ーー第14章 「綺麗で醜いあなたでいて」ーー
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……シーアの想い
そして、シーアの叫び……
……彼女の物語を聴いていた、セレネは……
彼女に何を……伝えるのかーー
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セレネ「…………」
セレネ「…………っ
……シーア……ありがとうっ……!」
シーア「……っ!」
セレネ「……あなたの、想いをっ……
……あなたの……叫びをっ……」
セレネ「……私に、聴かせてくれて」
シーア「……っ……
……セレネ……さんっ……」
セレネ「……シーアっ……」
シーア「……っ……!」
シーア「…………
……わた、しっ……」
セレネ「…………!」
シーア「……私……やっとっ……」
シーア「……やっとっ……言えましたっ……」
セレネ「…………っ!」
シーア「……ずっとっ……苦し、かったっ……」
シーア「……っ……」
シーア「……私の……心がっ……
……私の、望む……ことがっっ……」
セレネ「…………」
シーア「……っ」
シーア「…………
……どうしようもなくっ……」
シーア「…………っ
……我儘……だからっ……」
セレネ「……っ……
……シーア……」
シーア「……クロハの、ことを……
大切な……存在の、ことをっ……」
シーア「…………何もっ…………
考えて、いなんじゃ……ないか、って……」
セレネ「…………シーア」
シーア「……っ……」
シーア「……そんな……自分勝手な、私がっ……」
シーア「……私……なん、だってっ……」
セレネ「……シーア……」
シーア「…………っ…………」
シーア「……私はっ……醜いっ、てっっーー」
セレネ「ーー醜くなんて、ありません」
シーア「……っ!」
セレネ「…………っ!」
セレネ「…………
……いえ……違い、ますね……」
セレネ「……シーア……
あなたは……醜いだけでは、ないでしょう」
シーア「…………!」
セレネ「……とても、綺麗なところも……あるではないですか」
シーア「……っ……!」
シーア「…………
……綺麗な……ところ……?」
セレネ「……そうですよ」
セレネ「……あなたの綺麗なところ……」
セレネ「……あなたは、役割を……
演じたでは、ありませんか」
シーア「…………っ!?
……それが、綺麗……?」
セレネ「……はい、綺麗です」
セレネ「…………
……自分の醜さを、自覚していながら……」
セレネ「……その醜さを無かったことにせず、
しっかりと……向き合っているから」
シーア「…………!」
セレネ「…………
……向き合った、上で……」
セレネ「……クロハのことを……
クロハの、幸せを……優先したからこそ……」
セレネ「……自分の心を消してでも、
姉という……役割を、演じることを……」
セレネ「……あなたは、選んだのでしょう」
シーア「…………っ!」
セレネ「……あなたには……」
セレネ「…………
……シーアの、中には……」
セレネ「……大切なクロハのために……
大切な存在の、幸せのために……」
セレネ「……自分の幸せすらも、手放せる……」
セレネ「……そんな……
とても、綺麗で……凄いところも、あるのですよ」
シーア「…………っ…………」
シーア「…………
……私、が……凄い……?」
セレネ「……はい、シーアは凄いです」
シーア「……っ……」
シーア「……………………」
シーア「…………っ
……セレネ、さんっ……」
シーア「……でもっ、それは……」
セレネ「…………」
シーア「……私の、醜さからっ……
逃げたっ……だけ、なんですよっ……?」
セレネ「……シーア」
シーア「……
…………っ」
シーア「……私の醜さは……
在り続けるんですっ……!」
シーア「…………
……受け止めきれない……この、醜さはっっ……!」
セレネ「……………………」
セレネ「…………
……醜くても、いいじゃないですか」
シーア「…………っ!?」
セレネ「……それも、あなたの一部……なんですから」
シーア「……っ……」
セレネ「……少なくとも、私はそう思います」
シーア「…………っ
……なに、をっ……いってーー」
セレネ「ーーそれに」
シーア「……っ!」
セレネ「……あなたに……
醜いところが、あったとしても……」
セレネ「……あなたの綺麗なところが……
無くなるわけでは、ありませんから」
シーア「…………!」
セレネ「……私は……
どちらもシーアの一部、なんだと……」
セレネ「……そう、感じましたよ」
シーア「……っ……!?」
シーア「…………」
シーア「…………っ…………」
セレネ「…………
…………シーア」
シーア「……っ
……醜くても、いいっ……?」
セレネ「…………」
シーア「……セレネさんは……何をっ……」
シーア「……何を、言ってっ……いるん、ですかっっ……!」
セレネ「……シーア……」
シーア「……っ
…………このっ…………」
シーア「…………私の……醜い、心がっっ…………」
セレネ「…………」
シーア「…………っ」
シーア「……クロハとっ……
一緒にいたいと……願うっ、望むっ……心がっ……!」
シーア「……っ……
…………クロハのっ…………」
シーア「……大切な、存在の……
幸せをっ……奪うかも、しれないんですよっっ……!」
セレネ「…………
…………シーア」
シーア「…………っ…………」
シーア「……そん、なのっ……」
シーア「……そんな、ことっ……許される、はず……」
セレネ「…………」
シーア「……っ
……私、がっ……」
シーア「……許せる、はずがっ……無いんですっっ……!」
セレネ「……………………」
セレネ「…………
……そう、ですね」
シーア「…………っ!」
セレネ「……もし……そう、なったら……」
セレネ「…………
……クロハの、幸せを……」
セレネ「……あなたの我儘で、奪うことに……なったら……」
シーア「…………っ」
セレネ「……シーアは……
自分を、責め続ける……でしょうね」
シーア「……っ!」
シーア「…………
……分かっ、てるなら……」
セレネ「…………」
シーア「……っ……」
シーア「……分かってる、ならっ……なん、で……」
シーア「……なんでっ……
そんな、ことをっ……」
シーア「……そんな、言葉をっ……
伝えるの……ですかっっ……!」
セレネ「……っ……」
セレネ「…………
…………それ、は…………」
セレネ「…………っ…………」
セレネ「……あなたがっ……!」
シーア「……っ!」
セレネ「…………っ
……私、の……」
セレネ「……大切な方を……
思い起こさせる、からっ……」
シーア「……っ……!?
……セレネ、さんの……大切な……?」
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……セレネは、シーアに……彼女の在り方に……
この世界で過ごしていた、自分の姿だけではなく……
……セレネにとっての、大切な存在……
……「女神様」の姿も、重ねていた……
……そんなシーアに、セレネは伝える
自身と女神様の結末を……辿った、道を……
……その時に、感じた心を……
そして、今……叫びたい、想いをーー
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セレネ「…………っ…………」
セレネ「……………………」
セレネ「……私、の……」
シーア「…………!」
セレネ「…………
……私の、大切な……方……」
セレネ「……その方は……
いつも、自分を……責めていました」
シーア「……っ……」
セレネ「……そして、私のことを……希望、だと……」
セレネ「…………
……闇の中で輝く、光……だと……」
シーア「…………っ!」
セレネ「……そう、言って……くれました」
セレネ「…………」
セレネ「……あなたが伝えてくれた……
あなたと、クロハのような……」
セレネ「……そんな関係、だったんです」
シーア「……っ!」
シーア「…………
……私と……クロハの、ような……」
セレネ「……………………」
シーア「…………!」
シーア「…………
…………今っ…………」
シーア「……今、その方はっ……
セレネさんの……大切な、方はっ……」
シーア「……どこ、にっ……?」
セレネ「…………っ…………」
シーア「……っ……!
……もし、かしてっーー」
セレネ「ーー離れ離れに……
なって、しまい……ました……」
シーア「…………っ!」
セレネ「…………
……会えなくなって、しまったんです……」
シーア「…………っ…………」
セレネ「…………」
シーア「……っ……
……どう……してっ……」
シーア「…………なん、でっ…………?」
セレネ「……………………」
セレネ「……どうして……なんでしょうね……」
セレネ「…………
……私には、あの方の想いが……」
セレネ「……全て、分かるわけでは……ありません」
シーア「…………っ」
セレネ「…………
……それでも、分かっているのは……」
セレネ「……あの方が……
私に、伝えてくれたこと……」
セレネ「…………」
セレネ「……それは……
……私の幸せを、願ってくれていた……ことです」
シーア「…………!」
シーア「…………」
シーア「…………?
……セレネさんの……幸せ、を……?」
セレネ「……はい」
シーア「…………
……それなら……どうしてっ……」
シーア「…………っ
……どう、してっ……」
シーア「……離れ離れに……
なって、いるんですかっっ……!」
セレネ「…………っ…………」
セレネ「……………………」
シーア「……セレネ、さんっ……」
セレネ「……っ……」
セレネ「…………
……その方が考えた、私の幸せは……」
セレネ「……多分……
……シーアが、姉として……」
セレネ「……クロハに願っている幸せと……
似ているもの、だったんです」
シーア「…………っ!
……姉、として……クロハに……」
セレネ「…………」
セレネ「……私の周りに、たくさんの人がいて……」
シーア「……っ!」
セレネ「……私が、一人じゃない……
孤独じゃない……寂しく、ない……」
シーア「……っ……」
セレネ「…………
……そんな、幸せを……」
セレネ「……願ってくれて、いたんだ……と……」
セレネ「……そう、思うんです」
シーア「…………っ」
セレネ「……私が、あの方といた……ところは……」
セレネ「……人間は、私一人……でしたから」
シーア「…………っ!
……人間が……一人っ……!?」
セレネ「…………
…………でも…………」
シーア「……!」
セレネ「……その、幸せは……」
セレネ「……その方自身が……
犠牲に、ならなくては……」
シーア「……っ……!」
セレネ「…………
……私と、離れ離れに……ならなくては……」
セレネ「……叶わない、ものだった……」
シーア「…………っ
……そん、な……」
セレネ「……っ……」
セレネ「…………」
セレネ「……だから、私とあの方は……
離れ離れになって……しまったんですよ」
シーア「…………っ…………」
セレネ「…………」
シーア「…………っ
……そんなっ……そんな、ことって……」
セレネ「……………………」
シーア「……っ……」
シーア「…………
……セレネ……さん、は……」
シーア「……っ
……セレネ、さんはっ……」
シーア「……幸せに……
なれたん、ですかっ……?」
セレネ「…………っ…………」
セレネ「…………」
セレネ「…………
…………いいえ」
シーア「…………!」
セレネ「……幸せには……
なれません、でした」
シーア「……っ……!」
セレネ「…………」
セレネ「……っ
……だって……」
セレネ「……だって、私の幸せはっ……」
セレネ「…………っ」
セレネ「……大切な、方とっ……
ずっと、一緒にいることっっ……!」
シーア「…………っ…………!」
セレネ「……っ……
……だったん、ですからっ……」
シーア「……っ……
……セレネ、さんっ……」
セレネ「…………っ
……あの方が考える、私の幸せとっ……」
セレネ「……私が感じる……
私の、幸せはっ……違った、からっ……」
シーア「……っ……!」
セレネ「…………」
シーア「…………っ…………」
シーア「…………
……それ……はっ……」
シーア「……その、すれ違い……はっ……」
シーア「…………私と……クロハ、でもっーー」
セレネ「ーー誰にでも、起こる……もの、です」
シーア「…………っ!」
セレネ「…………」
セレネ「……私、は……」
セレネ「…………
……大切な、方と……」
セレネ「……離れ離れになった、私は……
……思ったんです」
シーア「…………」
セレネ「…………
……誰かの幸せを……」
セレネ「……他人が勝手に決めることは……
してほしく、ない……と……」
シーア「……っ!」
セレネ「…………っ…………」
セレネ「…………」
セレネ「……っ
……私、はっ……」
セレネ「……あの方に……
聴いて、ほしかった……からっ……!」
シーア「…………」
セレネ「……私は……
あの方に……伝えたかった、からっ……!」
シーア「…………
……セレネ、さん……」
セレネ「…………っ
……私の感じる……幸せをっ……」
セレネ「……私が、あのときっ……
どれだけ、幸せだったかをっっ……!」
シーア「…………っ」
セレネ「……っ
……そしてっ……」
セレネ「……聴き、たかったっ……」
セレネ「……私と一緒に、いたい……って……
そう、言って……くれた、のはっ……」
セレネ「……あの、言葉は……
あなたの望み……だったの、って……」
シーア「……っ!」
セレネ「…………っ
…………もしっ…………」
セレネ「……もしもっ……
それが、あなたの望み……だったらっ……」
セレネ「……もっと、伝えてほしかったっ……!
もっと……聴き、たかったっ……!」
シーア「…………
……セレネ……さんっ……」
セレネ「……っ
……綺麗なだけの、あなたじゃなくてっ……」
セレネ「……醜い、あなたもっ……
あなたの望む心もっ……知りたかったっっ……!」
セレネ「…………っ
……私の、前ではっ……」
セレネ「……ありのままの、あなたでっ……
……綺麗で醜い、あなたでっ……いて、欲しかったっっーー」




