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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<後編>~ひとの答え~
24/31

ーー第16章 「悪魔は叫び訴える」ーー

------

……こうして、セレネとシーア……


二人の約束は……結ばれた



……その時……世界に轟く叫び声が、二人に届く


……想いの暴走の、叫び声が……



……そして、二人の瞳に映ったものは……


あの悪魔のような……魔物の、姿だったーー

                    ------


シーア「……っ!?」



シーア「……あの……魔物、はっ……」



シーア「……っ……」



セレネ「…………


    ……悪、魔っーー」



セレネ「ーー……っ!」



シーア「……っ!


    ……クロハっ……」



シーア「……行きましょうっ、セレネさんっ」



シーア「……はやくっ、クロハを探しにっ……」



セレネ「…………」



シーア「……?」



シーア「……セレネ、さん……?」



セレネ「…………


    ……声が……聞こえる……」



シーア「……?


    ……声……?」



シーア「……私には……何もーー」



セレネ「ーーっ!」



セレネ「……この声はっ……クロハの、声っ……!」



シーア「…………っ!」



セレネ「……シーア、行きましょうっ!


    ……こちらですっ!」



シーア「……っ!?


    セレネさんっ、待ってっーー」




------

……セレネには、聞こえていた



……クロハの声が、聞こえていた……


その、言葉が……その想いが……セレネに届くーー

                     ------


******


…………



…………私が…………


……私が……悪いの……?



……お姉ちゃんを……苦しめてたのは……



…………わたし…………?




…………お姉ちゃんが……苦しんでたのは…………


……いつも……苦しそうだったのは……分かってた……



…………でも……私には…………



…………なんでお姉ちゃんが…………


……苦しんでいるかは……分からなかった……




…………お姉ちゃんは…………


……何も話してくれなかったから……



…………私には…………


……何も教えてくれなかった……何回も聞いたのに……




…………だから…………


…………だから……私は…………



…………私にできることを…………



…………お姉ちゃんが…………


……どれだけ私の救いになっているかを……



……私の想いを……伝え続けたんだよ……




…………お姉ちゃんがいるから……私は…………


……つらいことや……悲しいことがあっても……耐えられる……



…………お姉ちゃんがいると……私は…………


……どんな時でも……何があっても……最後には笑顔になれる……



…………お姉ちゃんがいるから…………


……私は生きられるんだよ……



……私の光……なんだよ……って……伝え続けた……




…………私の想いが…………


……お姉ちゃんの苦しみを……少しでも……癒してあげられたら……



……癒してあげられるって……信じて……



…………信じて……たのに…………




…………私が……私の存在が…………


……お姉ちゃんを……苦しめてた……?



…………わたしが…………?




…………なん……で…………?



…………なんで…………


……言ってくれないの……お姉ちゃん……



……何回も聞いたのに……何回も……



……それを知ってたら……私は……



…………わたし……は…………




……わたしは……どうするの……?



……どうしたらいいの……?



…………お姉ちゃんは…………


……私が消えれば……苦しくなくなるの……?



……お姉ちゃんと……いられなくなるの……?




…………っ…………


………………やだっ………………


……消えるのは……嫌……だっ……



………………でもっ………………




……分かんない……



……わかんないよ……



……私はどうしたらいいの……?



……お姉ちゃんは……私にどうしてほしいの……?



……お姉ちゃんは……私のことをどう思ってるの……?



……お姉ちゃんにとって……わたしって……なに……?




……お姉ちゃん……おねえちゃんっ……


…………答えて……こたえてよっ…………



……おねえちゃんの気持ちを……想いを……


…………わたしに……おしえて……よっ…………



……なんでっ……おしえてくれないのっ……


…………おねえ……ちゃんっ…………




…………おねえちゃんっ…………


……くるしいよっ……わかんないよっ……



…………なんでっ……わたしをっ…………


……わたしをっ……くるしめるのっ……?


……わたしのことがっ……きらいなのっっ……?



…………わかんないっ…………


…………もうっ……なにもっ…………


…………なにもっ……わかんないよっ…………




…………こわいよっ……おねえちゃんっ…………


…………しらない……わたしがっ……いるっ…………


……おねえちゃんを……しんじれないっ……わたしがっ……




……これは……わたし……なの……?



……ほんとうに……わたし……?



……わたしは……あなたは……だれ……?


                        ******




------

……セレネは声が聞こえる先に向かう……


先を行くセレネを追う、シーア



……二人は辿り着く、声のもとへ……


……そこに、いたのはーー

                 ------    


セレネ「……っ


    ……悪、魔っ……!?」



シーア「……はぁ……はぁっ……」



シーア「……よう、やくっ……


    追いつき……ましたっ……」



セレネ「……シーア……」



シーア「……セレネ、さん……」



セレネ「……声が……


    クロハの声が……聞こえる……」



セレネ「……あの……魔物から……」



シーア「…………っ!?」



シーア「……………………」



シーア「…………


    ……セレネ……さん……」



シーア「……私には……


    聞こえない、です……」



セレネ「……っ!?」



シーア「……聞こえて……いないんです……」



シーア「……クロハの、声なんて……」



セレネ「…………っ!」



シーア「……聞こえるのは……


    あの魔物の……叫び声、だけ……」



セレネ「…………!?」



セレネ「……………………」



シーア「…………


    ……セレネ……さんっ……」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「…………


    ……そう……ですか……」



シーア「……!」



セレネ「……そう、なんですね……


    これは……魔物、の……」



セレネ「…………」



セレネ「……私と……クロハにだけ……」



セレネ「……聞こえている、声……想い……」




------

……セレネは異変を感じていた


クロハの声が、魔物から聞こえる……



……いつもの……


「消えたくない」ではなく、クロハの想いが……



……そして、セレネは気付く……


異変は、それだけでは……ないとーー

                    ------ 


セレネ「(…………!)」



セレネ「(…………


     ……どう、して……?)」



セレネ「(……なんで、悪魔は……動かないの……?)」



セレネ「(…………


     ……人間たちのいるところへ、向かわないの……?)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(……暴れる様子も……


     暴れた様子も……ない……)」



セレネ「(…………


     ……ただ、じっと……どこかを……)」



セレネ「(……何かを……見つめてる……?)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(……そして……)」



セレネ「(……クロハの、声で……


     クロハの心を……想いを、叫び……続けてる……)」



セレネ「(……わたしは、あなたは……だれ……?)」



セレネ「(…………


     ……そう、叫んでる……)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(…………


     ……わたし……あなた……)」



セレネ「(……心を叫ぶ……魔物……)」



セレネ「…………っ!」



セレネ「(……あの、魔物はっ……)」



セレネ「(……私の魔物と……同じっ……!?)」



セレネ「(…………っ


     ……人を襲うんじゃなく……ただ、叫んでるっ……!)」



セレネ「(……自分自身の、心をっ……)」



セレネ「(…………っ)」



セレネ「(……心の叫びをっ……


     無かったことに……するな……って……)」



セレネ「(……そう、訴える……ように……)」



セレネ「…………」



セレネ「……なら……」



セレネ「……それなら、クロハは……」




------

……考えるセレネ、それを待つシーア


そして、セレネが……言葉を紡ぐーー

               ------


シーア「…………


    ……セレネ、さん……」



セレネ「…………」



セレネ「……なら……」



シーア「…………!」



セレネ「……それなら、クロハは……」



セレネ「……クロハは、います」



シーア「……っ!」



セレネ「……あの魔物の傍に……いるはずです」



シーア「…………っ!」



シーア「……クロハが……魔物の傍にっ……


    あの子は……無事なんですかっ!?」



セレネ「……大丈夫です」



シーア「……!」



セレネ「……クロハは無事ですよ」



セレネ「……あの……魔物が、いますから」



シーア「…………っ?」



シーア「……あの……魔物、が……?」



シーア「……どういう、こと……ですかっ……?」



セレネ「…………


    ……あの魔物は……クロハの、心です」



シーア「…………っ!


    ……クロハの、心……?」



セレネ「……クロハの心を……


    想いを……叫んで、いるのです」



シーア「……っ!」



セレネ「……おそらく……


    クロハがいるから、あの魔物は存在している」



シーア「……っ


    ……なん、でっ……?」



セレネ「…………」



セレネ「……っ……


    …………私、にも…………」



セレネ「……私、も……似た経験を、しましたから」



シーア「…………!」



セレネ「……私の心を叫ぶ、魔物を……見たことが……」



シーア「……っ!


    ……セレネ、さん……も……」



シーア「…………っ…………」



シーア「…………


    ……あの子は……クロハは……」



シーア「……何を、叫んでいるん……ですか……?」


        

セレネ「……それ、はっ……」



セレネ「…………っ」



シーア「……?


    ……セレネ、さん……?」



セレネ「……っ……」



セレネ「…………


    ……それは……シーア……」



セレネ「……あなたへのーー」




------

……その時……


セレネの言葉を遮るように、悪魔に似た魔物が動く



……魔物の瞳が、二人を……いや、シーアを捉えた


……そして、魔物は動き出す……シーアに向かってーー

                       ------


セレネ「ーーっ!


    シーアっ……!」



セレネ「(……っ!)」



セレネ「(……なんでっ……


     シーアに向かってっ……)」



セレネ「(……!


     ……まさかっ……)」



セレネ「(……クロハの想いがっ、影響してっっ……!)」




------

……セレネが驚く中……


魔物が動いたことで、視界が開かれ……シーアは見つける



……動き出した魔物の陰で、うずくまっている……クロハをーー

                           ------


シーア「……っ!?


    あれはっ……!」



シーア「……クロハっ……!


    クロハっっ…………!」



セレネ「……シーアっ!


    だめっっ……!」



セレネ「……クロハはっ、あなたにーー」



セレネ「ーーあなたに怒りを、抱いてるっっ!」



シーア「……っ!?」



セレネ「……だから今はっ!


    今はっ、だめっっっ!」



シーア「……っ!


    ……でもっ……」



シーア「……それでも、私はっっ……!」



シーア「……クロハっっっ!」



クロハ「……ぅ……」



クロハ「…………っ!」



クロハ「……おねえ……ちゃん……?」



クロハ「……っ!?」



クロハ「……ゃ……だ……」



クロハ「……いやっ……だっ……」



クロハ「……きか……ないでっ……」



クロハ「……こな、いでっ……」



クロハ「…………いやぁっっっーー」

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