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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<後編>~ひとの答え~
12/31

ーー第4章 「灰色の世界にて」ーー

------

……世界が変わった後、セレネは……


魔物たちの領域にて、時を過ごし続けた



……その場所で彼女は、何を考えるのかーー           

                  ------


セレネ「(……私は、今……)」



セレネ「(……生きてる……のかな……?)」



セレネ「…………」



セレネ「(……あの、とき……)」



セレネ「(……世界が……灰色に……


     ……包まれた、とき……)」



セレネ「(……私は……叫んでた……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(……いや……ちが、う……)」



セレネ「(……っ……


     ……私が……叫んだ、瞬間に……)」



セレネ「(……世界はっ……灰色に、なった……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(……もし、かしたら……


     私の……叫びがっ……)」



セレネ「(…………っ     


     ……世界を、変えてしまった……


     ……かも……しれない……)」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「(……あの瞬間、から……


     ……白く輝いてた……鏡は……)」



セレネ「(…………


     ……灰色に、輝き続けてる……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(…………


     私に似た、魔物が……)」



セレネ「(……っ……


     ……ううん、違うっ……)」



セレネ「(……あれは、私……私の、心……)」


   

セレネ「…………」



セレネ「(……私、が……


     ……この世界をっ……)」



セレネ「(…………っ


     ……いらない、なんて……


     思って……しまったからっ……)」



セレネ「(……っ


     ……私がっ……)」



セレネ「(……みんなが、繋いでくれた……世界、をっ……


     ……壊しちゃった……のかなっ……?)」



セレネ「……ぅ……


    …………」



セレネ「(…………


     ……もう、私は……)」



セレネ「(…………っ


     ……見守る者では、いられない……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……そもそも……


     ……あの、私を……見たときから……)」



セレネ「(……これ以上、私が変わるのが……)」



セレネ「(……変わって、しまうのが……怖く……て……)」



セレネ「(…………


     ……吸収の力は……使えない、しね……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(……こんなっ……


     世界を、変えてしまうこと以上に……)」



セレネ「(……自分が……


     ……変わってしまうことを……)」



セレネ「(……怖がって……恐れて……


     ……何者でも、いられない……私はっ……)」



セレネ「(…………


     ……もう、人間たちの近くに……


     ……いては……いけない……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(……それに……あの場所にも……)」



セレネ「(……あの、暖かな場所にも……戻れない……)」



セレネ「(…………


     ……私、が……)」



セレネ「(……私の、心が……いるから……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……だから、


     私は……ここに、いるんだ……)」



セレネ「(…………


     ……人間たちのいない、魔物の領域に……)」



セレネ「(……ここなら、私は……)」



セレネ「(……何かに……ならなくていい、から……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(……わかってる……)」



セレネ「(……これが、ただ……


     ……逃げている、だけって……ことくらい……)」



セレネ「…………


    …………でも…………」


     

セレネ「(…………


     ……でも……疲れ、ちゃったよ……)」



セレネ「(……だから、今は……)」



セレネ「(……これで……いいんだ……)」




------

……そして、魔物の領域で過ごすセレネは……


魔物について、新しいことを知り……考えに、耽る……



……これが、彼女の日常になっていたーー

                       ------


セレネ「(……ここで、過ごすようになってから……)」



セレネ「(……魔物たちのことばかり、考えてる……)」



セレネ「…………」

     


セレネ「(……世界が変わっても、


     魔物たちは……何も、変わっていない)」



セレネ「(……突然、暴走して……人を、襲う……)」



セレネ「(……でも、その時以外は……


     ただの……背景のような存在……)」



セレネ「(…………


     ……あの声が、なければね……)」



セレネ「……ふぅ……」



セレネ「(……でも、ずっと……)」



セレネ「(…………


     ……長い間、ずっと……聞いてたら……)」



セレネ「(……いつの間にか……


     気にならなく……なっちゃった……)」



セレネ「(……なっちゃった……んだ……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……私って……)」



セレネ「(……魔物たちの声に……


     ……消えたくないって、声に……)」



セレネ「(……何を、思ってた……んだっけ……)」



セレネ「…………」



セレネ「(…………だんだんと…………)」



セレネ「(……私が……分からなくなって、くる……)」



セレネ「(……怖い……苦しい……けど……)」



セレネ「(…………けれど…………)」



セレネ「(……何かを、するのは……


     ……何かに……なるのは……)」



セレネ「(…………もっと、こわいっ…………)」



セレネ「(…………


     ……今度こそ、本当にっ……)」



セレネ「(……今、以上に……


     ……私が……壊れちゃいそう、だからっ……)」



セレネ「(……っ……


     ……だから、今は……)」



セレネ「(……このままで……いいんだ……)」



セレネ「…………


    ……それに……」



セレネ「(……ここに、いるからこそ……


     新しく、知れることも……ある、しね……)」



セレネ「(……魔物は、突然……


     生まれるってこと……とか……)」



セレネ「(……魔物は、暴走した後……


     ……自然に消えること……とか……)」



セレネ「(…………

    

     ……色々と、知ったんだ……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……色々……


     知ることが、できたのは……)」



セレネ「(……私が、何者でも……なくなった、から……


     ……力を……使えなく、なった……から……)」



セレネ「…………っ」


       

セレネ「(…………


     ……違う、ね……)」



セレネ「(……力を使わなくなったから、分かったんだ……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……魔物たちは……突然、生まれる……)」



セレネ「(……何の前触れも、なしに……


     魔物の……領域で……)」



セレネ「(……その後は、境界を越えずに……


     ただ……在り続ける)」



セレネ「(……声が聞こえない人から、見れば……)」



セレネ「(……背景の一部みたいに……


     空っぽで、心がない存在として……在り続ける……)」



セレネ「(…………


     ……でも……)」



セレネ「(……突然、暴走する……


     暴走して、陰の力を持つ……)」



セレネ「(……そして、あの叫び声をあげながら……


     ……境界を越え、人を襲う……)」



セレネ「(……暴走した後は……


     時間が経つと、自然に消えていく……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……私が……)」



セレネ「(……っ……


     ……見守る者、だった……ときは……)」



セレネ「(……魔物が暴走しても……


     すぐに、私が……力を吸収していた……)」



セレネ「(…………


     ……だから、分からなかった)」



セレネ「(……魔物は……


     暴走すると、消える……)」



セレネ「(……私は、ただ……)」



セレネ「(……その時を、早めていただけ……

     

     ……なのかも……しれない……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(……そして、思ってしまった……)」



セレネ「(…………


     ……魔物の生まれてから、消えるまでの流れは……)」



セレネ「(……人と、同じ……


     なんじゃないかって……)」



セレネ「(……もしかしたら……)」



セレネ「(…………


     ……魔物という存在は、人間を映す鏡ーー)」



セレネ「(ーー人の心、そのもの……


     ……なんじゃないかって……)」



セレネ「(…………だから…………)」



セレネ「(……一人の人が生まれたら、


     一体の魔物が生まれ……)」



セレネ「(……その人が消えるとき、


     その魔物も、消えるんじゃないかって……)」



セレネ「(……思って……しまうんだ……)」



セレネ「…………」



セレネ「(…………


     ……魔物たちが、抱いている……


     ……いつも、言っている……想い……)」



セレネ「(……消えたくない……という想い……


     ……人の、最後の……想い……)」



セレネ「(……それに……)」



セレネ「(……っ……


     ……あの……私の心を叫ぶ……)」



セレネ「(……もう一人の私……のような、魔物……)」



セレネ「(……なにより、あの魔物の存在が……)」



セレネ「(……魔物は……


     ある一人の、人間の心……)」



セレネ「(……繋がっている、存在だって……)」



セレネ「(…………

     

     ……そう、思わせるんだ)」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「(……もし……

     

     ……もしも、私の思った通りならーー)」



セレネ「(ーー魔物は……


     暴走するから、消えるんじゃない……)」



セレネ「(……繋がっている、人間が……消えるから……)」



セレネ「(……暴走、しているのかも……しれない……)」



セレネ「…………


    ……もしも……」



セレネ「(……もしも、そうなら……)」



セレネ「(…………っ


     ……私が、いなくても……)」



セレネ「(……世界は、変わりなく……


     ……進んでいく……のかもね……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(…………


     ……でも……)」



セレネ「(……今は……それで、いいんだ……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……魔物たちが変わらない限り……


     人間たちも、変わらないはず……だから……)」



セレネ「(……っ……


     ……………………


     ……そう……思い込もう……)」



セレネ「…………


    ……思い、込むんだ……」



セレネ「(…………せめて…………


     ……逃げられなく、なるまでは……)」



セレネ「(……ここに……いたいから……)」



セレネ「(…………


     ……何者でもない、私で……)」



セレネ「…………っ…………」


    

セレネ「(…………


     ……それに……)」



セレネ「(……まだ魔物について、


     分からないことばかり、だしね)」



セレネ「(…………


     ……なんで、私は……)」



セレネ「(……暴走した魔物に、襲われないんだろう……?)」



セレネ「…………」



セレネ「(……前から……


     違和感は、あった……)」



セレネ「(……暴走した魔物は、


     最も近い人間を……襲おうとする……)」



セレネ「(…………


     ……なのに、私が……)」



セレネ「(……私が、一番近くにいても……


     見向きも、されない……)」



セレネ「(……私の、存在なんて……ないように……)」



セレネ「(……私以外の、人を……


     最も近くにいる人を……襲おうと、する……)」



セレネ「(…………っ


     ……まるで、私が……人では、ないと……)」



セレネ「(……そう、伝えてくる……みたいに……)」



セレネ「……っ……


    ……ふぅ……」



セレネ「(…………


     ……まあ、そのおかげで……)」



セレネ「(……今、こうして……


     ……魔物たちの領域でも……過ごせてる、し……)」



セレネ「(…………


     ……実際に、私は……)」


 

セレネ「(……普通の人とは……違う、から……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……魔物たちは……


     何か、私に……感じてる、のかな……)」



セレネ「(…………


     ……うん、そうかも)」



セレネ「(……今は、ここまでしか……分からないかな)」



セレネ「(…………


     ……そのうち……分かると、いいな……)」



セレネ「…………


    …………じゃあ…………」



セレネ「(……じゃあ、次のこと……)」



セレネ「(…………


     ……私の、魔物について……かな……)」

     


セレネ「(……なんで、私の魔物の声は……)」



セレネ「(……耳をふさいでも聞こえてくるほど、


     大きい声……だったんだろう……)」



セレネ「(……他の魔物の声は、暴走していない限り……


     ……小さいもの……なのに……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……でも、私の魔物は……


     ……暴走していなかった……)」



セレネ「(…………


     あの、叫び声が……聞こえなかった……)」



セレネ「(……陰の力も、感じなかった……から……)」



セレネ「(…………


     ……そして……もう一つ、気になるのは……)」



セレネ「(……叫んでいる声が、言っていたことが……)」



セレネ「(……消えたくない、って想いとは……


     違った……ってこと、かな……)」



セレネ「(……他の魔物と同じで、空っぽ……


     ……陰の心も、陽の心も……感じなかった、のに……)」



セレネ「(…………なのに…………)」



セレネ「(……私の、心を……叫んでた……)」



セレネ「…………


    ……やっぱり……」



セレネ「(……あの魔物は、何か……違うんだ……)」



セレネ「(…………


     ……何が違うのかな……?)」



セレネ「(……いつか……分かる、かな……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……考えていれば……)」



セレネ「(……私は、冷静でいられる……


     ……私を……保って、いられる……)」



セレネ「(……だから……今は……)」



セレネ「(……今の私の、ままで……いいんだ……)」

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