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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<後編>~ひとの答え~
11/31

ーー第3章 「私の心が叫びだす」ーー

------

……セレネの想像した通り、


その後も魔物の暴走は、起こり続けた……



……その度に、セレネは……魔物の力を吸収し続ける


……人が襲われないように……


見守る者として……人間を、守り続けた……




……そんな日々を過ごす、セレネに……ある変化が、現れていたーー

                             ------


セレネ「…………」



セレネ「(……あの時から……


     ……初めて……人間が、消えたときから……


     暴走した魔物は……現れ続けてる……)」



セレネ「(……やっぱり、あれは……)」



セレネ「(…………


     ……崩壊の始まり……


     だったのかも、しれない……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(……それでも……気付いたことも、ある)」



セレネ「(……魔物の暴走は……想いの、暴走は……


     ……人間が、消えるときにだけ……起こってる……)」



セレネ「(…………


     ……人間と魔物には……


     ……何か、繋がりが……あるのかも……)」



セレネ「…………


    ……ふぅ……」



セレネ「(……今の私には……


     それぐらいしか、分からない……けど……)」



セレネ「(……けれど、大丈夫……)」



セレネ「(…………     


     ……私が、いる……)」



セレネ「…………っ!」

     


セレネ「(……私が……


     魔物たちの暴走を、抑え続ければ……大丈夫……)」



セレネ「(……私が、見守る者である限り……


     みんなが繋いでくれた、この世界は……何も変わらないっ……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(……でも……


     怖いことも……あるんだ……)」



セレネ「(…………


     ……私に、起きている……)」



セレネ「(……明確な、変化が……怖い……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(……魔物たちの……


     声が……聞こえるのっ……)」



セレネ「(…………っ


     ……今までは……力を吸収したときにしか、


     聞こえなかった……のに……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……いつも……言ってる……


     ……消えたくない……って……)」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「(……その声を……


     ……聞いてしまって、から……)」



セレネ「(…………


     ……私、は……)」



セレネ「(……魔物のことを、背景の一部とは……


     ……空っぽの存在とはっ……思えなく、なってる……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(…………


     ……今までは……)」



セレネ「(……暴走、するまで……


     暴走して、陰の力が……感じられるように、なる……まで……)」



セレネ「(…………っ


     ……普通の時の、魔物に……


     ……背景の一部のような、彼らにっ……)」



セレネ「(…………


     ……何も……思うことは、なかった……のに……)」



セレネ「(……魔物の、ことを……


     ……彼らのことをっ……)」



セレネ「(……寂しそう、って……思っちゃった……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(…………


     ……だから……私は……


     ……話しかけて、しまった……)」



セレネ「(……でも……


     ……彼らは……魔物は、応えては……くれなかった……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……私は……


     ……ほっと、していたんだと……思う……)」



セレネ「(…………


     ……そのとき……


     ……魔物に、話しかけて……応えが、なかった……とき……)」



セレネ「(……もし、応えが……返ってきてたら……


     ……私、は……魔物のことを……彼らの、ことを……)」



セレネ「(…………想って、しまう……から…………)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(……でも……


     ……私は……見守る、者……)」



セレネ「(…………


     ……人を、見守る者……だから……)」



セレネ「…………だから…………」



セレネ「(……魔物が、人を襲おうとするときには……


     ……消さなくちゃ……いけ、ない……)」



セレネ「(…………


     ……私には……力を吸収するしか……でき、ないっ……)」



セレネ「(……その……やり方、しか……


     ……私は、知らない……から……)」



セレネ「(……だから……


     ……消さなくちゃ、いけないのっ……)」



セレネ「(……彼ら、を……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(……ちが、うっ……


     ……彼らじゃ、なくてっ……魔物、なんだ……)」



セレネ「…………


    …………ふぅ…………」



セレネ「(…………落ち、つくんだ…………)」



セレネ「(…………


     ……だから……)」



セレネ「(……私が話しかけたとき、応えがなくて……良かった……)」



セレネ「(……消さなくちゃいけない、存在を……


     ……これ以上……心を持つ、想いを持つ……誰か、だって……)」



セレネ「(……思いたく、ないから……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……今の私じゃ……誰かの、想いは……


     ……受け止め、られない……から)」



セレネ「(…………


     ……自分が……壊れないために……)」



セレネ「(……私の心から……想い、から……


     ……逃げている、今の私じゃ……)」



セレネ「(……っ……


     ……誰かの想いは……受け止め、きれないっ……)」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「(……だから、こそ……


     ……ものすごく……こわいんだ……)」



セレネ「(…………


     ……普通の時の、魔物の声が……


     ……吸収、しなくても……暴走する魔物の声が……)」



セレネ「(……魔物たちの声が……


     聞こえるように、なった……だけで……)」



セレネ「(……ここまで、魔物のことを……


     ……心を感じられない……魔物のことを……)」



セレネ「…………っ」



セレネ「(……心を……想いを、持つ……


     一つの、存在のように……思ってしまう……私が……)」



セレネ「(…………


     ……そんな、私が……これ以上、変わるのが……


     ……変わっていく、私がっ……)」



セレネ「(…………すごく、こわいっ…………)」



セレネ「…………っ…………」



セレネ「(……なん、で……?


     ……私に何が……何が起こって、いるの……?)」



セレネ「(……このまま……


     ……この日々を、続けていたらっ……)」



セレネ「(…………


     ……私は……今の、私で……)」



セレネ「(……みんなが愛してくれた、私で……

     

     ……いられる……かな……)」



セレネ「……っ……」



セレネ「(…………怖いっ…………)」



セレネ「(…………怖い、よ…………


     ……女神さま……お母さん……お父さん……)」



セレネ「…………」



セレネ「(……また……

 

     ……いつもみたいに、会いに行こう……)」



セレネ「(……あの……大きな樹なら……


     ……あの、暖かい場所なら……


     ……怖くなくなる……から……)」




------

……そして、セレネはいつものように訪れる


……暖かな、大きな樹のもとに……



……しかし……いつもとは、違った……



……このとき、この瞬間……世界は、変わるーー           

                    ------


 セレネ「…………っ!?」



 セレネ「(…………


      ……誰か……いる……?)」



 セレネ「(……樹のところで……何か、してる……?)」



 セレネ「……っ……!?」


 

 セレネ「……ぇ……


     …………」



 セレネ「……あのっ……


     あの姿や、顔はっ……わた、し……?」



 セレネ「…………っ


     ……なん……で……?」



 セレネ「……なんで……私が、いるの……?」



 セレネ「…………!」



 セレネ「(…………


      ……でも……


      背中に……黒い翼が、ある……?)」



 セレネ「(……私には……ない……)」



 セレネ「(…………!


      あの翼は……もしかして、魔物……?)」



 セレネ「……っ!?


     それよりも、なんでっ……」



 セレネ「(……なんで、


      私の姿で樹を……叩いて、るの……?)」



 セレネ「……っ……」



 セレネ「(……そんなに必死に……


      ……誰かを、呼ぶように……)」



 セレネ「……っ!


     ……何か……聞こえる……?


     ……何か、言っているの……?」



 セレネ「……何をーー」



せれね?「ーーどうしてっ……!?」



 セレネ「…………!」



せれね?「……どう……してっ……


     私を……置いていったの……?」



せれね?「……なんでっ……


     ……なんで……私を……独りに、するの……」



 セレネ「……っ……!?」



 セレネ「(……だめ……これはっ……)」



 セレネ「(……これ……以上……


      聞いちゃ……ダメっ……)」



 セレネ「…………っ」

  


 セレネ「(……決定的に……明確、に……


      …………壊れて、しまうっーー)」



せれね?「ーー私は……ただ……」



せれね?「……ただ、みんなと一緒に……


     ……いたかった、だけ……なのに……」



 セレネ「…………っ…………!」



せれね?「……それだけで……よかったのに……」



せれね?「……その、願いが……叶うなら……

     

     ……あの……崩壊する、世界でも……よかったーー」



 セレネ「ーーっ……!?」



 セレネ「(……なん……でっ……


      耳を、ふさいでるのに……)」



 セレネ「(……声がっ……聞こえてくるっ……)」



 セレネ「(……やめ……て……


      それ以上は……いっちゃ、だめっ……)」



 セレネ「…………っ」



 セレネ「(……私の……声で……


      ……私の……姿で……


      私の、心を……さらさないでっーー)」



せれね?「ーーこんな、世界……」



 セレネ「……や……めてっ……」



せれね?「……大切なみんなが、いない……


     独りぼっちの……世界なんて……」



 セレネ「……だ……めっーー」



せれね?「ーー……いらないっっ!」



 セレネ「……い……やっ……


     ……いやっーー」



せれね?「ーー女神さま……お母さん……お父さん……

 

     ……私を……愛して、いないの……?」



 セレネ「……っ……!」



せれね?「……愛してる……なら……


     …………ずっとっ…………」



せれね?「……ずっと……傍に……


     一緒に……いてよっっーー」



 セレネ「ーーっ!?


     ……やめ……てっ……」



 セレネ「……やめて……よっ……」



 セレネ「……もう……いやっっっーー」


 

   

------

……セレネの叫びが、世界に届いたとき……


白く輝いていた、世界の鏡は……灰色に染まった……



……以降、この世界は……


白ではなく……灰色に、照らされるようになる




……そして、世界の鏡が灰色になった瞬間……



……後に、セレネが導き出す答え……


その答えのきっかけとなる、陰と陽の双子が……生まれた




……しかし……セレネが、双子の姉妹のことを知るのは……


……もう少し、先のことであるーー       

                         ------


シーア「…………


    ……ぅ……ぉ……おぎゃぁぁっぁぁ」



クロハ「……ぅ……


    ……おぎゃぁぁぁっーー」

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