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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<前編>~女神の願い~
8/17

ーー最終章 「ひとの名前」ーー

------

……そして聖域にて、


女神とひとは、彼女と……陰の女神と向き合う



……その時、その瞬間を待っていたかのように……


眠り続けていた、彼女の目が開かれ……最後の戦いが始まるーー

                           ------


ひと「……この方が、女神さまの片割れ……


   ……陰の女神さま……」



女神「……そうです


   彼女がーー」



女神「ーー…………っ!


   ……目覚め、ました……!」



ひと「…………!」



ひと「……っ!?


   ……私を……見てる……?」



女神「……!


   ……やはり……この子に……


   ……反応、するのですね……」



ひと「……!


   ……私に……?」



女神「……彼女に、心はありません


   ……彼女の内にあるのは、溜め込んだ人間たちの想い……


   …………


   ……消えたくない……という、想いだけ……」



女神「……おそらく、彼女は……


   あなたを……待っていたのです」



ひと「っ……!


   ……私、を……」



女神「……彼女の想いは、人間たちのもの……



   そして、私が見てきた人間……いえ、人という存在は……」



女神「…………


   ……自身と同じ存在……『ひと』に、自身の想いを……


   受け止めて欲しいと、願っていました」



ひと「…………っ!


   ……同じ、『ひと』……に……!」



女神「……だから、待っていたのです……


   この天使と悪魔の世界で、唯一存在する『ひと』を……」



女神「……あなたを」



ひと「……っ……


   …………」



ひと「……本当に、私しか……


   私しか、いないのですね……」



ひと「……私しか、出来ない……のですね……」



女神「…………っ」



女神「……はい


   ……だからこそ、あなたは……


   ……っ……


   私の……私たちの、希望……なのです」



ひと「…………っ!


   ……っ


   ……分かり、ました……」



ひと「…………


   なら、やっぱり……私のやることは……


   ……やりたいことは、変わらないーー」



ひと「ーーいきますっ……!」



女神「……っ


   ……お願い、します」




------

そして、陰の女神との戦いの後ーー

              ------


  ひと「……陰の女神さま……


     ……私の中に、来てくださいっ……!」



  ひと「…………っ」



  ひと「…………」



  ひと「…………!


     ……これ、でっ……


     すべて……吸収できっ……!?」



*******


陰の女神「………………


     ………………」



  ひと「……ここ、は……」



陰の女神「……た……ない……」



  ひと「……?


     ……なに、か……」



陰の女神「……きえ……たく……ない……」



  ひと「……なにか……


     ……聞こ、える……?」



陰の女神「……きえ、たくない………


     ……きえたくない……消えたくない……」



  ひと「……!


     ……これは……陰の女神さまの、内にあるもの……」



  ひと「……人の、想い……!」



陰の女神「消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない


     消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない


     消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない」



  ひと「っ……!?


     …………っ…………!」



  ひと「……心……私の、心が……


     ……押し、つぶされるっ……」



  ひと「……っ……


     ……無くなってっ……しまう……」



陰の女神「………………消えたくない………………


     ………………………………………………


     …………独りは……寂しいよ…………」



  ひと「…………!」



陰の女神「………………………………………………


     ……誰かに……知っていて……ほしい……


     ………………………………………………


     ……私が……僕が……君が……あなたが……


     …………ここに……いたことを…………」



  ひと「…………っ!?」



陰の女神「………………………………………………


     ……残したい…………この……世界に……


     誰かと……笑いあった……あの日々を……」



  ひと「………………っ!


     …………っ…………


     …………まっ…………て…………」


                                *******




------

そして、陰の女神の想いに触れた後、


物語は終わり、そして始まるーー

               ------


      ……めを……て……



   ひと「…………」



      ……めを……さ……て……



   ひと「…………?」



      ……めを……さまして……



   ひと「…………っ!」



   ひと「……ここ……は……?」



   悪魔「……!


      ……良かった……


      目を、覚ましてくれた……」



   ひと「……っ!?


      ……おかあ……さんっ……?」



   女神「もう、大丈夫ですよ」



   ひと「…………っ!


      ……めがみ……さま……」



   ひと「……っ


      ……おかあ、さん……よか、った……!」



   悪魔「……うん」



   ひと「…………?


      …………


      ……ここ……は……?」



   女神「……ここは、あなたの心の中です」



   ひと「……?

   

      ……わたし、の……こころ……?」



   女神「……そうです


      でも、今はそれよりも……ありがとう」



   ひと「…………?」



   女神「……あなたは、世界の崩壊を防いでくれました


      本当にありがとう……セレネ」



  セレネ「っ……!


      ……よか……った……


      …………?


      ……セ……レ……ネ……?」



   悪魔「あなたの名前、よ


      ……前から、女神様と考えていたの」



   悪魔「……全てが終わったら……


      あなたに、あげたいと思って」



  セレネ「…………!」



   女神「……新しい世界では、必要になるでしょうから」

   


   女神「……セレネ……


      ……暗い闇の中でも、輝く光であるように……


      ……そんな想いを込めています」



  セレネ「……セレ……ネ……


      ……セレネ……


      闇でも……輝く……光……」



  セレネ「…………っ


      ……わたし、の……なまえっ……!」



   女神「…………


      ……これで、あなたにしてあげられることは……


      全て、やり遂げることができました」



  セレネ「…………っ!?」



   女神「……私も、あなたの中に吸収された、


      彼女を……陰の女神を……」


      

   女神「……悪魔さんの支えによって、


      あなたから……受け取ることで混ざり合い、


      一柱の女神に戻ることができた……」



  セレネ「…………!」



   女神「……あなたがいて、あなたと繋がりのある、


      悪魔さんと天使の彼がいた……みなさんの、おかげです」



   女神「……本当にありがとう」


   

  セレネ「…………っ!」



   女神「…………

    

      あとは……あなたと私を分けた後に、


      私自身を封印することで……この物語は終わりです」



  セレネ「っ…………!?


      ……っ……?


      ……な……んで……?」



   悪魔「……これは、最初から決まっていた結末……


      ……女神様と私の約束、なのよ」



  セレネ「……!?


      ……やく……そ……く……?」



   悪魔「……そうよ


      ……あなたの命を繋ぐ……


      そのために新しい世界へ、あなたを送り出す」



   悪魔「…………

 

      ……私たちがどうなっても……


      ……あなたを、守る……そんな約束……」



  セレネ「…………っ!」



   悪魔「……大きくなりすぎた想いは、


      いつ暴走するか分からない……」


      

   悪魔「……もう、女神様が……


      分かたれることの、ないように……封印するしかないの」



   女神「……その封印も、完全ではありません


      ……彼女の内にあった、想いは……


      陰の女神の想いは……私の中でも、消えることはない」



  セレネ「……っ……!


      ……そん、な……」



   女神「……そして、女神が一柱に戻ったことで……


      この世界から……天使と悪魔が消え、また『ひと』が生まれます」



  セレネ「…………!


      ……ひと……が……!」



   女神「…………


      ……しかし、封印が完全でない以上、


      以前とは異なる存在に、なるかもしれません……


      ……あなたが、そうであったように……」



  セレネ「…………っ!」



   女神「……新しい世界では……


      何が起こるのか、分からないのです」



   女神「……だから、あなたには……生きていてほしい


      ……新しい世界を、見守りながら……」



  セレネ「…………っ


      ……おかあ……さん……と……


      ……めがみ……さま……はっ……?」



   悪魔「……っ……


      ……私と女神様は、聖域に残らなくてはならないの……」



   悪魔「…………


      ……女神様は、自身を封印するために……


      ……私は、女神様の封印を支えるために……」



  セレネ「……っ……!


      …………っ」



   悪魔「……だから、あなたと一緒には……いけないの


      ……本当にごめんね」



  セレネ「…………っ!」



   悪魔「……でも、あなたは一人ではないわ」



   悪魔「…………


      あなたの中には……私と天使様、女神様……


      三つの存在の、力と想いが……受け継がれているのだから」



  セレネ「……や……だっ……」



   女神「……セレネ……


      ……あなたは、絶望の中にいた私たちに……


      ……希望を与えてくれた、光なのですーー」



   女神「ーーあなたがいたから……


      私は……絶望の底から、立ち上がることができた」



   女神「あなたがいたから……


      このまま世界を、終わらせては……


      ……崩壊させてはいけないと、思えたーー」



   悪魔「ーーあなたがいたから……


      私は……絶望の中で、心を失わずにいられた」



   悪魔「あなたがいたから……


      この世界を……まだ生きようと思えたーー」



女神と悪魔「ーーあなたには、色々なものを見てほしいから……


      ……様々なことを、体験してほしいから……」



女神と悪魔「…………っ


      ……これは私たちの我儘……


      ……だからこそ、貫き通します……

  

      ……本当にごめんなさい……」



  セレネ「……や……だよっ……」



   女神「……セレネ……」



  セレネ「……めがみ……さまっ……」



   悪魔「……私たちの愛しい、セレネ……」



  セレネ「……おかあ……さんっ……」



女神と悪魔「あなたは生きてっ……新しい世界でっ……」



  セレネ「……まっ……てっ……」



      ……まって……よっっーー

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