表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<後編>~ひとの答え~
17/31

ーー第9章 「無垢なる祈りは誰が為に」ーー

------

……そうして、三人は……魔物の領域で、過ごしていく


……それは、穏やかな日々だった



……しかし、世界は何も変わっていない



……ある時……セレネにとっては、


もはや聞き慣れてしまった……叫び声が響き渡るーー

                       ------


シーア「……っ!


    ……このっ、叫び声……は……」



クロハ「……っ


    ……魔、物っ……」



セレネ「…………」



セレネ「……また、なのですね……」



セレネ「…………


    ……魔物の暴走……」



シーア「…………?


    …………暴、走…………?」



セレネ「……はい」



セレネ「……魔物がおかしくなることを……


    私は、暴走と……そう、呼んでいます」



クロハ「…………!


    ……おかしく、なる……」



クロハ「……ぼう、そう……」



セレネ「…………」



セレネ「…………


    ……私たちに……」



セレネ「……できることは、ありません……」



クロハ「…………っ」



セレネ「……だから……


    気にしないように……しましょう……」



シーア「……っ……


    ……セレネさん……」



シーア「……そう、ですね……」



クロハ「……っ……!」



シーア「……?


    ……クロ、ハ……?」



クロハ「……魔物、が……


    ……泣い……てる……」



セレネ「……クロハ……?」



クロハ「…………っ」



クロハ「…………なきゃ…………」



シーア「…………っ!


    ……まさかっーー」



クロハ「ーー行かなきゃっっ……!」



シーア「……っ!?

  

    クロハっっ!」



セレネ「…………っ!


    ……クロハっ!」




------

……クロハは、行ってしまった


置いていかれた、シーアとセレネはーー

                ------


シーア「…………っ


    …………どう、してっ…………」



シーア「……なんでっ……


    …………クロ、ハっ…………」



セレネ「……シーア……」



シーア「……っ


    ……なんで、あなたはっ……」



シーア「…………


    ……そんな、ことが……できる……の……?」



セレネ「…………っ」



セレネ「…………


    ……行き、ましょうっ……」



シーア「…………!

   

    ……セレネ、さんっ……?」



セレネ「……っ……


    ……私たちも、行きましょう……!」



シーア「…………っ


    …………でもっ…………」



シーア「…………こわ、いっ…………」



セレネ「…………っ!」



セレネ「…………


    …………シーア…………」



シーア「……っ……」



セレネ「…………


    …………シーア」



シーア「……セレネ、さんっ……」



セレネ「…………


    …………大丈夫」



シーア「……っ!」



セレネ「……私が、います」



シーア「……っ……!


    ……セレネ、さん……が……」



セレネ「……はい」



セレネ「…………


    ……それに、クロハを……」



セレネ「……大切な、妹を……」



シーア「…………!」



セレネ「……また、独りには……


    出来ない……です、よね……?」



シーア「…………っ…………!」



セレネ「…………」



シーア「…………


    …………は、いっ…………」



シーア「…………っ!


    ……それ、だけはーー」



シーア「ーーダメっ……なんですっ……!」



セレネ「…………!


    ……なら、一緒に……行きましょう」



シーア「………………


    …………はいっ…………!」




------

……クロハを追う二人


その道中、セレネは気付くーー

             ------


セレネ「(…………!)」



セレネ「(…………っ…………


     ……そうか、クロハ……)」



セレネ「(……あなたにも……


     聞こえて……いたん、だね……)」



セレネ「(…………


     ……この……)」



セレネ「(……暴走した、魔物の……


     ……想いが……叫び、が……)」



セレネ「(……っ……)」



セレネ「(…………


     ……泣いてる……か……)」



セレネ「(……私も……そう、思うよ……)」



セレネ「(……苦しんで、泣いている……ような……


     あの……消えたくない、っていう……叫びは……)」



セレネ「(……そんな風に、感じられる……よね……)」



セレネ「(…………っ)」



セレネ「(……でも……


     今の……私たちには……)」



セレネ「(…………


     ……いや……)」



セレネ「(……っ


     ……今の、私にはっ……)」



セレネ「(……何も……できないん、だよ……)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(……クロハ……ごめん、ね……)」




------

……そして、二人は……叫び声のもとへ辿り着く


……その先には、暴走する魔物に近づく……クロハの姿がーー

                          ------


シーア「…………っ!?」



シーア「……クロハっっ」



セレネ「……クロハーー」



シーア「ーー近づかないでっ!」



セレネ「……!


    ……シーア……?」 



シーア「……っ……    


    ……もし……あなたがっ……」



シーア「…………っ


    ……お願い、だから……


    危ないことは……しないでっ……」



セレネ「…………


    ……シーア……」



セレネ「……気持ちはわかります……


    でも、クロハは大丈夫……ですよ」



シーア「…………っ!」



セレネ「…………


    ……あなたたちは、魔物に襲われません」



シーア「…………!」



セレネ「……ここで過ごしている時も、襲われなかった……」



セレネ「……だから、大丈夫」



シーア「……っ……」



シーア「…………


    ……そう、ですね……」



シーア「……セレネさんの……言うとおり、です……」



セレネ「…………


    ……落ち着きましたか……?」



シーア「……っ……


    …………はい…………」



シーア「……すみません……


    ありがとう、ございます……」



セレネ「……いいのですよ」



シーア「…………


    …………っ」



シーア「……いつも……こうなる……」



セレネ「…………!」



シーア「…………


    ……今、私にできる……のはっ……」



シーア「……見ている……こと、だけ……」



セレネ「…………っ…………!」



シーア「……っ……    


    ……いつもっ……こうなる、のですね……」



セレネ「……………………」    



セレネ「…………


    ……大丈夫ですよ、シーア」



シーア「…………っ!」



セレネ「……あの子を……クロハを、信じて……」



セレネ「……っ……


    …………見守り、ましょう…………」



シーア「……!


    ……見守、る……」



セレネ「…………


    ……そうです」    



セレネ「……何があっても、私たちが一緒にいること……」



セレネ「……それが……


    クロハの力に、なっていると……信じて」



シーア「……っ……!


    ……クロハ……の……」



シーア「…………


    ……分かり、ました……」



シーア「……どのみち……私には……」



シーア「……いつも、それしか……


    ……出来ない……です、から……」




------

……苦しそうなシーアの姿を見て、セレネはーー

                    ------


セレネ「…………」



セレネ「(……シーア……


     あなたは、本当に……)」



セレネ「(……本当に、今の私に……似てるね)」



セレネ「(…………


     ……見ていることしか、できない……)」



セレネ「(……自分の弱さを……


     ……自分、自身を……嫌ってる……)」



セレネ「(…………


     ……だから……)」



セレネ「(……だからこそ……

 

     自分の無力さを、嘆いている……あなたに……)」



セレネ「(……何かしてあげたいと、思っちゃうんだ)」



セレネ「(…………


     ……でも……)」



セレネ「(……今の、私に……)」



セレネ「(……っ……


     ……あなたと、同じで……)」



セレネ「(……自分の無力さを嘆いている……私に……)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(……何が……できる、のかな……?)」


 


------

……そして、二人が見守る中……


クロハは、暴走する魔物に……語りかけるーー

                   ------


クロハ「…………」



クロハ「……あなたは……


    どうして……そんなに……」



クロハ「……苦しそう、なのっ……?」



クロハ「……っ……」



クロハ「……消えたくない、って……」



クロハ「……いつも、言ってる……よね」



クロハ「…………


    ……わたしが、いくら話しかけても……」



クロハ「……あなたたちは……応えて、くれない」



クロハ「……けれど……」



クロハ「…………っ


    けれど、その言葉だけはっ……」



クロハ「……その、想いだけは……


    いつも……わたしに、伝えてくる」



クロハ「…………っ…………」



クロハ「……分かってるっ……


    あなたたちには……それしか、ないんだよね」



クロハ「……わたしのこと、なんて……」



クロハ「……わたしの答え……なんて……


    あなたたちは、気にして……ない……」



クロハ「……ただ……


    やりたいように……やっている、だけ……」



クロハ「…………


    ……まるで、わたしたちが……」



クロハ「……息を吐いて、吸うように……」



クロハ「……生きるために、必要だから……


    やっているだけ、なのかも……しれない……」



クロハ「…………っ」



クロハ「……それで……いいよっ」



クロハ「……結局、わたしには……

 

    あなたたちの気持ちは……分からない、んだから……」



クロハ「…………


    …………でも…………」



クロハ「……でも、ねっ……


    ……わたしには……あなたたちが……」



クロハ「……苦しそうに、見えるのっ……」



クロハ「……………………」



クロハ「…………


    ……だから……」



クロハ「……わたしも、やりたいように……やるね」



クロハ「……あなたたちの、ためじゃなく……


    ……わたしの……ために……」



クロハ「…………


    ……わたしが、納得するため……だけに……」



クロハ「…………」



クロハ「……わたしの言葉を、想いを……


    ……あなたに……伝えるねーー」




------

……クロハが伝える、想いとはーー

              ------


クロハ「ーー安心して」



クロハ「……大丈夫だから、安心して」



クロハ「……あなたは、消えない


    わたしが……あなたを覚えてる」



クロハ「……ただ、消えたくないと……


    願い続けてる……あなたのことを……」



クロハ「…………


    ……今、わたしの目に映る……あなたを……」



クロハ「……わたしが、忘れないから」



クロハ「……あなたは、消えない……


    わたしの中に……在り続けるの」



クロハ「……だから……」



クロハ「……だから、どうか……安心して」



クロハ「……誰かを傷つける、ことなんて……


    ……誰かの傷に……なることなんて……」



クロハ「……しなくて、いいんだよ」



クロハ「…………


    ……そんなことしなくても……」



クロハ「……あなたには、わたしがいるから」



クロハ「……わたしが、あなたを……憶えてる」




------

……クロハは想いを伝える


しかし、その想いは……届かなかった



……暴走した魔物は、境界を越えて……


人間たちのいるところへ、向かっていく



……三人は、その姿を……


見ていることしか、できなかったーー

                ------


クロハ「……っ……!」



クロハ「…………また…………


    ……届かな、かった……」



クロハ「…………っ!


    ……分かってた……」



クロハ「…………


    ……分かってる、けど……」



クロハ「……けどっ……!」



シーア「…………」



セレネ「…………っ…………!」




------

……クロハの言葉を聞いた、セレネは驚くーー

                   ------


セレネ「(……また……って……)」



セレネ「(…………っ


     ……もし、かして……)」



セレネ「(……クロハ……あなたは……


     ……今までも、ずっと……)」



セレネ「(……ずっと諦めずに、繰り返して……きたの……?)」




------

……セレネが驚く中、クロハの瞳には……涙がーー

                     ------


クロハ「……っ……


    …………ぅ…………」



シーア「…………っ!


    ……クロハっっ!」



クロハ「……っ……!」



クロハ「……おねえ……ちゃんっ……」



シーア「……クロハっ……」



クロハ「…………っ


    ……だめ……だった、よっ……」



シーア「…………うん」



クロハ「……また……


    だめ……だったっ……」



シーア「……っ……!」



シーア「…………」


    

シーア「……大丈夫


    ……クロハは……凄いっ……!」



クロハ「…………っ!」



シーア「……本当に、凄い……」



シーア「…………


    ……クロハなら……いつか……」



シーア「……いつか、必ず……


    ……あなたの想いを……届けられるよ」



クロハ「……っ……!」



クロハ「……ぅ……


    …………ちゃんっ…………」



シーア「……うん」



クロハ「……おね、え……ちゃんっ……」



シーア「…………うん」



クロハ「……ぅ……ぇ……


    ……うぇぇぇっっっ……ん…………」



シーア「……よしよし」



シーア「……よく、頑張ったね


    ……クロハは凄いよっ……!」



クロハ「……うぇぇぇっっっん


    おね、え……ちゃ……ぅ……ぅぅっ……」



シーア「……いつも……凄い……」



シーア「…………


    ……私なんかよりも……」



シーア「……ずっと……ね」




------

……セレネは見守っていた


……暖かな、姉妹の時間を……



……見守っていたからこそ、セレネには届いた


……シーアが呟いた、言葉がーー

                   ------


セレネ「…………!」



セレネ「(……シーア……)」



セレネ「(…………


     ……そんなこと、ないよ)」



セレネ「(……クロハが……失敗しても……


     思い通りに、いかなくても……)」



セレネ「(……彼女で、在り続けられるのは……


     ……思うままに、生きられる……のは……)」



セレネ「(……多分……あなたが、いるから)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(……あなたたちの……


     ……あなたたち、二人の在り方は……)」



セレネ「(……………………)」



セレネ「(……あの……


     旧い、世界での……私たちを……)」



セレネ「(……女神様と、お母さん……そして、私……)」



セレネ「(……あの頃を……思い出させて、くれる……


     私の希望……かも、しれない……)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(……やっぱり……私、は……)」



セレネ「(…………


     ……あの頃にっ……)」



セレネ「(……っ……)」



セレネ「(……あの時、が……


     みんなで過ごす、時間がっ……)」



セレネ「(……幸せ、だったんだっーー)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ