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女神の願い、ひとの答え  作者: しーぶる
<前編>~女神の願い~
1/17

ーー第1章 「終わりゆく世界」ーー

------

ある始まりの夢の中にてーー

            ------


ーー燃えている

争いがあったのだ


そんな場所で、一人の悪魔が倒れている


彼女は片翼を失っており、

いまにも命の灯が消えてしまいそうだ


ふと、彼女の手が動いた

闇の中で、光に縋るかのようにーー


そして、彼女の瞼がゆっくりと上がり、

その瞳が、光を捉える


ーー瞳の先には、天使の僕がいた


……彼女と同じく、片翼を失い、

消えようとしている、僕がーー


ーー彼女の声が、聞こえた


か細くも、はっきりとした声が、

僕の心に響く



「天使様……」



ーー僕を求める響きが、

消えゆく恐怖を、和らげてくれた


……僕は、求めていたのだ


恐れを覆い隠してくれる、暖かな闇をーー



こうして光と闇は交わり、ひとが生まれた




------

ある洞窟の中にてーー

         ------


悪魔「……きて……ね」



ひと「う~ん……」



悪魔「……起きてね~」



ひと「悪魔……さん? 


   ……はっ!?


   ……おはようございます!」



悪魔「おはよう~


   よく寝てたね~」



ひと「あはは……


   なんか夢を見てたみたいで……


   ぐっすり寝てしまいました」



悪魔「夢ね~


   どんな夢だったの?」



ひと「……それが、


   あんまり覚えてなくて……」



ひと「……周りが燃えていて、凄く怖い……


   ……そんなことしか、


   思い出せないんです……」



悪魔「…………


   燃えている……か」



悪魔「まあ、夢だしね~ 


   あまり気にしなくてもいいと思うわ~」



ひと「そうですね! 


   ぐっすり寝れたし、良しとします!」



悪魔「うんうん! 


   元気だね~


   その調子なら、大丈夫かな~」



ひと「……ついにですか!」



悪魔「ついにだよ~


   天使さんも待っているだろうから、


   行こうか~」



ひと「はいっ!」




------

洞窟の入り口にてーー

         ------


天使「zzz……」



悪魔「天使さ~ん、


   いますか~」



天使「zzz……」



ひと「天使さーん、


   おはようございまーす!」



天使「……! 


   二人ともおはよう


   ……夢を見ていたみたいだ」



悪魔「周りが燃えている、夢……ですか?」



天使「……! 


   ああ……そうか


   また、同じ夢を見ていたんだね」



ひと「そうみたいですね


   ……いつものように、


   あんまり覚えていないんですけど……」



ひと「……!


   そういえば……悪魔さんは、


   夢を見ることはないのですか?」



悪魔「そうね~


   あなたや天使さんと同じ夢を、


   見ることはないわね~」



悪魔「まあまあ、夢より今はあのことよ~


   そうですよね~、天使さん」



天使「そうだったね


   じゃあ、行こうか……外の世界に」




------

ひとが初めて訪れる、洞窟の外の世界にてーー

                   ------


ひと「……ここが、外の世界ですか!


   …………


   なんだか……暗い、ですね」



悪魔「そうだね~


   ……昔から、


   この世界は変わっていない」



天使「……しかし、


   確実に崩壊へ向かっている」



天使「感じるんだ……急がないと」



ひと「……?


   ……崩壊……? 


   この世界は……


   無くなってしまうのですか……?」



悪魔「そうね~


   ……今のままなら、無くなっちゃう」

   


悪魔「上を見て


   ……あの空に浮かんでいる、


   この世界を照らす、丸いものを」



ひと「……上……?」



ひと「……!


   空の丸いものって、


   あの……大きいものですか?」



悪魔「そうよ~


   ……あれはね、この世界を映す鏡なの~」



悪魔「元々は白色に輝いていた……


   ……らしいのだけれど、今はーー」



天使「ーー中心を境に……


   ……黒色と黄色に分かれて、


   輝いてしまっている」



ひと「……?


   分かれていると、ダメなのですか?」



天使「……ああ


   一つの器に、二つのものは入らないんだ」



天使「……無理に入れてしまうと、


   器が壊れてしまう……」



天使「だから、


   本来は混じり合っているものなんだ」



悪魔「今は……世界という器に、


   二つのものが無理に入れられてしまっているの~」



悪魔「……だから……ね


   ……遠くない未来に、


   壊れてしまうのよ」



ひと「っ……!?


   ……崩壊を止めることは、


   出来ないのですか……?」



天使「……女神だ


   女神に会うことができれば、


   世界が崩壊することは……防げる」



悪魔「女神様はね~


   この世界を創られた方なの~」



悪魔「だから女神様なら、


   壊れかかっている、この世界を……


   ……きっと、


   もとに戻してくれるわ~」



ひと「……!


   なら、行きましょう! 


   女神さまのところに!」



天使「そうだね、行こうか


   ……そのために、

   

   僕たちは外に出たのだから」

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