒ様は、口を開けたまま、閉じられなくなった。
……宛名が私なのは、侯爵家の執事さんが、几帳面な人だからだ。
私は一礼して、応接間を出た。
泣いたのは、玄関を出て、角を二つ曲がってからだった。
◇
母のベルタは、裏庭の物干し場にいた。
白いシーツが、何十枚も、風に揺れている。夕方の斜めの光が布の向こうから透けて、庭じゅうがお日様の匂いになる。
母は五十歳。腰は丸いし、手は赤くて、ひび割れている。けれど、母が干したシーツは、王都で一番いい匂いがすると評判だった。
「あらあら。目が腫れてるわね」
母は、洗濯ばさみをくわえたまま言った。
「婚約、なくなった」
私は、シーツの陰に立ったまま、言った。
「あらそう」
母は、洗濯ばさみを一つ、留めた。
「今夜のご飯は、シチューよ」
「それだけ?」
「あなたが泣き終わってから、ゆっくり話しましょう。お腹が空いてると、いい考えは出ないものよ」
私は、笑ってしまった。笑ったら、また目が熱くなって、母の背中に額をくっつけた。母の背中は、洗い立てのシーツと同じ匂いがした。
シチューを食べながら、一通り話した。母は、「まあ」と「あらあら」と「それはいけないわね」を、順番に三回ずつ言った。それから、スプーンを置いた。
「夜会って、どんなところかしらね」
「え」
「一度、見てみたかったのよ」
母は、少し照れたように笑った。
「招待状は、あなた宛てなんでしょう? 同伴者を一人、連れて行ってもいいって、書いてあったわよね」
私は、卓の上の封筒を見た。確かに、そう書いてある。
「……お母さん、お城には行かないって、言ってなかった?」
「そうね。二十年、近づかなかったわ」
母は、少し黙った。
「でもね、ミーナ。あなたのために縫ったドレスを、ほどくのは、もったいないでしょう?」
それは、確かにそうだった。婚約が決まってから、私が夜なべして仕立てた薄い水色のドレスが、壁にかかっている。
「ほどいたら、泣いちゃうわよ、そのドレス」
「ドレスは泣きません」
「泣くのよ。布は、ちゃんと見てるの」
母は、洗濯屋らしいことを、真顔で言った。私は、行くことに決めた。
◇
夜会の日、母は、一張羅を出してきた。
二十年前に仕立てたという、深い緑のドレス。襟元に、小さな白いレースがついている。念入りにアイロンを当てたせいで、ドレスは、背筋を伸ばして立っていた。
私は、夜なべして仕立てた水色のドレスを着た。裾の縫い目が、一か所だけ曲がっている。
私は、母の手に、クリームを塗り込んだ。ひび割れた指の先が、少しだけ柔らかくなる。
「やだ、ミーナ。くすぐったい」
「じっとして。手袋、持ってないでしょう」
「手袋なんて、洗濯物が滑るから、嫌いなのよ」
……夜会に、洗濯物は出ないと思う。
母は、膝の上に、風呂敷包みを一つ載せていた。
「お弁当?」
「お弁当みたいなものよ」
母は、ふふ、と笑って、それ以上は教えてくれなかった。
馬車は、借りた。八百屋のおじさんの荷馬車だ。朝まで野菜が載っていたから、念のため、座席にシーツを敷いた。
「お嬢さんたち、がんばれよ!」
おじさんが、手綱を握りながら、元気に叫んだ。
王宮の正門は、金の馬車でびっしり詰まっていた。その列の中に、荷馬車が、一台。荷台の隅には、人参の葉っぱが一枚、残っていた。
門番は、招待状を見て、私たちを見て、荷馬車を見た。それから、もう一度、招待状を見た。
「……本物ですね」
「本物です」
「どうぞ。お足元に、お気をつけて」
門番さんは、人参の葉っぱを、そっとつまんで捨ててくれた。いい人だった。
◇
大広間は、光でできていた。
天井から垂れる百のシャンデリア。磨き込まれた床に、貴族の方々の影が、さかさまに映っている。楽団が、聞いたことのない円舞曲を奏でていた。
母は、入口の柱の陰で、足を止めた。
「……すごいわねえ」
母の声は、小さかった。けれど、目は、きらきらしていた。壁の絵を見て、天井の飾りを見て、給仕さんの運ぶお盆を見て、「あの銀のお盆、磨くの大変そう」と言った。
私たちは、壁際の椅子に腰を下ろした。母は、ドレスの裾を、何度も直した。
「ミーナ。お母さん、変じゃない?」
「全然。一番、きれい」
これは、本当だった。深い緑のドレスに、白いレース。背筋の伸びた母は、周りのどんなご婦人より、堂々として見えた。
その背中に、声が飛んできた。
「おい。誰の許可で、ここにいる」
振り向くと、ハインリヒ様が立っていた。隣には、金色の巻き髪のカトリーナ様。扇の陰で、くすくす笑っている。
「招待状は、私宛てです」
「宛名の問題じゃない。品位の問題だ」
ハインリヒ様は、母のほうを、ちらりと見た。
「その人が、母親か。確かに洗濯の匂いがするな。ここは舞踏会であって、洗い場じゃないんだ」
周りの貴族の方々が、振り向いた。扇が、いくつも、口元に上がる。
母は、動かなかった。いつもの、穏やかな顔のままだった。ただ、膝の上で、赤くひび割れた両手を、そっと重ねた。
その手を、隠すように。
……腹の底が、すっと冷たくなった。
「私への悪口は、いくらでもどうぞ」
私は、立ち上がった。
「でも、母の手を笑うのだけは、許しません」
「は? 洗濯婦の手を笑って、何が悪い」
「この手が、毎朝、三十枚のシーツを洗って、私を育てました。あなたの着ているシャツも、こういう手が洗っているんです」
「ミーナ、いいのよ」
母が、私の袖を、そっと引いた。
「お母さん」
「いいの。あなたが、わかってくれているなら」
母は、笑っていた。その笑顔を見た瞬間、喉の奥が、ぎゅっと痛くなった。
◇
ちょうどそのとき、ファンファーレが鳴った。
「国王陛下のご入場でございます」
広間じゅうの人が、一斉に、扉のほうを向いた。私たちも、ならって立ち上がった。
扉が、ゆっくり開く。
現れたのは、背の高い、疲れた顔の男の人だった。三十五歳のアルブレヒト陛下。先代が早くに亡くなって、十五で即位した若き王と聞いている。金の髪は整っているけれど、目の下には、くっきりと濃いクマがあった。
「陛下は、お疲れなのよ」
隣の令嬢が、ひそひそと囁いた。
「もう何年も、まともにお眠りになれないんですって」
「侍医が百人いても、治らないそうよ」
陛下は、いつものように、威厳のある足取りで、広間を進んでこられた。
その足が、ぴたりと止まった。
陛下は、顔を上げた。鼻を、ひくひくと動かした。
「……お日様の、匂い」
近くにいた宰相閣下が、首をかしげた。
「は? 陛下?」
陛下は、答えなかった。広間を、ぐるりと見回した。そして、壁際に立ち尽くしている、緑のドレスの女性の上で、視線を止めた。
陛下の唇が、震えた。
「……ばあや?」
母が、顔を上げた。
次の瞬間、陛下が、走り出した。
走った。本当に、走った。王冠が、ずれた。マントが、背中でばさばさと翻った。衛兵が「陛下!」と叫んで追いかける。宰相閣下が「乾杯のご挨拶が!」と叫んで追いかける。令嬢たちが悲鳴を上げて、道をあけた。
ハインリヒ様が、口を半開きにして、固まっていた。
陛下は、母の前で、がしゃんと膝をついた。
「ばあや!」
「あらまあ、アルブレヒト様」
母は、昔と同じような声で、言った。
「お行儀が悪いですよ。広間を走ってはいけません」
「はい、ばあや」
陛下は、うなだれた。大広間に、静寂が降りた。
◇
陛下は、顔を上げた。目に、涙がいっぱい溜まっていた。
「やっと、見つけた。二十年かかった」
「そんなに、探してくださったの?」
「何度も探しました。ベルタという名の洗濯婦は、王都に四十七人いた。全員に会った。誰も、あなたではなかった」
「名前を、変えていましたから」
「どうして」
「陛下のお名前に、傷をつけたくなかったからですよ」
母は、ゆっくりしゃがんで、陛下の目の高さに合わせた。
「あの日のことは、ご存じでしょう? 銀のスプーンが無くなって、私が疑われた」
私は、息をのんだ。……そんな話は、一度も聞いたことがない。
「陛下があんまり私になついてらっしゃるのを、嫌がった方がいたのです。……私は、辞めるしかありませんでした」
「私は、十五歳だった」
陛下の声が、かすれた。
「摂政の言うなりで、何もできなかった。ばあやが連れて行かれるのを、ただ、見ていた。ずっと、謝りたかった」
「守ってくださいましたよ」
母は、笑った。
「『ばあやは、盗んでいない』と、最後まで叫んでくださったでしょう? 門の外まで、聞こえていました。あの声があったから、私は、胸を張って、洗濯を続けてこられたんです」
陛下の肩が、震えた。一国の王が、大広間のど真ん中で、子どものように泣いていた。誰も、笑わなかった。ご婦人たちのハンカチが、あちこちで持ち上がっていた。
私は、母の横顔を見つめた。二十年、何も言わずに、毎朝シーツを干していたのだ。
「ばあや。母上が亡くなった夜、洗濯場の隅で泣いていた私を、あなたは、干したてのシーツでくるんでくれました」
「あらあら。そんなこともありましたねえ」
「あのシーツの匂いが、私の、眠りのすべてでした。あなたがいなくなってから、一晩も、ちゃんと眠れていない」
「あらあら」
「王宮の洗濯係は、誰も、同じ匂いを出せなかった。何度頼んでも。お日様の匂いのシーツでないと、眠れない」
「陛下」
母は、ちょっと真顔になった。
「あれはね、干し方ですよ。午前の光で干して、二度、裏返す。それだけです」
「……それだけ?」
「誰も、お教えしなかったんですか。まったく、もう」
母は、陛下の目の下を、ひび割れた指先で、そっと撫でた。
「ほら、こんなにクマをつくって。夜更かしは、いけませんよ」
「はい、ばあや」
「それから、陛下。お返ししたいものが」
母は、膝の上の風呂敷包みを解いた。
中から出てきたのは、古い、一枚のシーツだった。生成りの布は、すっかり黄ばんで、角に、小さな繕いの跡がある。
陛下の呼吸が、止まった。
「……あの夜の」
「ええ。母上様が亡くなった晩の、シーツです。疑われて王宮を出るとき、持っていけたのは、これだけでした。銀のスプーンではなくて、シーツ一枚。……盗人の荷物としては、安上がりでしょう?」
母は、いたずらっぽく笑った。
「毎年、春の一番いい日に、日に当てていました。いつか、お返しできる日が来ると思って」
「二十年も」
「洗濯屋ですから。大事な布は、干してあげないと、泣くんですよ」
陛下は、シーツを胸に抱いて、顔をうずめた。肩が、またひとしきり、震えた。
そこへ、息を切らした宰相閣下が、ぶどう酒の杯を掲げて追いついた。
「へ、陛下。乾杯のご挨拶を」
「あとだ」
「いつでございますか」
「ばあやの話が終わってからだ」
宰相閣下は、杯を掲げたまま、その場に立ち尽くしていた。
◇
陛下は、ゆっくり立ち上がった。そして、振り返った。
その顔は、もう、泣いていなかった。
「そこの若者」
ハインリヒ様が、びくっと跳ねた。
「今、この方を、何と言った」
「ぼ、僕は、その」
「洗濯の匂いがする、と言ったな。この方の手を、笑ったな」
大広間が、凍りついた。
「ファルケンシュタイン侯爵家の三男、ハインリヒ。お前の祖父は、前宰相のルートヴィヒだったな」
ハインリヒ様の顔から、血の気が引いた。
「銀のスプーンの件は、後年、調べさせた。無くなったのではない。前宰相が、自分の手で隠していたことが、記録から分かっている」
「そ、それは祖父のことで、僕は」
「ならば、孫の代で、償ってもらおう」
陛下は、静かに言った。
「ファルケンシュタイン侯爵家は、一ヶ月、王宮の洗濯場に奉仕せよ。全員だ。当主も、夫人も、お前もだ」
「せ、洗濯!?」
「教える方は、決まっている」
陛下が、母を見た。
「ばあや、お願いできますか」
「あらあら」
母は、にこにこと笑った。
「では、まず、手ごわい汚れの落とし方から、お教えしましょうね」
ハインリヒ様は、その場に、へなへなと座り込んだ。
隣で、カトリーナ様が、扇をぱたんと閉じた。
「ハインリヒ様。手を笑う方と踊る足は、持ち合わせておりませんの」
彼女は、すたすたと離れていった。通りしなに、私に小さく会釈をして。
ハインリヒ様は、ひとりで、床に座っていた。
◇
陛下は、私のほうを向いて、深く頭を下げた。
「ミーナ嬢。あなたの母上に、私は、返しきれない恩がある」
「と、とんでもないです、陛下」
「それから、そなたの帳簿は、商会の会頭から聞いている。会計院に、そなたのような者が欲しい」
「……私は、洗濯屋の娘です」
「だから、頼みたい」
私は、母を見た。母は、小さく、うなずいた。
「洗濯屋の娘のままで、お受けしてもよろしいでしょうか」
「もちろんだ」
陛下は、うれしそうに笑って、母のほうへ向き直った。
「ばあや。王宮に、戻っていただけませんか。お部屋も、給金も、望むままに」
「お断りします」
母は、あっさり言った。
「え」
「家に、洗濯物を干したままなんです。お話の続きは、取り込んでからにしませんか。乾いてしまいますよ」
陛下は、ぽかんと口を開けた。
「洗濯物が、乾く」
「ええ。乾いたら、取り込むのが仕事です」
広間のどこかで、誰かが噴き出した。それが、さざ波みたいに広がって、広間じゅうが笑いに包まれた。陛下も、泣き笑いの顔で、肩を揺らした。
「では」
陛下は、顔を上げた。
「私が、通います」
「あら」
「毎日。夜は、ばあやの干したシーツで眠る。昼間は、王宮で働く。……それなら、いいでしょう?」
「陛下が、毎日、うちの物干し場まで来るんですか?」
「通います」
母は、少し考えて、くすっと笑った。
「では、手伝ってもらいますよ。働かざる者、寝るべからず、です」
「はい、ばあや!」
◇
帰りの荷馬車は、静かだった。
八百屋のおじさんは、「王様の知り合いたあ、すげえな!」と、帰り道ずっと叫んでいた。母は、荷台のシーツの上で、目を細めて星を見ていた。
「お母さん」
「なあに」
「どうして、今まで教えてくれなかったの。王様の、ばあやだったって」
母は、少し黙った。
「教えたら、あなたは『王様のばあやの娘』になるでしょう」
星の下で、母の声は、やわらかかった。
「みんなが、そういう目で見る。私はミーナには、『洗濯屋のミーナ』のまま、大人になってほしかったの。……それで、一度、婚約を壊されちゃったけどね」
「お母さん」
「いい子ね。ちゃんと怒ってくれて、ありがとう」
「お母さん。私、洗濯屋のミーナのまま、お城で働くことにした」
「あらあら。じゃあ、お弁当は毎日つくらなきゃね」
私は、母の肩に頭を乗せた。母の肩は、お日様の匂いがした。
翌朝。
洗濯屋ベルタの物干し場には、見たことのない、金の刺繍のシーツが、一枚、はためいていた。
隣に、もう一枚。そのまた隣に、もう一枚。
夜明け前に、馬車が来て、置いていったのだという。馬車の主は、まだ庭にいた。昨夜、人参の葉っぱを捨ててくれた、あの門番さんだった。
「陛下のご命令で、お届けに参りました。あの、ミーナ嬢」
「はい」
「これは、その、干し方を、教えていただきたく。……いえ、シーツの」
彼は、耳まで真っ赤になって、帽子を握りしめた。
……母が、物干し場の陰で、洗濯ばさみをくわえたまま、にやにやしていた。
◇
一ヶ月後。
洗濯屋ベルタの裏庭に、ハインリヒ様が、籠を抱えて立っていた。
侯爵令息の手は、真っ赤にひび割れて、見る影もなかった。
「……届けに来た。王宮の洗濯場の、最後の分だ」
籠の中には、きっちり畳まれた白い布が入っていた。角が、揃っている。
「畳み方、上手になりましたね」
「お前の母上に、百回やり直させられた」
彼は、自分の手を見つめて、小さな声で言った。
「毎朝三十枚。……三日で、指が動かなくなった。お前の母上は、これを、二十年」
私は黙って、母のクリームを差し出した。
「ぬるま湯で洗ったあとに塗ると、痛くないですよ」
ハインリヒ様は、受け取って、うつむいた。
「……すまなかった」
「母に言ってください」
「言った。三十回、叩き込まれた。『声が小さい』と」
……母は、手加減というものを知らない。
ハインリヒ様が帰っていくと、物干し場には、今朝も、金の刺繍のシーツが並んでいた。
白い旗みたいに、青空にはためいている。その手前で、あの門番さん、改め、衛士のカイさんが、不器用にシーツを裏返していた。二度、裏返して、三度目に私と目が合って、また真っ赤になった。
その向こうで、母が、洗濯ばさみをくわえたまま、陛下の目の下を指さしていた。
「ほら。クマが、薄くなりましたよ」
「本当ですか、ばあや」
若き王は、洗濯物の陰で、子どもみたいに笑った。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
お日様の匂いのシーツで、ぐっすり眠れる夜が、誰にでもありますように。
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