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5.もっと上手く誤魔化して立ち回れないのですか?

「えっ、な、なんで…?」


 驚く私に、ランカ・ブランチュは少し困ったように微笑んだ。


「相応しくない…という言い方は偉そうでした。まぁ率直に言うと、その友人との旅行は全く楽しめないのです。その友人は旅行の景色やその土地の文化ではなく、昔の事や日常の話をするのですよ。海を見れば、海の青さを最近話題のドレスに似ていると言う。街中を歩けば、昔読んだ本の世界に似ていると言って幼少期の頃の話になってしまう。旅行の話ではなくなっているでしょう?」


「……なるほど。」


「私は、旅行を楽しみたいのです。でも、その友人と旅行に関する話で盛り上がる事が出来ない。友人はお茶会でも話せる内容を旅行中にも話すのです。正直、ストレスです。」


「……そ、そうなんですか。」


 …最後の言葉には圧を感じてしまって、少し怖いと思った。


「これが、友人の事は好きですけれど、旅行は一緒に行きたくないと言った理由です。そして、アルフォート侯爵がハイチュウ令嬢の事を好きでも、妻には相応しくないと言った理由と似ていると思うのです。」


「…ど、どういう事ですか?」


 友人の話と、私の話がどう繋がると言うの? ランカ・ブランチュは何を言う気なのかまだ分からない…。


「ハッキリ言いましょう。ハイチュウ令嬢の振る舞いは、貴族としてあり得ませんよ。身分が上の私に対して無礼な振る舞いをしている自覚はありますか? アルフォート侯爵の婚約者である私は、貴女にとって面白くない相手だというのは承知してます。しかし、もっと上手く誤魔化して立ち回れないのですか?」


 どんどん浴びせられる悪口に、私は呆然としてしまう。


「何より、大勢の前でアルフォート侯爵にベタベタと…アルフォート侯爵に婚約者がいるのは知れ渡っているのですよ。それなのにそんな事をしたら、貴女だけでなくアルフォート侯爵も不評を買うのですよ。分かっていましたか?」


「…そ、それは…っ。」


 私はただ、ランカに思い知らせたかっただけ。レナード様と愛し合っているのは私なんだと。レナード様の評判の事なんて、考えていなかった……。


「貴女のしている事は、アルフォート侯爵だけでなく、アルフォート侯爵家の評判を陥れる可能性もあるのです。そしてハイチュウ男爵家も、ハイチュウ令嬢、貴女自身の評判も下げているのですよ。自身の振る舞いが周りにどんな影響を及ぼすかを考えられない方を妻に、生涯の伴侶に選べないのは当然だと思いませんか?」


 ランカの…ブランチュ侯爵令嬢の言葉に、私は何も言い返せなかった。



 

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