君の細い腕を折りたい
掲載日:2025/12/24
君はよく、僕の名前を呼んでくれたね。周りが自然と苗字で呼ぶようになっていったのに、君だけはずっと僕を「家系」という集合体ではなく、「僕」として呼んでくれた。君にとっては些細なことかもしれないけど、僕はそれが嬉しかったんだ。ありがとうね。
君はよく、僕といろんな所へ行ったね。毎回誘ってくるのは君の方で、でも外れと思う時は一度もなくて。いつも練ってくれてたの?本当に、それくらい楽しかったよ。あそこも楽しかったし、あそこで食べたものも美味しかったな。その小さい口で、世界で一番美味しいものを食べているみたいな表情をしてさ。その時の君を思い出すと笑顔になれるよ。ありがとうね。
君はよく、僕に抱きついてきたね。人目も気にせず、僕の方が恥ずかしいくらいだったよ。その度に花が咲くように笑って、小柄で華奢な君が走って来ても受け止めることができたよ。どうしてか、僕がそれに安心感があったんだ。
僕は、君に恩返しをしたいんだ。でも、僕は何をしたら良いか分からない。────それで良いの?分かったよ。強く?強く、うん。
どれほど強くだろうか。彼女はとてもか細く、腕は茎のようでポッキリ折れてしまいそうな儚さがあった。抱き締めたい。それくらいに。そのまま眠って、一緒の夢を見たい。




