ーー第15章 「暗闇に灯る約束」ーー
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……シーアは、聞いて……しまった
……セレネと……
セレネの大切な方の、結末を……辿った、道を……
……自分と、クロハの……
辿り着くかもしれない、可能性の一つを
……シーアは揺れる
セレネの叫びによって……そして、彼女はーー
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シーア「……っ」
シーア「……セレネ……さんっ……」
セレネ「…………っ…………」
セレネ「…………
…………だからっ…………」
セレネ「……シーア、にも……」
セレネ「……あなた……にもっ……
クロハが、感じる幸せをっ……」
セレネ「……クロハ自身から……
聞いて、ほしいんですっ……」
シーア「…………っ!」
セレネ「……その、答えを……聞いてから……」
セレネ「……あなたの在り方を、決めても……」
セレネ「…………
……あなたの望む心を、どう受け止めるか……」
セレネ「……決めても、良いと……思うんですっ」
シーア「……っ!」
セレネ「……だってっ……」
セレネ「……だって、あなたの望んでいる……ことはっ……!」
セレネ「…………っ
……あなたにとっての、幸せはっ……!」
セレネ「……あなた、一人でっ……
手に入れられる、ものでは……ないからっっ」
シーア「…………っ!
……わたし、だけではっ……」
セレネ「……クロハが、いるからこそ……」
セレネ「…………
……大切な、相手が……いるからこそっ……」
セレネ「……あなたの幸せはっ……
掴めるものに、なるんですっ……!」
シーア「……っ
……クロハが、いるからっ……」
セレネ「……だからっ……」
セレネ「……大切な相手の、想いをっ……
願いをっ……そして、幸せをっっ……」
セレネ「……あなた、だけで……
決めないで……あげて、くださいっ……」
シーア「…………っ!」
セレネ「……クロハの感じることは……
クロハにしか……分からない、からっ……」
セレネ「……っ……
……大切な相手、ならっ……」
セレネ「……ちゃんと、向き合ってあげてほしい……と……」
セレネ「……私は、願って……いますっ……!」
シーア「…………っ…………!」
シーア「…………
……セレネ、さんっ……私はっ……」
シーア「……っ……」
セレネ「……シーア……」
セレネ「…………っ」
セレネ「…………」
セレネ「…………
……無理は、しなくて……いいんですよ」
シーア「……っ」
セレネ「……あなたの、ことは……
あなただけが……決められるの、ですから」
シーア「…………っ!
……わたし、だけがっ……」
セレネ「…………
……私、は……」
セレネ「……過去の、経験から……
私が感じていた……ことを……」
セレネ「……あなたに……伝えたいと、思った……」
セレネ「…………
……あなたたちの関係が……」
セレネ「……あなた、たちが……私に……」
セレネ「……私と、私の大切な方に……似ていたからっ」
シーア「……っ……!」
セレネ「…………
……ただ、それだけ……なんです」
シーア「…………」
セレネ「……だから……」
セレネ「……これは、私の我儘……なんですよ」
シーア「……!」
セレネ「……ただ……
私が、シーアに……伝えたかったんです」
シーア「…………」
シーア「……わが……まま……」
セレネ「……そうですよ」
セレネ「……我儘、なんです」
セレネ「…………
……我儘でも……」
セレネ「……シーアには……
知ってほしい、と……私が、思ったんです」
シーア「…………っ
……セレネ……さんっ……」
セレネ「……シーアが望む、幸せ……」
セレネ「……大切な存在と、ずっと一緒にいたい……」
シーア「……っ!」
セレネ「……そんな、幸せっ……」
セレネ「…………」
セレネ「……あなたは……
醜い、と……相手の幸せを、奪ってしまう……と……」
シーア「…………っ」
セレネ「……否定している、けれど……」
セレネ「…………
……私も……」
セレネ「……同じ、幸せを……望んでいるん、ですよっ」
シーア「…………っ…………!」
セレネ「……だからっ……」
セレネ「……その、幸せの……形はっ……」
セレネ「……あなた一人が、感じるものでは……ないんですっ」
シーア「…………っ!
……ひとりじゃ、ないっ……」
セレネ「……その幸せを望む……
あなたはっ……シーアはっ、在っていいのですっっ!」
シーア「……っ!」
セレネ「……っ……
……少なく、ともっ……」
セレネ「……同じ幸せを望む、私がいますっ!」
シーア「……セレネ、さんっ……」
セレネ「……そして……
私は、シーアの……幸せを……」
セレネ「……幸せを望む心を……
おかしいとは……思いませんっっ!」
シーア「…………っ!」
セレネ「…………
……だからっ……」
セレネ「……だから、ねっ……」
セレネ「……シーアっ……
あなたの、幸せをっ……!」
セレネ「……あなたが感じるっ……望む、心をっ……!」
セレネ「……あなた、自身をっ……」
セレネ「……少しは……
信じて、あげてもっ……良いんですよっ……!」
シーア「…………っ…………!」
セレネ「…………
……あなたは、おかしくない」
シーア「……っ!」
セレネ「……あなたは……独りじゃ、ない」
シーア「……っ……」
セレネ「……私が、いますっ……」
セレネ「…………っ
……同じ幸せを望む……私が、いますからっっ!」
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……セレネの想いを……叫びを聴いた、シーアはーー
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シーア「……っ!」
シーア「…………っ
……私、はっ……独りじゃ、ないっ……」
シーア「……っ
……私はっ……私の、幸せはっ……」
シーア「……在って、いいん……ですかっっ……?」
セレネ「……良いんですよっ」
セレネ「……私は、そう思いますっ」
シーア「…………っ!」
セレネ「…………
……でも……」
セレネ「……クロハの、ことは……
クロハの幸せは……私には、わかりません」
シーア「……っ……」
セレネ「……もしかしたら……」
セレネ「……シーアと……
同じ幸せを、望んでいるかも……しれない……」
シーア「……っ!」
セレネ「……そうではないかも、しれない」
シーア「…………」
セレネ「……それは……
クロハにしか、分からない」
セレネ「…………
……だから……」
セレネ「……クロハから……
教えてもらうしか、ないんです」
シーア「……っ……」
シーア「……もうっ……」
シーア「……もう、分かって……いるんですっ……」
セレネ「…………シーア」
シーア「…………っ
……セレネさんの、お話をっ……」
シーア「……私と、クロハがっ……辿るかも、しれないっ……」
シーア「……可能性を、知ってしまった……からっ……」
セレネ「…………」
シーア「…………っ…………」
シーア「……でも……怖いっ……」
シーア「……怖いん、ですっ……」
セレネ「……シーア……」
シーア「……クロハがっ……
もし……クロハの、幸せがっ……」
シーア「……私と……違ったらっ……」
シーア「……そう、思う……だけでっ……」
セレネ「…………
……分かり、ますよ」
シーア「…………っ!」
セレネ「……私、も……
自分の気持ちを、伝えるのはっ……」
セレネ「……ずっと、怖かったっ……」
シーア「……セレネ、さん……もっ……」
セレネ「……そう、ですよ」
セレネ「……今も、怖いっ……
私の心と……向き合うのはっ……」
シーア「…………」
セレネ「……それでもっ……
私は……私の、思うままにっ……」
セレネ「……シーア……
あなたに、私の想いを……伝えました」
シーア「……っ!」
セレネ「…………
……その責任は……」
セレネ「……我儘の責任は、取りますね」
シーア「……!
……セレネ、さんっ……?」
セレネ「……何度でも、伝えます」
セレネ「……シーアが……
私の言葉で、どう変わろうと……」
シーア「……っ!」
セレネ「……変わらないと、しても……」
セレネ「……シーアの望むとおりに……なっても……」
セレネ「……ならなくても……」
セレネ「……私は、シーアを……見守り続けます」
シーア「…………っ!
……セレネ、さんっ……」
セレネ「……だから……」
セレネ「……シーアは……
シーアの、思うままに……生きてください」
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……セレネの誓いと願いを受け取った、シーアはーー
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シーア「……っ!」
シーア「…………
……セレネさん……あなた、はっ……」
シーア「……あなたはっ……
本当に……優しくてっ、厳しく……てっ……」
シーア「……そしてっ……
ずるいっ、ですっっ……」
セレネ「…………!」
シーア「…………っ
……あんな、お話をっ……」
シーア「……セレネさんと……
セレネさんの、大切な方のっ……」
シーア「……結末をっ……聞いて、しまったらっ……」
セレネ「…………」
シーア「……私はっ……」
シーア「……このまま、何もしないで……
いられるはずが……ありませんっ……」
セレネ「……!」
シーア「……っ
……誰、よりもっ……」
シーア「……クロハとっ……
離れ離れに、なりたくないっ……私がっっ……!」
セレネ「……シーア」
シーア「…………
……セレネ、さんはっ……」
シーア「……分かっている、はずっ……なのに……」
シーア「……なのにっ……
最後の一歩は、私に……選ばせるん、ですねっ……」
セレネ「…………」
シーア「…………っ
……本当にっ……ずる、いっ……」
シーア「……ずるいっ、ですっっ……!」
セレネ「…………シーア」
シーア「……っ……
……セレネさんっ、私は……」
シーア「……私はっ……
クロハの、答えを……聞いてもっ……」
シーア「……クロハの幸せを……願う、ことがっ……
クロハのことを、想い続ける……ことがっ……」
シーア「……できるっ……でしょうかっっ……?」
セレネ「……………………」
セレネ「……できますよ」
シーア「……っ!」
セレネ「……大丈夫」
セレネ「……シーアは、もう……できている、から」
シーア「……っ……?
……私、が……できている……?」
セレネ「……そうです」
セレネ「…………
……シーアは……」
セレネ「……クロハの幸せを……
奪ってしまうかも、しれない気持ちに……」
セレネ「……あなた自身の……
望む心に、気付いたときに……」
セレネ「…………
……その心を、無かったことにせず……」
セレネ「……その心を……抱えたまま……
姉として、クロハのことを……想い、続けた」
シーア「…………っ!」
セレネ「……想い続けることが……
出来たでは、ありませんかっ!」
シーア「……っ!」
シーア「…………
……でもっ……」
シーア「……それはっ、役割をっ……
演じていただけ……なんですよっ……?」
セレネ「…………
…………シーア」
シーア「……!」
セレネ「……私は、思うんです」
セレネ「…………
…………たとえ…………」
セレネ「……役割を……演じている、つもりでも……」
セレネ「……自分の中に……
心にない、一面……は……」
セレネ「……演じることすら、出来ないと」
シーア「…………っ!」
セレネ「…………
……私から見たら……」
セレネ「……姉という役割を……
演じている、シーアは……」
セレネ「……シーアの中に在る、クロハを想う……あなた……」
シーア「……っ!」
セレネ「……クロハの幸せを……
心より、願っている……あなたの……」
セレネ「……シーアの、優しい……綺麗な一面……」
セレネ「……シーアの……心の、一部……」
セレネ「…………
……そう、感じられるんです」
シーア「……!
……わたしの、一部……」
セレネ「……だから……」
セレネ「……役割を演じている、あなたも……」
セレネ「……あなたの一部、だと……
確かにある……あなた自身、なのだと……」
シーア「…………っ!」
セレネ「……信じても……良いのだと……」
セレネ「……私は、思いますよ」
シーア「……っ!
……セレネ、さんっ……」
セレネ「……少なくとも、私は……」
セレネ「……シーアの、綺麗な一面だと……信じています」
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……セレネの信頼……そして、シーアはーー
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シーア「…………っ…………!」
シーア「……っ
……姉の、役割のっ……私、もっ……」
シーア「……私の……一部っ……」
セレネ「……そう、信じます」
シーア「……………………」
シーア「……っ……
……そんなっ……そんな、ことっ……」
シーア「……すぐにはっ……
信じ、られませんっ……」
セレネ「…………」
シーア「……っ
……けれ、どっ……」
セレネ「…………!」
シーア「……あなたのっ……」
シーア「…………
……私の、想いをっ……叫びをっ……」
シーア「……聴きたい、と……
伝えてくれたっ……セレネさんの、言葉っ……ならっ……」
セレネ「……っ!」
シーア「…………っ
……少し、はっ……」
シーア「…………
…………信じて、みようとっ…………」
シーア「……少し……だけでもっ……
信じて、みたいと……思えますっっ……!」
セレネ「…………っ!
……シーアっっーー」
シーア「ーーでもっ」
セレネ「……っ!」
シーア「……一つ、だけ……」
シーア「…………
……一つ、だけで……いいんです」
セレネ「……シーア……」
シーア「…………
……怖がりな、私のっ……」
シーア「……お願い、を……我儘……をっ……」
シーア「……聞いて、くれませんかっ……?」
セレネ「…………!」
シーア「……私にっ……」
シーア「……勇気、をっ……
支えをっ、くれませんかっっ……?」
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……ついにシーアは、一歩を踏み出した
そんな彼女を見て、セレネは……思わず抱きしめてしまうーー
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セレネ「……っ!
……ふふっ……!」
セレネ「……シーアっっ……!」
シーア「……っ……!?」
セレネ「……ようやくっ……
あなたの、我儘をっ……」
シーア「……セレネ、さんっ……?」
セレネ「……あなたのっ……ためにっ……」
セレネ「……何か、できるっ……私にっ……」
セレネ「…………っ
……なれたん、だねっっ……!」
シーア「……っ……!」
シーア「…………
……セレネ……さんっ……」
シーア「…………っ」
シーア「……あったかい……けどっ……
くるしぃ……ですっ……」
セレネ「……っ!
……ごめんなさいっ」
シーア「……いえ、大丈夫……です」
セレネ「…………
……ふふっ……!」
シーア「…………!
…………ふふふっ…………!」
シーア「……セレネさんは、あったかい……ですねっ……!」
セレネ「……!
……シーアも、暖かい……ですよっ……!」
セレネ「……でも、すみませんっ……
思わず……抱きしめ、すぎましたっ……」
セレネ「……緩めますから……このままで……」
シーア「…………!」
セレネ「……このまま……聴かせて、ください」
セレネ「……シーア……
あなたの言葉を……私、に……」
セレネ「……私に……
あなたの我儘を……聴かせてください」
シーア「……っ……!」
シーア「…………
……セレネ、さんっ……」
セレネ「…………」
シーア「……分かり、ましたっ」
シーア「…………
…………このままで…………」
セレネ「……ありがとう、シーア」
シーア「………………」
シーア「……改めて……
……セレネさん……」
シーア「……私と、約束……してくださいっ……!」
セレネ「…………!」
シーア「…………
……どんなことが、あろうとっ……」
シーア「……私が、どんなに……変わろうとっ……」
シーア「…………
……私をっ……信じて、くれるとっ……」
セレネ「…………」
シーア「……私だけ、でなく……
クロハもっ、見守り続けて……くれるとっ……」
セレネ「……!」
シーア「……っ……
……約束……して、くれますかっ……?」
セレネ「…………っ!」
セレネ「…………
……もちろん、ですっっ……!」
シーア「……っ……!」
セレネ「……その想いは……私が、あなたに……」
セレネ「……伝え続けたもの……
知ってほしかった、私の想い……ですから」
シーア「……っ!
……セレネ……さんっ……」
セレネ「…………
……私は、あなたに……」
セレネ「……シーアに、約束します」
シーア「……!」
セレネ「…………
……これから、どんなことがあろうと……」
セレネ「……シーアが、どんなに変わろうと……
たとえ、変わらなかったとしても……」
セレネ「……私はっ……」
セレネ「……少なくとも、私だけはっ……
……シーアを、信じていますっ!」
シーア「…………っ!
……セレネ、さんっ……!」
セレネ「……そして……
シーア、クロハ……」
セレネ「……あなたたちを、見守ります」
セレネ「…………
……私は……いつまでも……」
セレネ「……あなたたちを、見守り続けますからっーー」




