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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<後編>~ひとの答え~
26/31

ーー第18章 「向き合う心」ーー

------

……その後、三人は……


いつも通りの日常を過ごしていく



……魔物が暴走し、クロハが祈り……


祈りは届かず、シーアがクロハを受け止め……


……セレネは姉妹を見守る



……そんな日常を過ごしていく……




……その日々の中で、セレネは……安心していた


シーアとクロハ、二人とも……出会った頃より、笑顔が増えたから……



……しかし、その安心を感じるたびに……


セレネの中では、ある感情が強くなっていった



……期待、という……感情が……




……今の彼女たちなら……


自分の過去を……今、私が望んでいることを……



……望む、心を……


受け止めて……くれるんじゃ、ないか……という期待が……




……ずっと話したかった……


……話す覚悟もした……でも、タイミングは大事……



……そんな考えを堂々巡りさせ、セレネは日々を過ごしていく



……そして、ある日……


その期待する心は溢れ出し、セレネは姉妹にお願いをするーー

                              ------


セレネ「…………」



セレネ「…………


    ……シーア、クロハ」



シーア「……?


    ……セレネさん……?」



クロハ「……?」



クロハ「……どうしたの?


    セレネお姉さん?」



セレネ「…………


    ……いきなり、ですが……」



セレネ「……っ……」



シーア「……!


    ……セレネ、さん……?」



セレネ「……っ」



セレネ「…………ふぅ…………」



セレネ「…………


    ……二人に、話したいことが……あります」



シーア「…………!」



クロハ「…………?


    ……お話……?」



セレネ「……はい」



セレネ「…………


    ……二人には、私のことを……知ってほしいんです」



クロハ「……!


    ……セレネ、お姉さんの……!」



シーア「…………っ!」



セレネ「……………………」



セレネ「…………聴いて、くれますか…………?」



シーア「…………」



クロハ「……うんっ!


    ……セレネお姉さんのことなら、知りたいっ!」



クロハ「……そうだよねっ、お姉ちゃんっ!」



シーア「…………っ」



クロハ「……?


    ……お姉、ちゃん……?」



シーア「……っ!」



シーア「…………っ


    ……うんっ……そう、だね」



セレネ「…………シーア」



クロハ「……おねえ、ちゃん……?」



シーア「……大丈夫」



シーア「…………


    ……クロハがいるからっ……!」



クロハ「……!


    ……うんっ!」



セレネ「……シーア……」



シーア「……ごめんなさい」



シーア「…………


    ……改めて……聴かせてください」



シーア「……セレネさんの、お話をっ」



クロハ「……うんっ!


    聴かせてよっ、セレネお姉さんのお話っ!」



セレネ「…………っ!」



セレネ「…………


    ……二人とも……ありがとうっ」




------

……そして、セレネの告白が始まったーー

                 ------


セレネ「…………」



セレネ「……まず……」



セレネ「……初めに……


    私は、普通の人間ではありません」



クロハ「……うん」



クロハ「…………


    ……私たちと……同じ、だよね」



セレネ「…………いいえ」



クロハ「……!」



セレネ「…………


    ……あなたたちには、無い力が……あるんです」



シーア「…………」



クロハ「……力……?」



シーア「…………


    ……吸収の、力……」



セレネ「…………そうです」



クロハ「…………?


    ……吸、収……?」



セレネ「…………


    ……その力は、魔物の暴走を止めることが……できる」



クロハ「……っ!」



シーア「…………っ」



セレネ「……この力を使って、私は……」



セレネ「……魔物の暴走を……止めていたんです」



クロハ「……っ!?」



シーア「…………


    ……私も……救われた……」



クロハ「…………っ!


    ……お姉、ちゃんも……!」



クロハ「…………」



クロハ「…………っ…………」



シーア「……クロハ……?」



クロハ「…………


    ……でも、私は……」



クロハ「……セレネお姉さんが……


    暴走を止めるとこ……見たこと、ないっ……よっ?」



シーア「……!


    ……それ、は……」



セレネ「…………っ」



クロハ「…………


    ……セレネお姉さん」



セレネ「……クロハ……」



クロハ「…………聞こえてるん、だよね…………?」



セレネ「……っ……」



クロハ「…………


    ……魔物の声がっ、聞こえてるん……だよねっ……?」



セレネ「…………


    …………はい」



クロハ「……っ!」



クロハ「……っ……


    …………なんでっ…………」



シーア「……クロハ……」



クロハ「……あの、声がっ……」



クロハ「……あの寂しそうなっ、声がっ……」



クロハ「……聞こえてる、のにっ……」



シーア「…………っ


    ……クロハ……」



セレネ「…………」



クロハ「……っ


    ……なんでっ、何も……しないのっっ……!」



セレネ「…………っ…………」



シーア「……クロハっっ……!!」



クロハ「……!


    ……おねえ、ちゃんっ……」



シーア「…………っ


    ……クロハっ……」



シーア「…………


    ……きっと……セレネさんにも、事情が……」



シーア「……出来ない理由が、あるの」



クロハ「…………っ!」



セレネ「……っ!


    …………シーア…………」



シーア「……だから……」



シーア「…………


    ……まずは、話を……聴きましょうっ」



クロハ「……っ!」



シーア「……ね、クロハ」



クロハ「…………」



シーア「……クロハ」



クロハ「……っ


    …………うん」



セレネ「…………っ」



シーア「……セレネ、さん」



シーア「…………


    ……続きを……聴かせて、ください」



セレネ「……っ……!」



セレネ「……ありがとう、シーアっ」



セレネ「…………


    ……ごめん、ねっ……クロハ……」



クロハ「……っ」




------

……そして、セレネは……


力を使わない理由を話し始めるーー

              ------


セレネ「…………」



セレネ「……私が、力を使わない理由……」



セレネ「…………


    …………それ、はっ…………」



セレネ「…………っ…………」



シーア「…………!


    ……セレネさんっ……」



シーア「…………」



シーア「……大丈夫、です」



セレネ「…………っ!」



クロハ「……!


    ……おねえ、ちゃん……」



シーア「…………」



シーア「……今度は、私が……」


    

シーア「……私がっ……聴く番、ですからっ……!」



セレネ「……っ!」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「…………あり、がとうっ」



シーア「……はいっ」



セレネ「……っ……」



セレネ「……………………」



セレネ「…………


    ……私が、力を使わない理由は……」



セレネ「…………私、が…………」



セレネ「…………っ


    ……私がっ、世界を灰色に……変えた、からっ……」



クロハ「…………っ!」



シーア「……っ!


    ……セレネ……さん、がっ……?」



セレネ「…………っ」



セレネ「…………


    …………はい」



クロハ「…………


    ……どう、やってっ……?」



セレネ「……理由は……


    私にも……わかりません」



シーア「……っ!」



セレネ「…………


    ……でも……」



セレネ「……私が、灰色に……変えたんですっ……」



シーア「……っ


    ……どうしてっ……そんなっ……」



クロハ「……!」



シーア「……理由も、わからないのにっ……」



クロハ「……お姉、ちゃん……」



シーア「…………決めつけるん、ですかっ…………」



セレネ「……っ……」



セレネ「……理由は……分からなくてもっ……」



セレネ「……私の、せいっ……なんですっ」



シーア「……っ!


    …………どう、してっ…………」



セレネ「……っ


    ……私が……」



セレネ「……私が、叫んだ瞬間にっ……」



セレネ「……世界はっ……変わった、からっ……」



シーア「……っ……?」



クロハ「……叫、び……?」




------

……そして、セレネの話は……


世界が変わる前へと……遡るーー

             ------


セレネ「……………………」



セレネ「…………


    ……世界が……灰色に、包まれる前……」



セレネ「……私は……」



セレネ「……魔物の暴走を、止め続けていました……」



セレネ「……吸収の力を……使って……」



シーア「…………!」



クロハ「……っ!


    ……セレネ、お姉さん……がっ……」



セレネ「…………はい」



セレネ「…………


    …………だから…………」



セレネ「……人間は……魔物に、襲われなかった」



クロハ「…………っ!」



シーア「……っ!


    ……それって……」



セレネ「…………


    ……でも……そんな私に……」



セレネ「……ある、変化が……現れだした……」



シーア「……変、化……」



セレネ「……魔物の、声が……


    聞こえるように……なった……」



クロハ「……っ!


    ……声っ……!」



シーア「…………っ


    ……クロハと……同じっ……」



セレネ「…………そうです」



セレネ「…………


    ……その変化が、現れてからも……」



セレネ「……私は、吸収の力を……使い続けた」



セレネ「…………人を、守るために…………」



クロハ「…………!」



シーア「……っ


    ……守る、ためっ……」



セレネ「……………………」



セレネ「……そして……」



セレネ「…………


    ……私は、出会った……」



セレネ「……私の心を……叫ぶ、魔物に……」



クロハ「…………っ!


    …………心、を…………?」



シーア「……!


    ……前に……クロハの時に、言ってた……」



セレネ「…………


    ……その魔物と、出会ったとき……」



セレネ「…………私が、叫んだ……時…………」



セレネ「…………


    …………叫んだ、瞬間に…………」



セレネ「……世界は……灰色に、包まれたのです」



シーア「……っ……!


    ……それ、は……」



クロハ「…………っ」



セレネ「……私は……」



セレネ「……魔物の暴走を、止めるたびに……」



セレネ「…………


    ……吸収の力を、使う……たびにっ……」



セレネ「……明確にっ、変わってっ……いった……」



セレネ「…………


    ……普通の人間では……なくなって、いた……」



シーア「……っ」



クロハ「…………」



セレネ「…………そして…………」



セレネ「…………


    ……私の叫びの瞬間……世界が、変わった……」



セレネ「……………………」



シーア「……っ……


    ……セレネ、さんっ……」



クロハ「…………っ…………」



セレネ「…………


    …………私が…………」



セレネ「……私が、世界を……変えたんです」



シーア「…………っ


    ……セレネ……さんっ……」



セレネ「…………」



セレネ「……そして……」



セレネ「…………


    …………私、は…………」



セレネ「……世界を変えてしまう、恐怖から……」



セレネ「……私が、変わってしまう……恐怖から……」



クロハ「……っ……!


    ……変わるっ、怖さっ……」


    

セレネ「…………力を、使わなく……なった…………」




------

……セレネの告白を聴いた、姉妹はーー

                ------


セレネ「…………っ…………」



セレネ「…………ごめん、なさいっ…………」



クロハ「…………っ!」



シーア「……っ


    ……なん、で……」



シーア「……セレネ、さんが……」



シーア「……謝るの……ですかっ……」



セレネ「…………っ!」



クロハ「…………っ


    ……そう、だよっ……」



クロハ「……っ……


    ……謝らなきゃ、なのはっ……」



クロハ「……私っ、だよっ……」



セレネ「…………!」



クロハ「…………


    ……セレネ、お姉さんの……ことっ……」



クロハ「…………何もっ、知らないのにっ…………」



クロハ「……っ


    ……力を、使わないからっ……てっ……」



クロハ「……セレネ、お姉さんにっ……」



クロハ「…………怒っちゃったっ…………」



シーア「…………


    ……クロハ……」



クロハ「…………っ」



クロハ「……自分が、変わってっ……」



クロハ「……知らない、自分と……


    向き合わなきゃ……いけない、ことがっ……」



セレネ「…………」



クロハ「……どれだけっ……怖いか、なんてっ……」



クロハ「…………っ…………」



クロハ「…………私はっ、知ってるっ……のにっ…………」



クロハ「……お姉、ちゃんに……


    怒ってる……怖い、私と……向き合った、のに……」



セレネ「…………クロハっ」



クロハ「……っ


    ……ごめん、なさいっっ」



セレネ「…………っ!」



シーア「……クロハ……」



クロハ「…………っ


    ……セレネっ……お姉さんのっ……」



クロハ「……気持ちをっ……考えれなく、てっ……」



クロハ「…………傷つけてっ、ごめんなさいっっ」



セレネ「……っ」



セレネ「……クロハっ……


    どうかっ……顔をあげてっ」



クロハ「……っ


    ……でもっ……」



セレネ「…………っ


    ……謝らなきゃいけないのは……私っ、なんだからっ……」



シーア「……っ!」



クロハ「…………っ!


    ……どう、してっ……」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「……私が、世界をっ……変えたからっ……」



クロハ「……っ!」



セレネ「……私がっ……人を、守らなくなったっ……からっ……」



シーア「…………っ!」



セレネ「…………だからっ…………」



セレネ「……あなたたち、はっ……


    今まで……苦しんでっ、きたんですっ……」



セレネ「……っ……


    ……私、がっ……」



セレネ「……あなたたちをっ……


    苦しめてっ、きたん……だからっ……」




------

……セレネは、抱え続けた自身の罪を懺悔した……


その罪を……自責の念を、知った……姉妹の想いはーー

                       -----


シーア「…………


    ……セレネ、さんっ……」



クロハ「…………


    ……セレネ、お姉さんっ……」



セレネ「……っ


    ……シーアっ……クロ、ハっ……」



セレネ「…………私、はっ…………」



シーア「……っ


    ……セレネさんっっ!」



セレネ「……っ!」



シーア「……私はっ、あなたと出会えて……よかったっっ!」



セレネ「…………っ!」



クロハ「……っ……!


    ……お姉、ちゃんっ……!」



クロハ「……そうだよっっ!」



クロハ「……セレネお姉さんがっ、いたからっっ……!」



クロハ「……お姉ちゃんとっ、私はっ……」



クロハ「……私たちはっっ……


    一緒に、生きてっ……いけるんだっっ!」



セレネ「……っ……!」



シーア「……っ!


    ……クロハのっ、言う通りっ……ですっ!」



シーア「……あなたがっ、世界を変えたからっっ……」



シーア「……あなたがっ……


    人をっ、守らなくっ……なった、からっっ……」



シーア「…………っっ」



セレネ「……っ!


    ……シーアっ……」



クロハ「……お姉、ちゃんっ……!」



クロハ「…………っ!


    ……セレネ、お姉さんがっ……」



シーア「……!


    ……クロハっ……!」



クロハ「……セレネお姉さんがっ……


    この場所に……連れてきてくれた、からっ……!」



クロハ「……セレネお姉さんがっ……


    お姉ちゃんをっ……支えてくれたからっ……!」



クロハ「……私、はっっ……」



セレネ「…………クロハっ…………」



クロハ「……っ!


    ……私、はっ……!」



シーア「…………っ!


    …………私たち、はっっ…………!」



シーア「……今ここに、いるんですっっ!!」



クロハ「……今ここに……いるんだっっ!!」



セレネ「…………っ…………!」




------

……そして……


シーアの光が……誰かを想える心が……


クロハの闇が……純粋で無垢な心が……



……暖かな、光と闇が……セレネを包み込むーー

                    ------


シーア「……だからっ……」



シーア「……どうか……


    あなたの過去を……無かったことに、しないでっ……」



クロハ「……!


    ……そうだよっ……セレネお姉さんっっ!」



セレネ「…………っ!」



シーア「…………


    ……過去のあなたがっ、あるからっっ……」



シーア「……今の私がっ……いるっっ!」



セレネ「…………!」



シーア「……今のあなたがっ……いてくれたからっっ……」



シーア「…………


    ……今ここに……私たちがっ、あるんですっっ!」



セレネ「…………っ」



クロハ「……っ!


    ……お姉ちゃんっっ!」



クロハ「……うんっ!


    そう、だよっっ!」



クロハ「……セレネお姉さんがっ、いてくれたからっ……」



クロハ「……お姉ちゃんはっ……

  

    私をっ……ちゃんと、見てくれるっっ!」



クロハ「…………離れ離れに、なってないんだよっっ…………!」



セレネ「……っ!」



シーア「……そう、ですっっ!」



シーア「……もうっ、私たちはっっ……」



シーア「……ちゃんとっ……向き合えるからっっ!」



クロハ「…………うんっっ!」



セレネ「…………っ…………!」



セレネ「…………っ


    ……シーアっ……クロ、ハっ……!」



セレネ「……………………っ」



セレネ「…………あり、がとうっっ…………!!」



シーア「……!


    ……セレネさんっ……!」



クロハ「……セレネお姉さんっ……!」



セレネ「…………っ!」



セレネ「……………………」    



セレネ「…………向き合う、か…………」



シーア「…………?


    ……セレネ、さん……?」



セレネ「…………


    ……今の……私なら……」



セレネ「……二人の……


    想いを、もらった……私、なら……」



クロハ「……?


    ……セレネ、お姉さん……?」



セレネ「……っ……」



セレネ「……本当にっ、ありがとうっ……!」



セレネ「…………


    ……二人のおかげで、やっと……」



セレネ「……やっと……向き合えそう、なんだーー」

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