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4.人柄が問題だと思いますよ。

「ま、まだそんな嘘が通じると思っているのですか?」


 私が言い返すと、ランカ・ブランチュは溜息をついた。そんな態度に苛つく私だったけれど、

 

「アルフォート侯爵は、ハイチュウ令嬢を愛している事は認めます。でも、貴女は侯爵の妻に相応しくない。そう判断したのだと思いますよ?」


 その言葉に混乱してしまった。意味が分からない…私の事が好きなのに、妻には相応しくない? 何を言っているの、どういう意味なの…。


「ハイチュウ令嬢、貴女も貴族の一員である以上理解してますよね。貴族の結婚とは、ただ愛し合う者同士で行うのではなく、今後の利益を考えて政略的に行われる事が多い事を。私とアルフォート侯爵も同じです。私達の間には恋愛感情は無いです。」


 …でも、私とレナード様は違う! 私達は貴族や身分に捉われる事なく、お互いに惹かれ合い結ばれるのだからっ…!!


「レ、レナード様が私を愛しているのに、他の人と結婚するだなんて信じられません! 私だったら絶対に無理です。何が何でもレナード様以外の人とは結婚できません!! 身分とか貴族とか、そんなの関係ないっ……それに、そもそもどうして私が妻に相応しくないだなんて言うのですか!? 私の身分が男爵だから?」


 理解出来ない…分からない。確かに私の身分は男爵だから、侯爵よりも遥かに下だ。でも、それだけで相応しくないだなんて言われたくない。


「身分も確かに重要な要素ではありますが、私は何よりもアイラ・ハイチュウ令嬢の人柄が問題だと思いますよ。」


「…な、なんですって…。」


 今、とんでもない暴言を吐かれたような気がする。許せない、何でそんな事を言われるのか。私への嫌がらせなのかと、ランカ・ブランチュを睨みつけた。


「………私には、心から気を許し信頼できる大好きな友人がおります。」


 唐突に、ランカ・ブランチュは話しだした。


「…な、何の話ですか?」


「お茶会であれ、パーティーであれ、まず招待の候補に挙がります。悩み事があれば互いに相談しますし、その友人に嬉しい事があれば私も自分の事のように嬉しいのです。私は…その友人がとても好きです。」


 ランカ・ブランチュは微笑みながら、まるで私に自慢しているように話す。でも、それが私の話と何の関係があるのか分からない…。


「ですが、私はその友人と旅行には絶対に行きたくありません。何故だと思います?」


「…え?」


 行き成りの質問。しかも、答えなんて分からない。友人と旅行には行きたくない? そんな理由は嫌いだから、という言葉しか出てこない。そして、何より…


「そんなの、分かりませんよ。ブランチュ令嬢は何が言いたいのですか?」


 私はランカ・ブランチュに言われた、「私の人柄がレナード様の妻に相応しくない」という暴言について話しているのに、ランカの友人の話なんてどうでも良かった。


「………その友人は、私の旅行相手として相応しくないからです。」


 ランカ・ブランチュは困ったように微笑んだ。


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