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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<後編>~ひとの答え~
16/31

ーー第8章 「私の頬を伝うのは」ーー

------

……そして、三人は……


魔物の領域へと、辿り着くーー

            ------


セレネ「……帰って、きましたね」



シーア「……っ!


    ……ここが……魔物の……」



クロハ「……うわっー!


    魔物たちが、いっぱいっ……!」



セレネ「……ふふっ」



セレネ「……大丈夫、ですよ」



シーア「……!」



セレネ「……人間たちが、いないだけで……


    それ以外は、あまり変わらないですから」



シーア「…………


    ……本当に、人が……」



セレネ「……はい


    ここには……私たちしか、いません」



クロハ「…………!


    本当に、魔物たちしかいないんだっ……!」



セレネ「…………


    ……だから……」



セレネ「……あなたたちが、


    住んでいた村……みたいに……」



セレネ「……多くの人同士の、助け合い……


    みたいな生活は、出来ませんが……」



シーア「……っ……」



セレネ「……でも、今は……


    私と、あなたたちが……」



セレネ「……助け合える存在が、三人もいますから」



シーア「…………っ!」



クロハ「……助け、合えるっ……!」



セレネ「……村のようには出来なくても、


    私たちで助け合って、生きていきましょう」



シーア「…………っ…………!」



シーア「……本当に……ありがとう、ございますっ……」



シーア「……あなたに出会えて……


    ……あなたが、いてくれて……よかったっ」



セレネ「…………!」



クロハ「……お姉ちゃんっ……


    ……本当にっ、そうだねっ……!」



クロハ「……お姉さんみたいに、


    笑いながら……微笑み、ながら……」



クロハ「……私たちに接してくれる人、なんて……


    ……初めて……だもんねっ……!」



セレネ「…………っ


    ……はじ、めて……」



クロハ「……うん、そうだよっ……!」



クロハ「…………」



クロハ「……村の人たちは、


    いつも……なんだか、辛そうだったし……」



シーア「…………っ


    ……ええ……そうねっ」



シーア「…………


    ……私たちを、恐れずに……」



シーア「……接してくれる人、なんて……


    ……いないのだと……諦めて、ました……」



クロハ「……っ……」



セレネ「…………


    ……そんな……」



シーア「……………………」



シーア「…………


    ……よけ、れば……」



シーア「……あなたのっ……」



シーア「……あなたの、お名前……を……


    教えて、いただけ……ませんかっ……?」



セレネ「…………!


    …………な、まえ…………」



クロハ「……うんっ!」



クロハ「……そうだねっ!


    私も、知りたい……なっ!」



クロハ「……お姉ちゃんにとっての、光に……なってくれてる……」



クロハ「……私たちの、大切な……お姉さんの名前っ!」



セレネ「……っ……!」




------

……初めて、名前を聞かれたセレネはーー

                 ------


セレネ「(…………っ


     ……あり、がとうっ……こんな私に……)」



セレネ「(…………


     ……あなたたちは、本当に……)」



セレネ「(……優しくて……凄い……)」



セレネ「(……あなたたちも……


     傷ついてきた……のに……)」



セレネ「(…………)」



セレネ「(……それでも、他の存在を……)」



セレネ「(……怖がりながらも……


     信じようと……受け入れようと、している……)」



セレネ「(…………っ…………)」



セレネ「(……………………


     …………私、も…………)」



セレネ「(……私も、いつか……


     あなたたちを……信、じて……)」



セレネ「(……私のことをっ、話す……からっ……)」



セレネ「(……っ……)」



セレネ「(…………

 

     ……今はまだ……怖い、けれど……)」



セレネ「(……けれど……


     少しずつでも、いつか必ず……)」




------

……そして、セレネは……


大切な名前を……初めて、伝えるーー

               ------


セレネ「…………」



クロハ「……?


    ……お姉、さん……?」



セレネ「…………


    ……分かり、ました」



シーア「…………!」



セレネ「……遅く、なりましたが……」



セレネ「……私の……」



セレネ「……私の、名前は……


    …………セレネ…………」



セレネ「……セレネ、とーー」



セレネ「ーーっ……!?」



シーア「……っ!?


    ……どうしたのですかっ……?」



クロハ「……お姉さん……?」



クロハ「…………!


    ……泣いてる、の……?」



セレネ「…………っ…………!」



セレネ「……ない、てる……?


    …………私……が…………?」



シーア「……はい……


    涙が……大丈夫、ですかっ……?」



セレネ「…………っ!」



セレネ「……どう……して……


    ……どうしてっ……涙、がっ……?」



シーア「……セレネ、さん」

    


セレネ「……っ」    



クロハ「……悲しい、の……?


    ……どうしたのっ……?」



クロハ「……セレネ、お姉さん……?」



セレネ「……っ!


    ……いいえっ……大丈夫、ですよっ……」



セレネ「…………っ」



セレネ「……ごめんなさいっ、嬉しくてっ……」



セレネ「…………!」




------

……セレネは、気付く


思わず出た、自身の言葉で……自分の想いにーー

                    ------


セレネ「(…………)」



セレネ「(……そう……か……)」



セレネ「(…………


     ……嬉、しいんだ……私はっ……)」



セレネ「(…………っ…………)」



セレネ「(…………


     ……女神様と、お母さんから……


     貰った……もの、だから……)」



セレネ「(……っ……


     ……今でも……)」



セレネ「(……離れ離れになった……今でもっ……)」



セレネ「(…………


     ……確かに、残っているもの……だからっ……)」



セレネ「(……………………


     …………だから…………)」



セレネ「(……私の、大切な存在は……


     確かに……いたんだよ、って……)」



セレネ「(……誰かに……世界、に……)」



セレネ「(…………っ


     ……伝えられたっ……証明、できたっ……)」



セレネ「(……っ……)」



セレネ「(…………


     ……そんな気が、するからっ……)」




------

……そして、三人はーー

         ------


セレネ「…………っ」



シーア「……セレネ、さん……」



クロハ「……セレネ、お姉さん……」



セレネ「…………


    ……ごめんなさい、大丈夫……ですっ」



セレネ「……………………」



シーア「……っ……」



セレネ「…………


    ……人、に……」



クロハ「…………!」



セレネ「……私以外の、人に……」



セレネ「……私の、大切な方から……


    貰った……大切な、名前をっ……」



セレネ「……初めて、伝えられて……


    嬉しいだけ……ですからっ……!」



シーア「…………っ!」



シーア「…………


    ……よかっ、たっ……!」



クロハ「……うんっ、よかったよっ……!」



シーア「…………


    ……でも、そういうこと……なら……」



シーア「……これからは……


    ちゃんと、名前で……お呼びしないと、ですねっ!」



クロハ「……うんっ、そうだねっ!」



セレネ「…………っ!」



シーア「……改めて、これからも……


    よろしくお願いします……セレネさん!」



クロハ「……よろしくねっ!


    セレネお姉さんっ!」



セレネ「……っ……!


    …………はいっ…………!」

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