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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<前編>~女神の願い~
5/31

ーー第5章 「想いの暴走」ーー

------

……そして、最も強い悪魔との戦いの後ーー

                  ------

           

ひと「……いま、楽にしてあげるからね」



ひと「……!」



ひと「……っ……!?


   ……消え……ない……?」


   

ひと「……力を、吸収したのに……どうして……?」



悪魔「……っ!?


   離れてっっ!」




------

……吸収しようとする際に、


聞いたことのある声が……響いた



……しかし……


これまでとは、違っていた




……響いた……いや、轟いた叫び声は……


いままでより、ハッキリと……世界を震わせた



……世界のすべてを、存在から揺るがすような……


小さくとも、確かな叫び声だったーー

                     ------


悪魔「…………っ


   ……また……こう、なるのね……」



ひと「……!


   ……あれはーー」



天使「ーー想いの、暴走だ……」



ひと「……!?


   …………想い…………?」



ひと「……心を、失っているのに……?」



天使「……たとえ、心を失っても……


   命を……己の存在を、得た以上……」



天使「……逃れられない想いが……あるんだ」



天使「…………


   ……消えたくない……という、想いが……」



ひと「……!


   ……消えたく、ない……」



ひと「……その想いが、暴走……してる……?」



悪魔「…………

   

   ……以前にも、あったのよ……」



悪魔「…………っ


   ……追い詰められた、悪魔がっ……」



悪魔「……同じように、暴走したことが……ね」



ひと「…………!


   ……前にも……?」



悪魔「……前に……


   天使さんが、言っていたでしょう」



悪魔「……今の、天使と悪魔の姿は……


   その時の、暴走のせい……なの」



ひと「…………!」



ひと「…………


   …………あの、荒野で…………」



ひと「……初めて……あの存在たちに、出会ったとき……」



悪魔「…………そうよ」



悪魔「……あの時、天使さんは言っていたの……


   元々は……私たちに近い姿をしていた、って……」



ひと「…………っ!


   ……天使さんとお母さんとは、違う……」



ひと「……大きくて怖い……のに……


   私に似てない……姿、なのに……」



ひと「…………元々……は…………」



天使「……そうだよ」



天使「…………


   ……私たちの姿は、君に似ている……」



天使「……ただそれぞれ……


   背中に黄色い翼と、黒い翼が……あるだけだ」



悪魔「……私たちが、この姿でいられたのは……


   想いの暴走を経ても、この姿でいられるのは……」



悪魔「…………


   ……あなたのおかげ、なのよ」



ひと「…………!


   …………私の…………?」



ひと「……どういうーー」




------

……ひとが問いかけようとした時……


悪魔の叫びが、動きが……止まった……



……その直後、ひとが苦しみ始めるーー

                ------


ひと「ーーっ……!?

   

   ……うぅ……なに……?」



ひと「…………これ、は…………」



天使「……っ!


   ……この子の力が、急激に増しているっ……!」


   

天使「……吸収した力も、暴走しているのかっ……!?」



悪魔「……っ!?


   ……天使……さん……?」



悪魔「……この子は……


   この子なら……大丈夫、ですよね……?」



天使「…………っ


   ……この状態が続けば……」



天使「……この子の心は……


   強い想いに、飲み込まれてしまう……かも、しれない……」



悪魔「……っ!


   ……そん、な……」



天使「……っ


   ……そして……かつての君や、彼のように……」



天使「……この子も……暴走して、心を……」



悪魔「…………っ!


   ……だめっ……」



悪魔「……この子は……私が……


   ……何か……何か、ないの……?」



悪魔「…………!」



悪魔「……………………」



悪魔「…………


   …………ふぅ…………」



天使「……っ……!」



悪魔「…………っ


   ……天使さん、大丈夫です……」



悪魔「……私が、この子を支えます」



天使「……っ!


   ……君が……?」



悪魔「……はい、私が……支えます……!」



悪魔「…………


   …………この子と、私…………」



悪魔「……そして、天使さんは……繋がっている」



天使「……!


   …………それは…………」



悪魔「……だからこそ……


   この子みたいに、吸収の力がなくても……」



悪魔「……私たちの間でなら、力の受け渡しができるーー」



悪魔「ーーそう……


   ……でしたよね」



天使「……っ……! 


   ……まさ、か……」



悪魔「……はい」



悪魔「……この子が安定するまで……」



悪魔「…………私が…………」



悪魔「……私が、暴走している力の一部を……受け取ります」



天使「……っ


   ……でも、それでは君が……」



悪魔「……そう……ですね」



悪魔「……一部とはいえ……


   暴走している力を取り込めば、私も……」



悪魔「……でも、この子が……


   心を失わずに、いられるのなら……」



悪魔「……私のことは……いいんです」



悪魔「…………


   ……あの……約束をした時から、覚悟はしていますから」



天使「……!


   ……君は……あの約束を……」



天使「…………っ


   ……もう、覚悟しているんだね……」



悪魔「…………はい


   ……あの、約束が……」



悪魔「…………


   ……この子の未来を、繋ぐことだけが……」



悪魔「……私の生きる、理由ですから」



天使「…………っ」



悪魔「……それに、陰の力は……


   今の天使さんでは……受け取れない、ですよね」



天使「……っ!


   …………そう、だね」



天使「……今の私では……できない」



悪魔「……だから、今……


   この子を救えるのは……」



悪魔「……悪魔である私しか、いないんです」



悪魔「……迷っている暇もありません


   あの暴走している悪魔が……もう一度動き出す前に……」



天使「…………っ


   ……わかって……る……」



悪魔「……今は……


   この子に吸収された力を、回復するために……」



悪魔「……一瞬の眠りについているだけ、です」



天使「……っ


   ……わかって、いるんだ……」



悪魔「……天使さん、この子のためにも……」



悪魔「……私たちの光である、この子の未来を繋ぐためにも……」



悪魔「…………


   ……任せて、ください」



天使「…………!


   …………っ…………」



悪魔「……ふふっ……


   ……私は、大丈夫ですよ~」



悪魔「……天使さん、


   二人で……約束したではないですか」



悪魔「…………


   ……何があっても、この子を守ると」



天使「……!


   ……それ……は……」



天使「……っ……」



悪魔「……それに……


   何があろうと、私たちの結末は……変わりません」



悪魔「……その時まで、私が……


   ……私を保っていれば、いいだけですから」



天使「……っ……!


   ……そう……だったね……」



天使「…………っ


   ……任せる……」



悪魔「……はい、任されました~」




------

……そして……


悪魔が、ひとの力の一部を……受け取った後ーー

                    ------


ひと「……!


   ……ぅ……?」



ひと「……あ……れ……?


   ……苦しく……ない……?」



天使「……!


   ……大丈夫かい?」



ひと「…………!」



ひと「……はい……!


   苦しく、なくなりました……!」



ひと「……!? 


   ……なにか……強い力も、感じます!」



悪魔「……よか……った……」



悪魔「…………


   …………ふぅ…………」



ひと「……?


   ……お母さん……?」



悪魔「……それはね、


   暴走した悪魔の力……なのよ」



悪魔「……長くは使えないけど……


   あれを止めるために、役に立つわ」



ひと「……暴走……?


   あれを、止める……?」



ひと「……!」



ひと「…………っ


   ……そうだ……終わらせて、あげないと」



天使「……今は、まだ……眠っている」


   

天使「……けれど、力が回復しているから……


   もうすぐ……目を、覚ますだろう」



天使「……目を覚ましたら……


   器が動けなくなるまで……止まることはない」



ひと「……っ


   ……そんな……」



天使「……君の新しい力なら……


   暴走した悪魔にも、対抗できるはずだよ」



天使「……だから、終わらせてあげてくれ」



ひと「……!


   ……でも……」



ひと「…………っ


   ……この力を使っても、大丈夫でしょうか……?」



ひと「……さっき感じた、力に飲み込まれる……」



ひと「……あの感覚が、怖くて……」



天使「…………っ」



ひと「……それに……なんだか……


   ……お母さんの様子も、おかしいような感じが……」



ひと「……苦しそう、というかーー」



悪魔「ーー大丈夫よ」



悪魔「……私が、あなたを支えるから……」



悪魔「…………何があっても」



ひと「……っ……!」



悪魔「…………それに…………」



悪魔「…………


   ……私たちの場所を、守って……くれるんでしょう……?」



ひと「…………!


   ……守る……私が……」



悪魔「……そのためには、進むしかないのよ」



悪魔「……だから、ね……


   安心して、力を使いなさい」



ひと「……っ!


   …………」



ひと「……うんっ……!」



ひと「…………っ


   ……私が……私が、守るんだっ……!」



ひと「……天使さんとお母さんと私……


   ……私たちが生きる場所を、守るんだっっ!」



悪魔「……うんっ……」



悪魔「……あなたなら……きっと……


   きっと、できるよっ……」



天使「…………っ」



悪魔「(…………


    ……ずるい言い方をして、ごめんね……)」

    


悪魔「(……どれだけ恨まれようとも……)」



悪魔「(……私は、あなたに生きてほしいの


    あなたの存在自体が……私にとっては希望だから)」



悪魔「(…………


    ……これは、私の我儘……)」



悪魔「(…………だから…………


    だからね、最後の時まで……貫き通すよ)」




------

……そして……


最も強い、暴走した悪魔との戦いの後ーー

                 ------


ひと「……今度こそ、楽にしてあげる」



ひと「……!」



*******


……暗闇に落ちていく

……消えていく、私の心が……



暗闇の中、光を……見つけました


……縋るように瞼を開けると、

そこにはーー天使様が、いたのです




……私は出会いました

あの……悪魔が、想いを暴走させた戦いで……



……私と天使様は、

求めあい、混じり合い、あなたを授かったーー


ーー私たちの愛しい希望を



……それは……

奇跡だった、と……後から、教えていただきました




……非力だったために、暴走しても……

すぐには、力に飲み込まれなかった悪魔



……いつ終わるとも知れない、戦いの中で傷つき、

消える間近に安らぎを……自分の幸せを求め……


……心を取り戻した天使



……その天使と悪魔が、出会ったこと……



……そして、この終わりゆく世界で……

光と闇が交わり、新しい命が生まれたこと……



……数多の偶然が重なり、奇跡が起きたーー




ーー私は、決意しました


この奇跡を……あなたを守るとーー


                    *******



ひと「…………


   ……思い……出した……」



ひと「…………あの、戦いを…………」



ひと「……お母……さん……」



ひと「……っ……


   ……天使、様は……ううん、お父さんはっ……!」



ひと「…………っ


   ……消えて、しまったの……?」



悪魔「……!


   …………」



悪魔「……大丈夫


   ……消えてないよ」



悪魔「……今でも、あなたのことを……」



悪魔「…………


   ……ちゃんと、見守ってくれているわ」



ひと「……っ!


   ……でもっ……」



ひと「……でも、一度もっ……会えて、ないっーー」

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