第二部 プロローグ
お待たせいたしました。
第二部始まります。
下の段に、簡単なタランターレ国及び周辺国の紹介を載せています。
新婚旅行で念願の海に来たはずだった。クリスと共に幸せな体験が出来ると思ったのに、どうしてこんなことになっているの⁈こんなこと望んでいなかった……
嫌な既視感に私は遠い目になってしまった。前回は空に攫われて、今回は海……?
現実逃避しそうになった私に、冷たい海水が大量にかかり、嫌でも現実に引き戻された。
「って、待って、わ、私、泳げないし、水の中では息は出来ない!」
私を捕まえて、そのまま海の中へ潜ろうとしていたドラゴンは、不思議そうにこちらを見ている。私の言ったことを理解できていることを期待したい。
ドラゴンはクゥ~っと鳴いて、私を足で掴み直すとそのまま海の中へ沈んで行った。
「わっ誰か、助けっ……もがっ」
私は助けを呼ぶ間もなく、海の中に連れ込まれた。私は咄嗟に結界魔法を発動した。結界が辛うじて海水の侵入を阻んで、空気の層を作ってくれている。ただし結界内の酸素が無くなれば、息は出来なくなるので、危機が去ったわけではなかった。
「クリス……助けて……」
私はキラキラ煌めく水面を見上げて、最愛の人に助けを求めた。
その間も、ドラゴンはぐんぐん海中を泳いでいく。一刻も早く、酸素がある間に目的地について欲しい。そしてそこは陸であって欲しい……。人間には酸素が必要だと、このドラゴンが理解しているか、最悪の状況を想像すれば、不安で押し潰されそうだ。
私とドラゴンの隣を、色とりどりの魚が優雅に泳いでいく。これが観光だったなら、感動的な光景だっただろう。残念ながら命の心配をしながら、楽しめる光景ではなかった。
酸素が薄くなり息苦しさを覚えた頃、ようやくドラゴンは水面へ顔を出した。そこから翼を広げて空へと躍り出た。私は急いで結界魔法を解除して、肺いっぱいに空気を吸い込んだ。
「…空、飛べるなら……、最初から空が良かった……ハアハア……」
いや、空も危険は変わらないのだ。落とされれば死んでしまう。一難去ってまた一難……
「どうしてこんなことに……」
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{タランターレ国及び周辺国 紹介}
ガレア帝国
始まりの天界樹がある国。
帝王は赤の髪で、赤の魔法使いと呼ばれていたが、前帝王と現在の帝王は違う。
5カ国の中心に位置している。
火炎系のドラゴンが棲んでいるらしい。
アウレリーア国
東にある国。海があり、水系のドラゴンが棲むと言われている。
青の魔法使いがいる。
ゴルゴール国
南にある国。砂漠があり、気候も常夏に近い。土系のドラゴンが棲んでいるらしい。
黄の魔法使いがいる。
エリシーノ国
西にある国。森林が多い国。気候は四季があるが、比較的温暖。風系のドラゴンが棲む国だと言われている。
緑の魔法使いがいる。
タランターレ国
北にある国。オーレリアとクリスティアンがいる国。北にある獣人の国、ロウド王国に隣接する。ロウド王国の更に北には、氷系のドラゴンが棲む山脈が連なっている。
白の魔法使い(クリスティアン)がいる。
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