紫の経験
青春以外の「夏」「秋」「冬」、ご存じですか?
青いあやまちを 赤い恥辱が染めあげれば
それは 紫の体験
胸に秘めてるにしても
記憶に沈めるにしても
きっとだれもが いつかの白秋や玄冬には
身に覚えがあって
後悔がのどをせりあがるか
苦笑いがほおをひきつらせるか
あまずっぱさが鼻につくかしながら
青春と朱夏のあいだにあるみじかい季節にあった
そのできごとを
想い起こすことだろう
とりかえしがつかなくて
償いようもないのを 知ったいまなら
おなじあやまちを避けるはずだし
おなじ恥辱に襲われることは
もうないだろうが
あの傷と罪を背負って
ひとはおとなになってゆくのだなんて
言いのがれをするつもりもないけれど
白秋や玄冬をむかえたいまだからこそ
まるでひとごとみたいに
つぶやいてみせるずるさをも
しっかりと身につけているのだ
あんまり、青春信仰がないや(苦笑)