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第33話 ルーちゃんのトコトコ日記②

○○月○○日

 棲みなれた山脈を後にして、ぼくはタランターレという国に来た。ここには瘴気がないから、ぼくは息が苦しくない。

 でも、オーレリアのつがいは、印象が最悪なやつだった。ぼくを捨てて来いって言った時は、ぼくのお母さんがすごく怒っていた。あんなやつ、オーレリアに捨てられちゃえばいいんだ。

 

 天界樹は大きくて強そうな樹だった。オーレリアの魔力をどんどん吸って、オーレリアが動かなくなった。助けを呼ぼうとしたけど、ぼくは扉に手が届かなくてドンドン扉を叩いていたら、オーレリアのつがいが来た。少しだけ見直したけど、その後でオーレリアを泣かせたから、やっぱり嫌いだ。

 オーレリアの涙を舐めていたら、なんだかぼくの力が変化した気がする。なんだろう?


○○月○○日

 真夜中、体が熱くて目が覚めた。アイスドラゴンは体温が低いはずなのに、なぜか体が熱い。瘴気はないのに、息が苦しいのはどうして?

 せっかくオーレリアのそばにいるのに、オーレリアのつがいから、オーレリアを守らないとダメなのに、どうしてこんなことに?

 ぼく、なにか変なものを食べたかな?

 いつもと同じように鶏肉と、好き嫌いダメとオーレリアが言うから、ニンジンも噛まずに飲み込んだ。ニンジンの呪いかな?

 体がどんどん熱くなる。このままじゃ死んじゃうかも。

 ぼくは隣で寝ているオーレリアをしっぽでつついた。前みたいに、癒してくれたら治るかもしれない。でもすごく体が痛くなって、オーレリアが目を覚ますまで我慢できないかも……


○○月○○日

 夢を見た。ぼくは遥か昔のドラゴンになっていた。

 たぶん夢だけど、本当のことかもしれない。

 神様と友だちだったドラゴンは、神様にお願いして人間になった。いいな、ぼくも人間の形になれたら、人間を驚かせずにすむのに。

 この国の人は、ぼくを見るとびっくりした顔をする。ひどい時はすぐに逃げられるし、顔をしかめる人間もいる。すごく悲しい。

 そんな時は、オーレリアも悲しそうな顔になる。でもすぐにぼくの額に自分の額をくっつけて「ルーちゃんはかわいい。大好きだよ」と言ってくれる。

 オーレリア、ぼくも大好き。でも、ぼくは人間の言葉が話せないし、お母さんみたいに思念伝達もできない。ぼくがしゃべれるようになったらいいのに。

 そうしたら、大好きだって伝えて、ぼくがオーレリアのつがいをやっつけて、ずっとそばにいるのに。ドラゴンはどうやって人間になっていたかな?

 確か……何かを飲み込んでいたよね?

 もしかして、人間を食べたら人間になるのかな?それはちょっと嫌だな。


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