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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<後編>~ひとの答え~
21/31

ーー第13章 「あなたの物語」ーー

------

……そして、シーアは語り始める


……自分の想いを……自分の、叫びをーー

                 ------


シーア「……………………」



シーア「……何から……話しましょうか……」



シーア「…………


    ……そう、ですね……」



シーア「…………」


    

シーア「……まずは……」



シーア「……最近の、私の様子が……


    おかしかった理由……から、話しますね」



シーア「…………


    ……私は、怯えて……いたんですっ……」



シーア「…………っ」



シーア「……あのっ……」



シーア「……ここに、きてから……


    初めて起こった……魔物の暴走の、時の……」



シーア「……クロハの姿を、見て」



シーア「……っ……


    …………クロハ、がっ…………」



シーア「……今まで、以上に……


    私から……遠い存在に、なってしまう……ことに……」



シーア「…………っ…………」



シーア「……………………」



シーア「…………


    ……今までも……」



シーア「……クロハは、遠い存在……でした」



シーア「……私とは違って……


    誰から見ても、特別……でしたから」



シーア「…………


    ……私、とは……違って……」



シーア「……普通の人には、聞こえない……


    魔物の声が……聞こえる、から……」



シーア「……っ


    ……私とはっ、違ったんですっ……」



シーア「……っ……」



シーア「……………………」



シーア「…………


    ……私は……普通、だった」



シーア「……特別な力は……


    なにも、無かった……」



シーア「…………


    ……ただ……」



シーア「……この、世界が……


    灰色に包まれた時に……生まれた、だけ……」



シーア「…………」



シーア「……クロハと、違って……」



シーア「……私が……


    普通の人と……違う、ところはっ……」



シーア「…………それだけ、なんです」




------

……灰色の中で生まれた、シーアとクロハ



……外から見れば、普通の人と変わらない


ただ、世界が灰色に包まれた時に……生まれただけ



……しかし、それだけでも……


人の心に、疑念の芽を生むには……十分だったーー

                     ------


シーア「…………っ」



シーア「…………


    ……でもっ……」



シーア「……普通の人は、それだけで……


    私たちを……私、を……恐れたっ……」



シーア「…………


    ……だからっ……」



シーア「……だから、私にはっ……」



シーア「……クロハだけが……救い、だったんですっ……」



シーア「……っ……


    ……私と、同じで……」



シーア「……周りから、恐れられている……


    ……クロハ……だけがっ……」



シーア「……………………」



シーア「……そうして、


    私にとって……クロハは……」



シーア「…………


    ……この世界で、生きる理由に……なっていきました」



シーア「…………」



シーア「……クロハが、いるから……

    

    ……クロハの傍に……いられる、から……」



シーア「……私は……


    寂しい世界でも……生きていける……」



シーア「……独りじゃ、ないから」



シーア「…………っ」



シーア「…………


    ……でもっ……」



シーア「……ある、時……


    知って……しまったん、ですっ……」



シーア「……先ほども、お話しした……


    クロハの……特別な、力を……」



シーア「……っ


    ……私には、ない……力をっ……」



シーア「…………っ…………」



シーア「……クロハ、は……」



シーア「……自分の力を、自覚してからは……

    

    暴走する魔物に……話しかけるように、なりました」



シーア「…………


    ……だけど……」



シーア「……クロハの声は……


    魔物には……届きません、でした……」



シーア「……その度に……


    クロハは泣いて、私が慰める……」



シーア「……それが、日常の一部に……なっていきました」



シーア「…………」



シーア「……ただし……


    他の人には、見られないように……気を付けて、いました」



シーア「……私たちは、幼かったので……

    

    周りの力に……頼らなければ、生きられないと……」



シーア「…………


    ……そして……」



シーア「……今以上に、恐れられて……しまえば……」


    

シーア「……頼ることすらできなくなると……

 

    私は、なんとなく……感じて、いたので……」




------

……姉妹の日常、そしてーー

           ------


シーア「…………」



シーア「……そうして、私たちは……


    日常を……過ごしていきます」


    

シーア「…………


    ……その日常の中で……」


   

シーア「……私たち双子は、


    魔物には襲われないことを……知ったんです」



シーア「…………」



シーア「……最初は、嬉しかった……」



シーア「……私も、特別……なんだってっ……


    クロハとっ……同じだってっ……」



シーア「……そう、思えましたから」



シーア「…………


    ……でも……」



シーア「……その、喜びは……


    安心は……いつしか、消えていました」



シーア「……何度でも諦めずに……


    魔物に話しかけ続ける、クロハを……見ているうちに……」



シーア「…………っ」



シーア「……いつかっ……


    いつか……クロハの、声がっ……」



シーア「……魔物に……


    届いてしまうんじゃ……ないかっ……」



シーア「……もし……届いて、しまったら……」



シーア「……っ……


    ……人間に、とって……」



シーア「……周りの人に、とってっ……


    クロハは……救世主に、なってしまうっ……」



シーア「……周りからっ……恐れられる、だけでなく……」



シーア「……恐れられながらも、必要と……される……


    そんな存在に……なってしまうっ……」



シーア「……っ」



シーア「……だって……」



シーア「……人間の敵である、魔物と……」



シーア「……意思疎通できない、からこそ……

    

    襲ってくる理由すら……分からず……」


    

シーア「……敵と……そう、思うしか……なかった……」

   

    

シーア「……そんな魔物たちと、


    想いを……通じ合わせることが、できるんですよっ……」



シーア「…………っ」



シーア「…………


    ……そんな存在を……」



シーア「……人間が……周りの人が……


    放っておくはずが……ありません」



シーア「……クロハの周りには……


    多くの人が……集まる、でしょう……」



シーア「…………


    ……クロハは……独りでは、なくなるんです」



シーア「……私が、いなくても」




------

……クロハのあり得る未来を、


想像してしまった……シーアはーー

              ------


シーア「……っ……」



シーア「……私は……怖く、なったんですっ」



シーア「……クロハの傍にっ、いられなく……なることが……」



シーア「…………


    ……その怖さを、自覚……する前は……」


    

シーア「……魔物に想いが届かなくて、

    

    泣いている……クロハを……」



シーア「……ただ、心から……心配をして……


    ……優しく……慰めて、いたんですっ……」



シーア「……そう……出来て、いたんですっ……」



シーア「…………っ…………」



シーア「……でもっ……


    怖さを、自覚して……からは……」



シーア「……クロハが、泣いているのにっ……


    慰めながらも……安心している、私がっ……」


 

シーア「…………っ


    ……クロハの失敗を、喜んでいる……私がっ……」



シーア「……いたん、ですっ」



シーア「……っ……」



シーア「…………


    ……そんな、私をっ……」



シーア「……私の心をっ……知った時……


    別の恐怖を、感じたっ……」



シーア「……っ


    ……私、がっ……クロハの幸せを……」


  

シーア「……クロハが……


    望んでいることを、邪魔してしまうっ……」


     

シーア「……奪って、しまうっ……


    そんな存在に……なるのでは、ないかとっ……」



シーア「…………っ…………」



シーア「…………


    ……クロハは……私に、生きる理由を……」



シーア「……生きる、希望をくれた……


    ……大切な……存在、なのにっ……」



シーア「…………


    …………なの、にっ…………」



シーア「……私はっ……」



シーア「……クロハに、絶望を……


    与えてしまう……かも、しれないっ……」



シーア「……っ……」



シーア「……………………」



シーア「…………


    ……怖くなった、私は……」



シーア「……姉、という役割を……


    ただ……クロハの幸せだけを願う……」



シーア「……そんな役割を……演じるように、なりました」




------

……役割を演じるようになった、シーア


そして、運命の出会いへと……繋がっていくーー

                    ------


シーア「…………」



シーア「……そして、日常を……過ごしていったんです」



シーア「…………


    ……そんな時……」



シーア「……以前にお話しした……

    

    私と、クロハが……離れ離れになった……」



シーア「……そして……


    セレネさんと、出会うきっかけに……なった……」



シーア「……あの出来事が、起こったんです」



シーア「…………っ…………」



シーア「……初めてっ……」



シーア「…………


    ……初めて、クロハが……傍に、いない時を……」



シーア「……過ごし……ました」



シーア「…………っ」



シーア「…………


    ……ものすごく、怖かったっ……」



シーア「……もう二度とっ、感じたくないっ……」



シーア「……そう、思うほどの……怖さだったんですっ……」



シーア「……っ……


    ……だからっ……」


    

シーア「……二度と、離れ離れに……ならない、ように……」



シーア「……セレネさんに、お願いを……したんです」



シーア「…………


    ……人間たちの、いないところへ……」



シーア「……私たちをっ、引き裂く存在が……いないところへっ……」



シーア「…………


    ……魔物の、領域へ……」



シーア「……連れて行って、くれませんか……って」



シーア「……………………」



シーア「…………


    ……今、思えば……」



シーア「……あの時の私は……


    役割を、演じることよりも……」



シーア「……クロハの……幸せよりも……」



シーア「……私の心を……


    優先していたのかも……しれないですね」



シーア「…………っ


    ……それほどまでに……怯えていたっ……」



シーア「…………っ…………」



シーア「…………」



シーア「……それは……


    クロハも、同じだったと……」



シーア「……同じ怖さを……感じていた、と……」



シーア「……後で……クロハが、教えてくれました」



シーア「…………」



シーア「……っ……


    ……嬉し、かったっ……!」



シーア「……本当に、嬉しかったんですっ……!」



シーア「……クロハも……


    私のことを、そんなに……必要と……」



シーア「……そう、感じてくれて……いたことがっ……!」




------

……そして、今へと辿り着くーー

             ------


シーア「…………」



シーア「……そして……


    魔物の領域に、来て……」


   

シーア「……もう……離れ離れには、ならないと……」



シーア「……そう、安心していた……時に……


    あの……魔物の暴走が、起こったんです」



シーア「……………………」



シーア「……あの時、私は……」



シーア「……クロハは動けないと……


    動かないで、くれると……思って、いました」



シーア「…………っ


    …………だって…………」


  

シーア「……あんなにっ……


    あれだけの、怖い思いを……したんですっ」



シーア「…………


    ……私と……離れ離れに、なることをっ……」



シーア「……その、結果を……


    生んでしまった、行動は……」



シーア「……怖くて、もう……出来ないと……


    ……そう……思って、いたんです」



シーア「……っ……」



シーア「…………


    ……でもっ……」



シーア「……でも、クロハは……強かった」



シーア「……怖くても、動いたんです」



シーア「…………


    ……そんなクロハを、見て……」



シーア「……私は感じた……感じて、しまったんですっ……」



シーア「……クロハは、いつか必ずっ……


    魔物たちに、想いを……届けることができるっ……と」



シーア「…………っ」



シーア「……そう、感じたときっ……」



シーア「…………


    ……クロハの……ことが……」



シーア「……クロハの、存在がっ……」



シーア「……今まで、以上に……


    遠く、感じて……しまった……」



シーア「…………っ…………」



シーア「……そしてっ……


    気付いて、しまったんですっ……」



シーア「……っ


    ……今の、私がっ……」



シーア「……役割、を……


    演じきれなく……なっている、ことにっ……」



シーア「…………


    ……あの、怖さをっ……」



シーア「……離れ離れになる、怖さを……


    ……知って……しまった、からっ……」



シーア「……っ……」



シーア「……………………」



シーア「…………


    ……だから……」



シーア「……だから、私は……


    クロハと、どう接していいのか……」



シーア「……分からなく、なって……しまったんですっ……」



シーア「…………っ…………」



シーア「…………


    ……これが、私のっ……」



シーア「……想い、であり……叫びっ……」



シーア「……………………」



シーア「……セレネ、さんが……


    聴きたいと、言ってくれた……」



シーア「……っ」



シーア「……私がっ……セレネさんに……


    伝えたいことの……全て、ですっっーー」

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