第38話 ルーちゃんのトコトコ日記③
○○月○○日
ぼくの異変に気づいて、オーレリアがぼくを癒してくれた。つがいのクリスもぼくを冷やしてくれたから、熱かった体が楽になった。少しだけ感謝してもいいかと思った。
○○月○○日
王宮に行ったら、人間がぼくのことを見て嫌な顔をした。ドラゴンがこわい、気持ち悪いと失礼なことを言われて、なんだか気分が落ち込んだ。ぼくが人間の姿になれたらよかったのに。そしたらオーレリアが悲しい顔をしなくてすむのに。
○○月○○日
朝、オーレリアが叫んだ声で目が覚めた。ぼく、いつのまにか人間になっていた。ちょっとびっくりしたけど、これで悪口を言われなくなったら、オーレリアも悲しくないと思った。嬉しかった。
人間の服はなれないけど、ガマンだ。
○○月○○日
お母さんから手紙が来た。ぼくの変身は原因がよくわからないらしい。でもぼくは知っている。オーレリアの涙が原因だ。だって涙を舐めたら、体が熱くなったんだ。
しゃべれないから行動で示したのに、ぼくがオーレリアの頬をなめたら、つがいが怒った。
でも、どうして人間の姿になったのかは、ぼくもちゃんとは分からない。
人間になったらスプーンが使えるようになって、アイスが上手に食べられた。ぼくはイチゴの味が一番好き。美味しかったから、たくさん食べたよ。
○○月○○日
オーレリアの元気がない。いつもため息をつくけど、つがいと上手くいってないのかな?もしそうなら、これはチャンスかも?
ぼくが人間になったから、大きくなったらオーレリアのつがいをやっつけて、ぼくがオーレリアのつがいになったらいいんだよ。
そうしたら、絶対にオーレリアを泣かすことはないし、幸せにできるとおもんだけど……
○○月○○日
元気がないオーレリアをはげまそうと、ぼくは人間の姿でこっそりお屋敷を抜け出した。
ちょうど、お屋敷の隣には森があって、そこにはきれいな花が咲いているらしい。庭に来る小鳥さんが、ぼくに教えてくれたんだ。その花を見れば、きっと元気のないオーレリアも元気が出るはずだ。
このお屋敷は入ることはむずかしいけど、出ることは簡単だった。すぐに戻れば気づかれないと思って、こっそり出たのが間違いだって、ぼくは分かっていなかった。
森に辿り着いて、教えてもらった花を摘んでいたら、いきなり誰かにつかまって、ぼくは大きな袋に詰めこまれた。
ドラゴンに戻ろうとしたけど、甘い匂いのする布を口にあてられたら、眠くなって寝ちゃった。
次に気がついたら、手足を縛られた状態で、どこかの部屋のベッドの上に寝転がされていて、さすがのぼくもびっくりだ。これ、誘拐っていうものかな??
いつも読んでいただきありがとうございます。
投稿を確認していたら、第36話が重複していたので35話の前にあった分を削除しました。すみませんがよろしくお願いいたします。




